すぱのば

小説を書きたくて、あなたに見てほしくて、あなたに褒めてほしくて、あなたに認められたくて…

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小説を書きたくて、あなたに見てほしくて、あなたに褒めてほしくて、あなたに認められたくて、noteをはじめました。よろしくお願いします。

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  • 【小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット

    第二回小説(連載中)

  • 【小説】ウルトラ・フィードバック・グルーヴ(仮)

    第一回小説。

記事一覧

【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #66

朝、アラームが鳴る前に目が覚めた。夢の中での不思議な感覚が、なかなか振り払えない。枕元のスマートフォンを手に取り時間を確認する。と同時にドレラから通知が来ている…

すぱのば
3日前
1

【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #65.0

ミキオ君はキミオ君からビギーの件は聞いているらしく、僕たちがやろうとしていることを知っていた。むしろそのことにドレラが「なんで知ってるの?」と驚いていたのが可笑…

すぱのば
10か月前
6

【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #64.0

駅を降りてからぎこちない会話をいくつか交わして、家に着いた。妹は部活だし、母親は仕事だろう。おなじみのシチュエーションだが、最近出演者がいつもより一人多い。僕は…

すぱのば
10か月前
3

【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #63.0

何が起きたのかしばらく飲み込めなくて、世界が静止したみたいに動きを止めてしまった。ドレラも同じみたいだったけど、なんとか口を開いた。 「これ、信じていいのかな?…

すぱのば
11か月前
1

【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #62.1

いつの間にか眠っていて、そのまま朝になっていたらしい。 重たい身体を起こし、いつものように支度をして、学校に向かった。 起きてから学校に向かう今まで、スマートフ…

すぱのば
11か月前
6

【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #61.0

「彼に気に入られたみたいですね。店の人間にもそんなことするの見たことがないです」 ビギーは急に静かになり、そして鳥籠の中でゆっくり羽を伸ばした。その様子を、ドレ…

すぱのば
1年前
2

【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #60.0

「元気そう・・だよね?」 痩せたり太ったりとかもなく、毛並みというか、羽のツヤもよく、生命のエネルギーのようなものを感じられる。もちろんキバタンの健康状態の目安…

すぱのば
1年前
5

【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #59.0

僕たちそれぞれ、短冊に書くことにして。何を書いたっけな」 思い出を辿りながら続ける。 「たしか僕は『世界一周したい』って書いた。当時、僕は世界の国々に興味を持ち…

すぱのば
1年前
5

【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #58.0

 午後の授業は現代社会からだった。テーマは科学技術の発達と生命で「生命の尊厳」についての授業だった。重要ワードとしてSOLが黒板に黄色いチョークで書かれて、何の略…

すぱのば
1年前
6

【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #57.0

さらに言えば、アルバイトをしてるわけでもないので、なにか策を考えなければならない。丁度よい提案といいながら、それすらもうまく叶えられない自分が情けない。そして、…

すぱのば
1年前
7

【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #56.0

席に座り、一通り準備を終えてから、スマートフォンを取り出し、データを移動させておいた昨夜の文章をチェックした。ドレラに見られでもしたらなんだか恥ずかしいので、ま…

すぱのば
1年前
6

【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #55.0

自宅に戻り、少し遅めの夕食を済ませた。部屋に戻って、PCの電源を入れ、 デヴィッド・ボウイについて少し調べた。食井さんが教えてくれたアルバムが相当に有名なアルバム…

すぱのば
1年前
7

【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #54.0

ミキモト君に聞いてはいたものの、実際に見るまではやはり緊張する。ちゃんとビギーはいるだろうか。ドレラもそれは同じみたいで、表情が硬くなっている。 しかしビギーの…

すぱのば
1年前
4

【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #53.0

「さすがです、食井さん。私が見込んだだけあります。ありがとうございます」 気がつくと「Moonage Daydream」は終わっていて、次の曲に変わっていた。食井さんは針を上げ…

すぱのば
2年前
9

【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #52.0

僕は食井さんの気が変わらないうちにと、ポケットからスマートフォンを取り出し、ビギーの動画をセットしてレジの前に置いた。今日のビギーの動画だ。 小さな画面からビギ…

すぱのば
2年前
9

【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #51.0

「キネン君にしては鈍いわね」 「いや、全然わかんないんだけど」 「だって、キネン君も知ってる人だよ」 「え、僕も知ってる?音楽に詳しい人?」 「そう」 皆目検討…

