大竹高史

会社員|セキュリティコンサルタント|プロジェクトマネージャー。NECを退職後、日々、I…

大竹高史

会社員|セキュリティコンサルタント|プロジェクトマネージャー。NECを退職後、日々、ITシステムの構想と実装に勤しんでいます。写真も撮ります。著書『さよならセキュリティ』も宜しくお願いいたします。CISSP、PMP、中小企業診断士。

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ひみつ道具の原理原則|映画『オッペンハイマー』

 米国から遅れること8ヶ月、今年のアカデミー賞を盛り上げた映画『オッペンハイマー(Oppenheimer)』が日本でも公開された。原爆の父として知られる稀代の物理学者が、なぜ今また取り上げられたのか。ロシアによるウクライナ侵攻が止まず、とうとう核兵器利用の可能性まで疑われる中、やはりこんなものを作るべきではなかったという歴史批判なのだろうか。それはそのまま、現代に突如現れ、私たちを混乱させている生成AIに対する警告とも捉えることができる。コンピューターだって、インターネットだ

    • AIにおけるセンスの欠如|『未来のかけら』展

       世の中はすっかりAIである。SNSのタイムラインに溢れる画像や映像の作り手の多くが、次々とAIに置き換わっている。それはフェイクニュースの文脈を受け継ぐものであり、だからなのか、AIは不気味なものという印象を強めている。先月、欧州議会は、AIに関する包括的な規制法案を可決した。今後AIを用いて生成した画像、映像、音声コンテンツには、その旨を明示することが義務付けられる。これが果たして、かつての私たちが夢見たテクノロジードリブンな世界なのだろうか。もっとカッコ良い社会の訪れを

      • 音楽は誰のもの|Snarky Puppyの来日公演

         グラミー賞の常連、Snarky Puppyの5年ぶりの来日公演はBillboard Liveにて、いまや貴重なクラブ開催となった。前回、2019年はQUATTROとCITTA'というライブハウスでのオールスタンディングだったことを思うと、着座でじっくりと堪能できることがありがたい。自らがフェスを主催し、ライブレコーディングを好むご機嫌なパフォーマンス・コレクティブを今回このようなスタイルで迎えられるのは、日本の音楽ファンの懐の深さもあるのだろう。東京、大阪と即日完売し、ひそ

        • 生きづらさ|横浜トリエンナーレ

           3年おきに開催される横浜トリエンナーレはいつも私たちに重くのしかかる。それぞれに強い力をまとったアート作品が群れをなして迫ってくる。今回のテーマは「野草」。決して目立たなくとも、たとえ踏まれようとも、折れない意思を表明している。それは執念とも取れる態度であって、観るものを圧倒する。消耗させる。引用元は魯迅(Lu Xun)の散文集のタイトルだという。形式も内容も様々な小作品の集まりがこのトリエンナーレ自体を想起させるだろう。中国文学者・竹内好氏いわく『野草』は「芸術的完成さで

        ひみつ道具の原理原則|映画『オッペンハイマー』

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          イギリスがひらく食と音|Yussef Dayesの来日公演

           代々木上原にオープンしてまだ半年のイノベーティブなレストラン「Ukiyo」のランチタイムには、ユセフ・デイズ(Yussef Dayes)氏の『Black Classical Music』が流れていた。忙しい時間帯にも関わらず、カウンターの脇に置かれたプレイヤーでわざわざレコードを掛けるほどの拘りだから、翌月に迫る来日公演を意識した演出だったのかもしれない。決して派手ではないけれど熱い音楽が、静かに高揚感を煽る。それは、おとなしそうに見せかけて、しっかりとスパイスを効かせたU

          イギリスがひらく食と音|Yussef Dayesの来日公演

          聴くことと、弾くことと|Meshell Ndegeocelloの来日公演

           グラミー賞にて、今年から新設されたベスト・オルタナティヴ・ジャズ・アルバム部門はミシェル・ンデゲオチェロ(Meshell Ndegeocello)が勝ち取った。1960年代生まれのベテランがシーンを牽引していると思うと頼もしい。8年ぶりのオリジナル盤『The Omnichord Real Book』は、老舗ブルーノートに移籍してのリリースだ。これまで様々なアーティストをサポートし、プロデュースしてきた氏の作品に相応しく、多くの話題のミュージシャンがクレジットに名を連ねる。ジ

          聴くことと、弾くことと|Meshell Ndegeocelloの来日公演

          オリジナルに想いを馳せて|ゴッホ・アライブ

           東京・品川の寺田倉庫G1ビルでは、ゴッホ・アライブ(Van Gogh Alive)が開催されている。これまで世界99都市を回り、延べ900万人もの来場者を誇るという話題の体験型インスタレーションが、いよいよ東京にやってきたのだ。そのコンセプトは至ってシンプル。運営するGrand Experience社によれば、「3,000点を超えるゴッホの巨大な画像が、壁、柱、天井、床までを埋め尽くすスリリングなディスプレイを作り出し、ゴッホ独自のスタイルを構成する鮮やかな色彩と生き生きと

          オリジナルに想いを馳せて|ゴッホ・アライブ

          株高時代の未来主義|見えない未来を変える「いま」

           昨年2023年、記録的な上昇(28%、7,369円)により3万3,464円で終えた日経平均株価は、年が明けても好調を維持し、一時は3万7,000円(1月23日)を伺わせるほどの賑わいを見せている。10年前に導入されたNISA(少額投資非課税制度)の制限枠が大幅に緩和されたことも相まって、いよいよ貯蓄から投資への流れが加速するのかも知れない。背景には少子高齢化に端を発する年金制度の限界がある。2019年に金融庁の市場ワーキング・グループがまとめた報告書には、「(65歳以降)3

