記事一覧
重ね合わせ(Work in progress.)
第一段階
凪
誰かに内側からずっと見られている感覚
少しずつ自分が透明になっていく
失うのではなく透き通っていく
逆相位のホワイトノイズ
知っていることすべて
感じたことすべてが
見えない光がゆっくり射してきて
みな透き通っていく
透明になることに恐怖し
飛び降りて死のうとした男は
飛び降りていく自分を上から眺めている自分に気づき
気がついたらその上から眺めている自分になり
飛び降りた「かも」しれ
overwriting.
ことばで世界を上書きする
あったことをなかったことにするんじゃなくて
あったことの意味そのものをあるがままの形にするために
閉じた理解をもういちど僕たちの手元に引き寄せて
それがまだ生きてるってことをたしかめて
神経をつなぎ直し
呼吸がしやすいように胸元のボタンをひとつ外して
そうすればきっとまた
きみは光を身にまとい
過去も未来も引き連れて違う姿で現れる
ことばは壁じゃなく
皮膚に沿って走る皮膜
Ghosts of Mars.
ぼくらの目にする、通りのあちこちにこびりついている残像は、目の錯覚なんかじゃなく実体があって、それがエネルギーの残滓で出来ている以上、ぼくらの存在と同じくらいにはリアルで、どちらも常に過去に捉われ、未来に置き去りにされていて、結局のところどちらにもたいした差は無い・気がつけば簡単にすりかわってしまうほどに希薄な意思・どうやらぼくらははじめから記憶の中にだけ存在するみたいだ・もっと計り知れなく恐ろし
もっとみる2011年2月10日。
乾いた瞳
襲いかかる日々の光景に
無防備にさらされて
指先で神経をなぞられるような
吐き気のする外の寒さに放り込まれて
生きることそのものが
執拗な痛みを伴う様になって
悲しみが
もはや激しい感情を伴わなくなって
懐かしい全てのものが
腐れ落ちて
息ができない
自分がかつてなりたかったものが
なれなかったものに変わって
思うままに言葉を発したり
形づくったりすることすら規制されて
2010年8月19日。
1
さざなみひとつ立てない頑なな水面
いつだって流動的だと思っているようだけど液体にだって言い分はある
今日は何があったってぜったいに揺れないと決めた
無為無謬
内側でどんなに渦巻いたって
たちまち逆向きにねじれて
ぜんぶ無かったことにしてしまう
心を動かしたり何かを感じ取ったりすることに
そうたいした意味があるとは思えない
意図が読みきれないって察しの通りそれは意図が無いって事
今日いちにちは何
★AUSTRALIA 「カンガルーと稲妻」劇中詩
★AUSTRALIA
オン★サンデイ★モーニング
カーテン越しに乱反射する春の太陽
腰のあたりをくすぐる温もり
目を醒ますのは
とても簡単なことだ
まぶたを開いて
差し込む強い光を受け入れ
スポイト一滴分の頭痛に耐える勇気があればよい
一日はもう勝手に始まっている、と考えてみよ
しっかり見てはいけない
ぼんやり捉えて
すばやく引き上げろ
そして出会うのは
手をついて