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自分の「子育て」大丈夫? 子供と共に成長するためのマインドセットとは

「なるほど、これほど体系的に『子育て』を考えたことはなかったかも…」

子供を持つ親が日々頭を悩ますのが「子育て」つまり、子供との接し方です。人は親になる術を学ばず、ある日子供を授かり、その日を境に「親」になります。「子育て」についてちゃんと学ばないまま、子供の成長とともに親はいろんな悩みを抱えながら過ごす。そんなケースは多いのではないでしょうか。

一方で、2-30年前の私が子供の時代だった時と比べて今の親たち特有の悩みがあります。それは無数にある「子育て情報」の海。現代の親達は、ネットやSNS、書籍にあふれかえる多すぎる「子育て情報」に溺れているとも言えます。

昔なら自分の家族や近所のおじさんおばさんから入って来る知恵袋的な情報がメインのソースでしたが、いまや日本中、ひいては世界中からあらゆる情報をかき集められます。その結果、何が正しいのかわからない、という諦めにも似た心境を抱きかねません。

そんな中で、これはバイブルになりえるのでは、という一冊に出会いました。世の子育てに悩む多くの親達の救いの手になるのではないかと思います。その書籍からの学びを通して、子供だけでなく、親自身が成長できる視点について考えてみたいと思います。

変化の多い教育の中で求められる親のありかた

世の中は新しい生活様式、ニューノーマルという言葉のもと、音を立てて変化していますが、それは教育の現場でも同じです。小学校の新学習指導要領には新たに、「創造力」「表現力」「主体性」といった項目が追加されるとのこと。

これらは「非認知能力」といわれるものです。つまり従来型のテストなどで画一的には測れない能力です。この背景にはこれからの子どもたちが生きる未来に対して求められる力に関係があります。それは「与えられた課題の正解を求める力」よりも、「自分で問いを立て、解決策を仲間と協力しながら考え、生み出す力」。非認知能力はそのベースとなる力ですね。

これ、子供の話ですが、我々日々仕事をしているビジネスの現場でも全く同じことが言えそうです…。びっくりしてしまいますが、未来を担う子供たちの成長を考えると非常に重要な力であるのは事実ですね。親としては「自分もままならないのに子供にそのような力を養っていけるのか…?」と不安になりそうですが、それだけ親も成長していかなければいけないということだと思います。

子育ての「ベスト」とは

そこに、希望の光となる書籍が子育てベスト100です。この本は子供たちが「これからの世界に必要な力」を身につけるための子育ての視点を100個厳選してまとめてくれている正に「ベスト」と言うにふさわしい内容です。100個と聞くと「多すぎ・・・」「私には無理・・・」と思いがちですが、できることからやって行けば良いので、ヒント集として気軽な気持ちで参考にするのが良いです。

「気軽に」と書きましたが、内容は非常にしっかりした作りです。膨大な「研究成果」に裏付けされているのでどのヒントも納得感が非常に高いです。

この本は「コミュニケーション力」や「自己肯定感」「創造力」といった非認知能力を伸ばす方法から、「家庭学習」「遊び」「習い事」「読書」「食事」「運動」「睡眠」まで、子どもにまつわる様々なテーマを扱っています。正にオールインワンの全部入り教科書といった印象。子供を持つあらゆる親御さん必読の一冊かと思います。

本書の作者である加藤さんは「3歳~小学6年生」を中心に本書を書き上げたそうですが、中学生になっても、ひいては高校生のお子さんに対しても応用可能な内容も多いです。「うちはもう手遅れ」「子供は大きくなったし」と思わずに子どもに関わるあらゆる方々におすすめしたい一冊です。

ベスト100をざっとチェック

子育てで難しいのは「正解などない」ということ。なぜなら、子供は一人ひとり違いますし、親であるあなたも一人ひとり違います。そこに家庭や学校などの環境要因が複雑に絡みます。よって悩みのケースは十人十色。自分の悩みに効く処方箋を自分で探し出すことが大切です。そういう意味でも、この100個のヒントにはどこかに必ず自分の子供に役立つヒントがあると思います。

詳しい内容は本書に任すとして、書かれているテーマをざっと見てみましょう。これを見るだけでもキーポイントがイメージできたりします。この中で関心のあることが少しでもあれば、是非本書を手に取り、ご参考にされてみてはと思います。

SECTION 1「コミュニケーション力」をつけるには?――早くから「言葉のシャワー」を浴びせてあげる

01「対話」をする――質問・反論で考える力を磨く 
02「聞く力」を身につける――学力にもつながる大事な能力 
03 子どもの話を聞く――否定せずに言葉を引き出す 
04「ごっこ遊び」をする――遊びでさまざまな力を身につける 
05「スキンシップ」を大切にする――脳にも心にもいい「やさしい刺激」 
06 叱る――叱るときは具体的にわかりやすく 
07「根拠のない自信」をつける――強く生きていくための大切な力 
08「読み聞かせ」をする――集中しなくても気長に読めばいい 
09「楽しい週末」を過ごす――週末の交流で多様な価値観に触れる 
10「しぐさ」を読みとる――体からのメッセージを拾ってあげる 
11 話を「しっかり」と伝える――どんな言い方がいちばん伝わる? 
12「ケンカの仲裁」をする――ケンカも学びの場にできる 
13「感情」をコントロールする――コミュニケーションの核となる力 
14「スマホのルール」をつくる――依存のリスクから子どもを守る 
15「家族会議」を開く――子どもと話す機会をつくる 
16「挨拶」をする――義務ではなく、楽しめるように 
17「プレゼン力」を鍛える――うまく話せる「型」を手に入れる 
18「手本」を見せる――親も子どもと一緒に成長する 