すぱのば
2年前
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【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #66

【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #66

朝、アラームが鳴る前に目が覚めた。夢の中での不思議な感覚が、なかなか振り払えない。枕元のスマートフォンを手に取り時間を確認する。と同時にドレラから通知が来ていることに気がつく。昨日の僕のメッセージに反応したものだった。期待していた通りの、早く知りたいという内容で、僕は満足した。それに対して、「学校でね」というシンプルなメッセージを添えて、彼女の返事を待った。

その間に、僕は顔を洗い、朝食を食べ、

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【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #65.0

【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #65.0

ミキオ君はキミオ君からビギーの件は聞いているらしく、僕たちがやろうとしていることを知っていた。むしろそのことにドレラが「なんで知ってるの?」と驚いていたのが可笑しかった。

おばちゃんが運んできてくれたラーメンを啜りながらスマートフォンをチェックした。その瞬間、箸をスープの中に落としてしまった。

「ちょっと、どうしたの」

「イギーから返事」

「うそ、なんてなんて?」

君なら画面をそのまま渡

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【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #64.0

【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #64.0

駅を降りてからぎこちない会話をいくつか交わして、家に着いた。妹は部活だし、母親は仕事だろう。おなじみのシチュエーションだが、最近出演者がいつもより一人多い。僕はふわふわとした緊張感に包まれながら、ドレラを案内し、お茶を出し、着替えてから自分の部屋に戻った。ドレラはその間特になにをするでもなく正座して待っていた。

僕は机の引き出しを漁り、通帳を見つけ出して、ドレラの横に座った。

通帳をテーブルの

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【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #63.0

【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #63.0

何が起きたのかしばらく飲み込めなくて、世界が静止したみたいに動きを止めてしまった。ドレラも同じみたいだったけど、なんとか口を開いた。

「これ、信じていいのかな?こんなうまくいくかな?詐欺とかじゃないよね?」

「詐欺なら逆じゃない?口座を教えるからお金送れって」

「そっか、あれ、それじゃ僕たちの方が詐欺やってるみたいにみえない?」

キミオ君が間に入った。
「だからこそイギーは君たちを信じてる

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【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #62.1

【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #62.1

いつの間にか眠っていて、そのまま朝になっていたらしい。
重たい身体を起こし、いつものように支度をして、学校に向かった。

起きてから学校に向かう今まで、スマートフォンを何度も確認したが反応はなかった。

「キネンくん」

改札を出ると、ドレラとキミオ君が立っていた。

「お久しぶりです」

「そんな久しぶりじゃないでしょ」

ドレラが横でクスクス笑っているのを見て、気がついた。よくみたら楽器も持っ

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【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #61.0

【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #61.0

「彼に気に入られたみたいですね。店の人間にもそんなことするの見たことがないです」

ビギーは急に静かになり、そして鳥籠の中でゆっくり羽を伸ばした。その様子を、ドレラと僕はじっと見守った。進展も質問もなさそうだとわかると、なにかあれば、といって再び店員は去っていった。

「ビギーは本当にすごいね」とドレラは言った。

「ビギーが自由を求めていることは伝わってきたよ。はやく彼を自由にしてあげて、イギー

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【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #60.0

【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #60.0

「元気そう・・だよね?」
痩せたり太ったりとかもなく、毛並みというか、羽のツヤもよく、生命のエネルギーのようなものを感じられる。もちろんキバタンの健康状態の目安とかなんてわかっていないけれど。

「うん、大丈夫そうな気がする」

彼女は微笑みながら指でそっと鳥籠を撫でた。僕も鳥籠に近づき、様子を伺った。

「ビギー、元気そうだね。君を救うために今頑張ってるところなんだ、もう少しだけ待ってて」

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【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #59.0

【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #59.0

僕たちそれぞれ、短冊に書くことにして。何を書いたっけな」

思い出を辿りながら続ける。

「たしか僕は『世界一周したい』って書いた。当時、僕は世界の国々に興味を持ち始めて、いろんな国を訪れることが夢だったんだ。知ってる国なんてたかが知れてたけどね。でも、当時は、というか今もだけど家族で国内旅行したことがあっただけで海外なんて行ったことなかったから、世界一周旅行なんて考えただけでもワクワクしたんだ。

