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災いと芥川龍之介 第七章 !
この章の魅力:世界の詩的構造
という風で、睡蓮は遠のくキスを心待ちにしたままで居ます……
『春の心臓』、愛蘭土の詩人イェイツ(一八六五–一九三九)の作。
二人は、湖水のまん中の小さな浮島のような地点に二匹の水鳥のように寄り添って坐っているのでした。春に抱き留められて、詩人が秘儀を語り出します。聴く者に永久の命を授ける春の歌、不死の精霊たちの歌が天を震わせるその瞬刻が明日に迫っている、と。古よ
災いと芥川龍之介 第三章 この期に及んで本を読んでいる奴がいる
この章の魅力:橋と書くめえ
晩秋の色にその頁が染まってゆくのはロープシン(一八七九–一九二五)の『蒼ざめたる馬』(一九〇九)の英訳です。絶えず降りかかる銀雪を散りばめたような文体を、主人公のニヒリズムが曳いてゆきます。革命の浪漫にいかれた者たちは挙って読んで、気骨稜稜たるを誓ったと聞きます。「自分」はどうでしょうか、読書に熱が入り、電車は「橋」の上にさしかかります。事が起こりそうです。
「橋」