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平成は終わり、わたしは大学院を辞めた
タイトルの通りだ。わたしは本日をもち、大学院を中退する。手続きはおそらく済んでいるとおもう。本当は、退学ではなく除籍がよかった。
「除籍」、「抹籍」というのはどちらも退学の一種であり、大学側による処遇を示す。除籍は今回の私のように期日までに復学手続きを行わなかったり、学費の未納が続く場合などに、それまでの取得単位などと含め大学内での履歴が削除される。抹籍はさらに重大で、たとえば罪を犯した場合な
ひとよ、ケアの観念と知性をもて
『窓の外の結婚式』
原作:柳美里
演出:堀川炎
芸術監督:平田オリザ
これは、日本における「ケア」観念の欠如による加害の連鎖の物語である。
利賀創造交流館のおおきなブラックボックス。舞台下手には洗濯ロープがゆったりと張られ、大きな白いシーツがかかっている。中央手前にダイニングテーブル、イスが向かい合わせに2脚、背もたれのない二人掛けのチェアが1つ。下手奥にスタンドライトが置かれている。上手に
良い夜のためのソネット
良い夜、というものが、わたしを迎えなくなって、どのくらいになるのだろう。わたしが夜を迎えるのではない。人が夜を迎えるのではない。ほんとうは、夜のほうが人を迎えにくるのだ。
けれどわたしには夜は来ない。もうずっと、まるで遠い昔にそう定められたみたいに。
わたしには、ほんのわずかなことばの芽だけがある。人よりほんのわずかできるだけで、勉強のできない人間、そういう、ほんのわずかな才能だけが、わたし
トウキョウ・デッドエンド
これを書くのはわたしのため。わたしのような悲しみを背負っただれかのためにじゃない。わたしのかなしみのため。わたしのかなしみにわたし自身が少しでも寄り添い、そしてそのかなしみを少しでも癒すため。けれど、そんなことはできないのだと知っている。
私の生まれは石川県の中都市。中都市といっても人口10万人と少しの、ぎりぎりの中都市。両親は理髪店を営んでいて、父はその3代めだった。わたしは生まれてすぐに