SECTION 2「思考力」をつけるには?――「考えるチャンス」を最大限に増やす

19「好きなこと」を見つける――機会がなければ見つからない 
20「観察眼」を磨く――生まれながらの能力を伸ばす 
21「オープン・クエスチョン」をする――「WHY」「HOW」「IF」を上手に使う 
22「考えるきっかけ」をつくる――思考をうながす言葉がけとは? 
23「失敗」を成長の糧にする――信じて自分で立ち直らせる 
24「深掘り」の意欲を伸ばす――成績より過程に注目する 
25「アナログ」のゲームで遊ぶ――夢中になりながら頭を使う 
26「金銭感覚」を身につける――自己管理を体験する 
27「やり抜く力」を養う――努力と情熱がものをいう 
28「男女の違い」に対応する――特徴を知って能力を伸ばす 
29「子ども扱い」しない――子どもに「敬意」をもつとは? 
30「思考」を掘り下げる――「デザイン思考」を体験する 

SECTION 3「自己肯定感」をつけるには?――変化に強い「折れない心」をつくる

31「良質な睡眠」をとる――日本の子どもは睡眠が足りない 
32「多様な視点」を手に入れる――ひとつの正解だけをめざさない 
33「自制心」をもたせる――自分を抑える技術を知る 
34「レジリエンス」を鍛えるーー強く生きていける「心の筋肉」
35「感謝の心」を育てる――心を豊かにする感謝のスキル 
36「なんでも言える環境」をつくる――勇気をもって甘やかす 
37 家族の「一戦力」にする――まかせて、感謝する 
38「習い事」をする①――習い事を選ぶ 
39「習い事」をする②――スケジュールをゆったり組む 
40「習い事」をする③――お金のやりくりをする 
41 受け入れる――無条件で認めてあげる 
42 決めつけない――「値踏み」で可能性をせばめない 
43 押しつけない――「いい距離感」で接する 
44「家族旅行」をする――成長に大切な非日常体験 
45「小さな喜び」を味わう――つらさに打ち勝つ「お楽しみの貯金」 
46「強み」に注目する──注目すれば伸びていく 
47「生き物」を飼う──「お世話」でやさしい心を育てる  

SECTION 4「創造力」をつけるには?――柔軟な脳にたくさんの「刺激」を与える

48「楽器」を習う──楽しんで創造力を伸ばす 
49 本物を「体験」する──体を動かして五感を刺激する 
50「型」にはめない──口をはさむのをぐっとこらえる 
51「ゲーム」とつきあう──ゲームをコミュニケーションに生かす 
52「好奇心」を伸ばす──親自身が「ワクワク」を追求する 
53「肯定表現」で話す──ネガティブな思考を切り替える 
54「アート」に触れる──気軽にいろんな感想を語る 
55「没頭」させる──フローに入るのを邪魔しない 
56 つくる&試す──手を動かしながら答えを見つける 
57「想像力」を豊かにする──いまの「無駄」が将来の力になる 
58「瞑想」する──親子でやれば楽しくできる 
59「ぼーっ」とする――子どもは意外と疲れている 
60「本」で囲む――読書は地頭をよくする万能の習慣 
61「落書き」をする――脳の非集中モードで創造力がアップ 

SECTION 5「学力」をつけるには?――効果的なフィードバックで「やる気」を引き出す

62 子どもの「タイプ」を知る――タイプに合わせて学習法を選ぶ 
63「算数力」をつける――楽しみながら数字を身近にする 
64 一緒に「計画」を立てる――計画立案で実行機能を伸ばす 
65 書く①――書くことを「好き」になる 
66 書く②――「日記」をつける 
67 書く③――「文章の型」を知る 
68 勉強を「習慣」にする――無理なく楽しく続ける方法 
69「プログラミング」を学ぶ――試行錯誤で頭を鍛える 
70 くりかえす――変化と負荷を上手に加える 
71「語彙」を増やす――いろんな理解をラクにする基本の力 
72「無駄」を削る――勉強を合理化して「余裕」をつくる 
73「英語」を身につける――英語を「遊び道具」にしてしまう 
74 子どもに教わる――人に教えると「知識」が頭に入る 
75 時間をあけて「復習」する――覚える科目に最適の方法 
76 ほめる――何をほめるかで大きく変わる 
77「フィードバック」する――ポジティブに課題を伝える 
78「優先順位」をつける――ふせんで行動を整理する 
79「音読」する――間違ってもいいから「楽しく」読む 
80「ごほうび」をあげる──モチベーションを上げる報酬 
81「やる気」をつくる──「自分からやる」意欲を引き出す 
82「サポート」する──過干渉にならない支え方 
83 一緒に「学校」を決める──実績だけで選ばない 
84「自分のスペース」をもつ――ポテンシャルを伸ばす環境とは? 
85「早寝早起き」をする――脳のために十分な睡眠をとる 
86「集中力」をつける──集中できるのはせいぜい15分 

