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飛ぶ鳥の夜はきみのため
バスタブの中
透明な水に浸って
体育座りしている裸と
裸のまま涙を流している
浴室の水面に落ちる滴が
落ちる滴が落ちる音を聞く
霧が立ち込める森の
朝に湿る花弁のつややかさに
眩しくて目を閉じそうになって
涙が、涙が溢れそうになって
なってた。(飛ブ鳥ノ夜ハキミノ
キミノタメ)──落ちる音もなく落ちる
落ちた、落ちて、いった一滴の
水に映り込む私が私は私だと
気づかずに目を
目を見開いた。(飛ブ鳥
死ぬよりもたしかに、消えるよりも遠く
妄(@アテラレタ)
躁より出て
鬱より青し夏の嘘
180度回転した頭で緑のゲロをぶち撒けて
眼鏡のおじさんはあわあわしてる。
みっともない
安いアルコールの匂いまとって
飛ぶ虫たちの求愛は走光性を見習えば
上手に抽象化してあげるよ
座ったまま、輪郭をとろけさせて
ずっと、ずーっと回り続ける
東海岸沿を南向けに走行しているマップの写真
私立図書館下のファミマの裏路地にいつも立っている白い服の女の
もう何も覚えてない、ということだけ確かに覚えている或る夜の日の光跡露光
生ぬるいコーラ弾けた
汚れたゆりかごゆらゆら揺れた
たどる季節の走馬灯が託した過去
刺青の夜
38度、適温のお湯溢れ
肉と肉その毛と毛、また血と血
夢見がちな瞳は作り物で紛い物のガラスの目玉
人形の様
葬
心臓抄のめくれた目次
今宵はミイラの夜明けみたいな
イミテーションと心理の境界を
ふらりふらりと彷徨うような
ワカラズ屋たちの宴の絵巻
青姦通りをそのまま進めば見えてくる
真っ黄色ギラギラの街並