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【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #58.0

【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #58.0

 午後の授業は現代社会からだった。テーマは科学技術の発達と生命で「生命の尊厳」についての授業だった。重要ワードとしてSOLが黒板に黄色いチョークで書かれて、何の略か考えてみろと、頭頂部が薄くなっていて、銀色の細いフレームの眼鏡(心なしか斜めにずれ落ちている)の男性教員が生徒に向かって問いかけていた。
 SOL、なんかの歌で「Suck Of Life」ってあった気がする。suckってどんな意味だろう

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【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #57.0

【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #57.0

さらに言えば、アルバイトをしてるわけでもないので、なにか策を考えなければならない。丁度よい提案といいながら、それすらもうまく叶えられない自分が情けない。そして、その策というのも昼食代を切り詰めるしかないとわかっているので尚更だ。

「じゃあ、契約成立ですね。謹んで依頼をお受けします。誠意を持って仕事に取り組みたいと思います」

そう言うと、キミオ君がおもむろに僕に近づいてきて、ドレラに聞こえないで

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【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #56.0

【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #56.0

席に座り、一通り準備を終えてから、スマートフォンを取り出し、データを移動させておいた昨夜の文章をチェックした。ドレラに見られでもしたらなんだか恥ずかしいので、まだ来てなくて良かったのかもしれない。改めておかしなところはないか見返した。イギーはもとより、キミオ君に変な文章だと思われたくなかった。いちおう先輩だし、こんなもんかみたいにも思われたくない。三回最初から最後まで見返して、自分の中では大丈夫だ

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【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #55.0

【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #55.0

自宅に戻り、少し遅めの夕食を済ませた。部屋に戻って、PCの電源を入れ、
デヴィッド・ボウイについて少し調べた。食井さんが教えてくれたアルバムが相当に有名なアルバムであることもわかったし、イギーとの関係も多少なりとも理解できた。

何よりボウイさんの偉大さが、ネットサーフィンをしてるだけで分かりすぎるほどにわかった。多分それってすごいことなんだと思う。そして動画サイトの検索窓に「david bowi

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【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #54.0

【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #54.0

ミキモト君に聞いてはいたものの、実際に見るまではやはり緊張する。ちゃんとビギーはいるだろうか。ドレラもそれは同じみたいで、表情が硬くなっている。

しかしビギーの鳥籠が近づき、中の様子がわかってくるにつれてそれは安堵に変わる。そう、前と同じ姿でビギーは僕らを出迎えてくれた。いや、出迎えてくれていると思ってるのは僕達だけだろうけど。器用に嘴で毛づくろいをしているビギーの前に僕らは立った。

「ねぇ、

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【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #53.0

【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #53.0

「さすがです、食井さん。私が見込んだだけあります。ありがとうございます」

気がつくと「Moonage Daydream」は終わっていて、次の曲に変わっていた。食井さんは針を上げ、盤をプレーヤーから取り上げ、皿を回すように盤の具合を目で確かめてからスリーヴに戻した。そしてジャケットに綺麗に収めてから僕たちに言った。

「とりあえず1曲だけでもわかってよかったよ。まぁ、いま店にあるボウイのレコードを

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【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #52.0

【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #52.0

僕は食井さんの気が変わらないうちにと、ポケットからスマートフォンを取り出し、ビギーの動画をセットしてレジの前に置いた。今日のビギーの動画だ。

小さな画面からビギーの動画が流れ始める。食井さんは腕を組み黙って画面を覗いていた。

食井さんがもしビギーのことを知っているならば、これまでのいきさつを話すべきなのかもしれないが、どうやら知らないようだ。音楽好き、ロック好きだからって誰もがイギーのビギーの

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【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #51.0

【連載小説】アナザー・ガール アナザー・プラネット #51.0

「キネン君にしては鈍いわね」

「いや、全然わかんないんだけど」

「だって、キネン君も知ってる人だよ」

「え、僕も知ってる?音楽に詳しい人?」

「そう」

皆目検討もつかないとはこのことだ。僕の知っている人で音楽に詳しくて、しかもドレラと共通の知り合い。そんな人がいるとは思えない。

「あ、わかった。ミキオ君だ。音楽やってるし、僕も知ってるし」

「ブブー。違うよ」

なぜかとても嬉しそうな

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