SECTION 6「体力」をつけるには?――「栄養と運動」で脳と体を強くする

87 バランスよく「栄養」をとる――よい食事のシンプルな本質 
88「おやつ」をあげる──糖質より脂質に気をつける 
89「朝ごはん」を食べる──シンプルなパターンをつくる 
90「外食」を楽しむ──親子でリラックスできる貴重な機会 
91「好き嫌い」をなくす──苦手があるのは自然なこと 
92 一緒に「料理」をする──五感を育む刺激的な体験 
93「お弁当」をつくる──愛情をこめつつ、手間は少なく 
94「旬」を生かす――自然のサイクルを食事にとりこむ 
95「惣菜」を活用する――塩分と油に注意して賢く使う 
96「免疫力」をつける――病気になりにくい体をつくる 
97「体」を動かす――ケガをしにくい体をつくる 
98「スポーツ」をする――マルチな競技をのびのび楽しむ 
99 噛む力をつける――よく噛むと頭も体も強くなる 
100「目」を守る――スマホ時代にケアすべきこと 

目次だけでも相当リッチな内容ですね。はじめ読んだ時にできてないことだらけで冷汗が出ました。できていない今を受け止めて、前向きに手を打って行こうと思います。

個人的には『SECTION 3「自己肯定感」をつけるには?変化に強い「折れない心」をつくる』が非常に参考になります。「自分を信じる力」、「折れないメンタリティ」さえ養うことができたら、様々なことにチャレンジし、コツコツ成長していける子供に育つと思います。

そしてこの領域は親の役割が非常に大きいと感じました。特に「心を豊かにする感謝のスキル」「勇気をもって甘やかす」「まかせて、感謝する」「無条件で認めてあげる」「値踏みで可能性をせばめない」「 押しつけない」この辺りは目から鱗の気づきも多く、たくさんの親ができていないところではないかと思いました。

コロナ禍の今、親が果たす役割

今の時代、子供が社会生活の中で自然に学ぶ、という領域が一昔前に比べて激減しているように思います。一つはテクノロジーの進化、ネット、スマホの普及。そして、教育自体も個別最適化の傾向が強くなってきています。

昔は公園で遊ぶ時も上級生と下級生の縦の構造があり、その中で社会性を養うことができました。今は特に都会では公園なのにボール遊びできないなど、ルールが厳しく公園に集まって遊ぶことが減っています。

そこに追い打ちをかけるのがコロナのパンデミック。家にいる時間が必然的に長くなると、人と会話する頻度は激減します。コミュニケーションの絶対量がますます減少し、会話の中から学ぶということが減り、子供の成長を鈍化させかねません。

だからこそ家庭内でのコミュニケーションの重要性が高まっています。子供のためにより良く向き合う。そのためには親も学ばなければならないと感じます。

まとめ

今回は子育てをテーマにおすすめ書籍を紹介しながら自分の子育てぶりを振り返りました。親は子どもを心配して先回りしがちです。でも、その行動は親目線でやっている行動が実は多い事に気づきました。「親が自分の不安を消すためにしていること」は、実は子どものためになっていない。この事実に気付いた時にハッとしました。

アドラー心理学でも「課題の分離」という考え方があります。例えば親が「早く勉強しなさい!」と叱るのはなぜでしょうか。親として当然でしょ、と思いがちですがアドラーの考え方では「勉強しないで困るのは本人。親が声を荒げることではない」と説きます。「早く勉強しなさい!」の裏には、「成績の低い子供のママになりたくない」とか「宿題を終わらせて早く寝てくれないと私のドラマを見る時間がなくなる」とか大人のエゴが隠れていたりします。

本当に子供にとって必要な刺激は何なのか、そのために親はどうふるまうべきなのか、この本を読むことでもっと上手にできることが山ほどあることが分かります。

分かりやすいケースが「子どもがぼーっとしていたら、放っておくべき」というヒントがあります。現代の子どもは塾や習い事で超多忙です。そんな子供にとってぼーっとして頭と体を休める時間が実は大切なんです。

ぼーっとしているときには脳のDMN(デフォルト・モード・ネットワーク)が働くといわれています。これがさまざまな脳の活動をまとめあげるのに重要な役割を果たしています。だから「ぼーっとしてないで、宿題早くしなさい!」と追い立てるのではなく、大切な時間だと思ってぐっと我慢して見守るのが正解です。こんな目から鱗のヒントが満載の一冊です。

改めてご自身の子育てを見直してみてはいかがでしょうか。その学びはお子さんだけでなく、読んだ本人(親)の成長にも必ず役立つことと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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