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2019.4.1~2019.12.31 8ヶ月間のハガキ職人

2019.4.1~2019.12.31 8ヶ月間のハガキ職人

以前、ハガキ職人をやっておりました。それは20歳のときでした。正確には、ハガキ職人と呼べるのかどうかもわかりません。8ヶ月というあまりにも短命な活動だったからです。パッと現れてパッと消えました。ハガキ職人の一発屋です。もうだいぶ前のことですし、ニッポン放送にしか投稿してなかったので、ラジオネームを覚えている人も少ないでしょう。「切断面からこんにちは」という名前でやっていました。最初はchelmic

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捨てて後悔しているもの

申し訳ないんだけど、小さい頃の俺頭が良かったのよ。うん。いや、本当に賢かったから。もちろん、勉強ができるという意味ではなく。頭の良いみなさんならそれくらいのことわかるでしょ。全ての事象に対して何かを感じ取り、それを瞬時に言葉にできたわけ。感受性が豊かだったわけ。

まあ、その分、苦しいこともたくさんあったよ。具体的に何がとは言わないけれど。うそうそ。辛すぎて全部記憶から消したわ。

俺には兄弟がい

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脳の中の盗塁王

野球の才能だけは絶対にない自信がある。どういうわけか、バットを握れない子供だった。振ると必ず全身の力が抜けて、バットを手放して投げていた。周りの人を怖がらせて、そのときだけ俺は触れてはいけないお札みたいな扱いを受けていた。ある時、富裕層だけが住める一帯で、そこに住む裕福な友達とその友達を裕福めさせていた父親と野球をした。もちろん、裕福公園で。その時、いつものようにバットをすっぽ抜かしたら、その父親

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俺はヒーロになりたかった

俺はヒーロになりたかった

俺にはその力がないけれど、みんなには救われてほしいと思ってる。俺が誰かを救いたいのは、俺が救われたいからだ。俺はヒーロになりたかった、俺はみんなと仲良くなりたかった。自分の幸せをぶち壊したのは自分だ、悪いのはいつも自分だ。母親の影響でジャニーズしか見てなかった、あの頃に戻りたい。当時、家には木更津キャッツアイのビデオテープがあって1年に1回くらい母親と一緒に見ていた。昔は全然わからなかったけれど、

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女の子に唐揚げをもらったことがない

毎年バレンタインが近くなるとまあまあ大きな声で「俺はチョコじゃなくて唐揚げもらいたいんだわ」と教室中に言いふらしていたが小中高含めて結局唐揚げをくれる女の子は1人もいなかった。溶かして固めてなんかの型で形作った変に凝ったものやその辺のデパートの地下で買ったちょっと高価なチョコなんかより醤油と砂糖と生姜のタレに漬け込んだ鶏もも肉を揚げたカリカリ熱々の美味しい唐揚げを俺はたくさん食べたかったんだ。わざ

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はみ出した人間の受け皿、伊勢佐木町

はみ出した人間の受け皿、伊勢佐木町

関内駅の海側には歴史を感じさせる建物がある。おしゃれで綺麗な街並みが続いて、国土交通省の『都市景観100選』にも選ばれているらしい。

そんな場所とは、駅を挟んで反対側にある、まるできちんと分別がされていないゴミ溜めのような街、伊勢佐木町。

ひどい言いようだが、僕はこの街が大好きだ。

なぜなら、とても居心地がいいから。

幼稚園を卒業すると同時に、両親は離婚し、僕は母と一緒に暮らすことになった

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蹴りたい背中があるから蹴られなかった僕たちが鮮明になった

学校に居場所がなかったから3時間目の授業が終わったら人足先に弁当を食べて昼休みは学校の周りを走っていた。ダイエットだと自分に言い聞かせて。高校の頃の俺って周りにどうも思われてなかったのかな。蹴りたい背中を読んだ同級生が俺のことを思い出してくれたらな。誰かのきおくの一部でありたいなと思った。

やっぱり物語の1つの理想として想像力を総動員してこの世のない存在や現象に説得力を持たせるというものがあると

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伊勢佐木町

3年ぶりに関内に来ました。降り立った瞬間、駅の改装が終わっていてびっくり。どこだかわからない異国の地に来たようでした。そしてこの空気感、なんていうか、肌に馴染むというか、やっぱり、ここは、居心地が良い。久しぶりに来ると同じ景色でも違うように見えるのが不思議で、とにかく温度とか風とか全て気持ちよくて、またここに帰りたい気持ちが一層強まりました。父親の住むマンションにはデリヘルの待機室があり、3階から

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これから過去を振り返るにあたって

これから過去を振り返るにあたって

なんていうか、過去を思い出す作業っていうのは霊能者が死人から言葉を聞く作業に似てる気がするんですよね、あるいは、電波が悪い時のLINE電話を過去の自分としてるような感じで、断片的な情報しか得られなくて、全てを思い出すことが難しい、人によっては、電波が良好な方もいらっしゃると思いますけど、僕の場合は、人生の途中でちょっとしたアクシデントがあり、一部のデータ破損してしまったので、その部分の記憶がどうも

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とても気がかりな葛西という男

親が離婚してから団地に引っ越した

人生で一番長く住んだとこ

父親がいないこと、家にほとんど母親がいないこと、ケータイを買ってもらえなかったこと、全部全部恨んでいた

貧乏であることを恨み、金持ちを全員地獄に落とそうと考えていた

でも、銭ゲバというドラマを見てから、お金とか貧富の差にあーだこーだ言うのをやめた

お金に執着したらダメだ

小学校の時の自分はまだ人見知りじゃなかった

家にはいつ

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