          株高時代の未来主義|見えない未来を変える「いま」

          音楽というアート|坂本龍一氏のトリビュート展

           坂本龍一氏はミュージシャンとして知られている。代表曲である「Merry Christmas Mr.Lawrence(戦場のメリークリスマス)」(1983)や「energy flow」(1999)のピアノの旋律を聴いたことがない人は少ないだろう。実際、東京藝術大学で作曲を学び、大学院で修めた氏はいわゆる正統な音楽家である。一方でその活躍は音楽の枠に収まっていない。映画『戦場のメリークリスマス』、『ラストエンペラー』(1987)への俳優としての出演は傍に置いたとしても、レコード

          音楽というアート|坂本龍一氏のトリビュート展

          2024年のはじまり|万物の黎明

           2024年の日本は能登半島地震からはじまった。元日に最大震度6強を記録した能登市中心部・朝市通りでは200棟以上の店舗や住居が焼ける火災が発生し、翌2日には支援物資を届けようと羽田空港の滑走路で離陸の準備を進めていた海上保安庁の航空機に、着陸してきたJAL516便が衝突した。燃えさかる満員のエアバスA350-900型機からは奇跡的に全員が脱出できたけれど、海保機の乗員は機長を除く5人全員が亡くなっている。最悪の年明けである。被災地では沿岸部を中心に土砂崩れなどによる道路の通

          2024年のはじまり|万物の黎明

          香りを通じて|蜷川実花氏の個展『Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠』

           東京虎ノ門・TOKYO NODEでは、開館記念企画の第二弾として、蜷川実花氏の個展『Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠』が開かれている。その人気の高さから規模が大きくなりがちな氏のエキシビジョンの中でも史上最大級と言われる今回は、11もの展示室に写真と映像と造形が組み合わさった作品が詰め込まれている。そして、そこはもちろん多彩な色に溢れている。枯れた黒や茶色、眩しい緑やピンク、瑞々しい赤や青、黄色。今の時代に一切のCGを使っていないというのは、写真家と

          香りを通じて|蜷川実花氏の個展『Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠』

          日本のジャズと文化|上原ひろみさんと、挾間美帆さんを聴いて

           ジャズピアニスト・上原ひろみさんが新たに結成した「Sonicwonder」というバンドを引き連れて、ジャパンツアーを回った。アルバム「Sonicwonderland」(2023)をリリース後、アメリカ国内とヨーロッパ6ヵ国を巡ってからの来日公演には日本中から期待が寄せられていた。急遽追加された初日、東京・コットンクラブは唯一のクラブ公演だったこともあってか、混み合う予約サイトがうまく応答を返せないままに売り切れている。当日は珍しく満席の店内を見渡して、この場の老若男女が挙っ

          日本のジャズと文化|上原ひろみさんと、挾間美帆さんを聴いて

          物質代謝論を引きながら|オラファー・エリアソン展「相互に繋がりあう瞬間が協和する周期」

           開館したばかりの東京・麻布台ヒルズギャラリーでは、オラファー・エリアソン(Olafur Eliasson)展が開かれている。副題となっている「相互に繋がりあう瞬間が協和する周期」(2023)とは、隣接する森JPタワーに設置されたパブリックアート作品のこと。高さ15mの天井から吊るされる、一筆書きの曲線で描かれたような縦横3mの球形オブジェクトは、よく見ると十一面体の小さなブロックの集合から成っている。まるで一昔前の三次元コンピューターグラフィックのようにも見えるのは、再生亜

          物質代謝論を引きながら|オラファー・エリアソン展「相互に繋がりあう瞬間が協和する周期」

          国語の問題|文学のエコロジー

           少子化が進むにもかかわらず、来年は過去最高の希望者数が見込まれるほどに過熱する中学受験。受かってしまえば間違いなく将来の可能性が広がる、特に最難関校においては一体どんな出題がなされるのだろうか。受験塾の講師先生の話が興味深かった。国語の長文読解に登場する主人公は親を失っていたり、ひどく貧しかったりすることが定石なのだとか。あるいは一昔前の話であるとか、地方の話であるとか、いわゆるその学校を受験する子どもたちが想像もできないような境遇が描かれることが多いのだそうだ。なるほど、

          国語の問題|文学のエコロジー

          ジャズをつなぐ理由|Roy Hargroveのドキュメンタリー映画『人生最期の音楽の旅』

           2018年に49歳の若さでこの世を去ったトランペット奏者、ロイ・ハーグローヴ(Roy Hargrove)。長年の友人でもあったエリアン・アンリ(Eliane Henri)が撮影したドキュメンタリー映画が、いよいよ日本でも公開された。結果的に最後となってしまったツアー中のハーグローヴを追った作品は、氏の才能と苦悩を、美しくも儚く描き出している。イタリアの町を歩くシーン。足を引きずる様子からは、晩年の病状の悪化が見て取れる。それでもステージに立てば、笑ってしまうほどの軽快なグル

          ジャズをつなぐ理由|Roy Hargroveのドキュメンタリー映画『人生最期の音楽の旅』

          未来のスポーツカーに見惚れてみても|JAPAN MOBILITY SHOW 2023

           東京モーターショー改め、JAPAN MOBILITY SHOW(ジャパンモビリティショー)が東京ビッグサイトで開かれた。新型コロナウイルスによる2021年の中止をはさんで4年ぶりの開催となった今回は、音楽フェスも組み込まれて、よりマスなイベント色が強まった印象だ。原動機から転じて自動車を意味する「モーター」という言葉が、広く移動体や交通・輸送サービスを指す「モビリティ」に置き換えられたことによって、関わる人たちが増えている。主語が車メーカーから、私たち市民に移ったと捉えるの

          未来のスポーツカーに見惚れてみても|JAPAN MOBILITY SHOW 2023