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写真というメディアを考える

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イメージ・コンテンツを制作する事は、視覚を通過して、人の心に問いかけることが一番のポイントだ。 人の心に問いかける事は、感性の同一性を得るということで、国境、時間という領域を超え… もっと読む
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2020年6月の記事一覧

#2)展覧会「Bailey’s Stardust」で、写真家David Baileyを振り返る

#2)展覧会「Bailey’s Stardust」で、写真家David Baileyを振り返る

Bailey’s Stardust、その写真の一枚一枚が、語りかける、そう、深いのだ。
2014年、David Baileyの展覧会「Bailey’s Stardust」が、ロンドンのナショナル・ポートレート・ギャラリー(National Portrait Gallery)で開催された。この展示会では、日本では未公開写真を含む貴重な作品が展示された。1960年、当時から、それぞれに才能を発揮する世

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#1)写真家David Baileyのポートレイトはスウィンギング・ロンドン(60’s)だ

#1)写真家David Baileyのポートレイトはスウィンギング・ロンドン(60’s)だ

デヴィッド・ベイリー(David Royston Bailey,CBE,1938- )
1960年代イギリスのファッション・シーンにて、著名な位置付けを得た、ポートレイト・ファッション写真家、そして、映像作家でもある。Swinging Londonと呼ばれたこの時代、ファッション写真がサブカルチャーの重要な媒体(メディア)として動き出した、写真家の存在も、ある意味、ロックスター並みになったが、デヴ

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アートシーン-Swinging Londonとは

アートシーン-Swinging Londonとは

スウィンギング・ロンドン(Swinging London):1960年代のファッション、音楽、映画、建築などにおけるロンドンのストリートカルチャー、具体的には、ミニスカートやサイケデリック・アート(PSYCHEDELIC ART:サイケデリックな体験や幻覚に触発されたアート)、モーリス・ミニ(オースン)など。
もう少し、具体的には、まずは、”The Beatles”が挙げられるだろう、
そして、M

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(今日のフォトアート)写真家ケルテース・アンドルのディストーション・ヌード

(今日のフォトアート)写真家ケルテース・アンドルのディストーション・ヌード

どこにでもありそうなヌード写真が、ケルテース・アンドルにかかると、そこには、異世界的な魅力を持つ、肉体美を追求があるのだろう。ディストーション(歪み)によるヌードのシリーズだ。

このケルテース・アンドルの作品は、計算された構図とデザイン、軽妙な面白さに特徴がある。
そして、ケルテースは、インパクトある構図に端正と言える作品が多い。

(c)Kertész Andor

略歴-Kertész An

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(今日の一枚)写真家ケルテース・アンドルの不思議なエッフェル塔

(今日の一枚)写真家ケルテース・アンドルの不思議なエッフェル塔

どこにでもありそうな風景写真が、ケルテース・アンドルにかかると不思議な魅力を持ったアートだ。
このケルテース・アンドルの作品は計算された構図とデザイン、軽妙な面白さに特徴がある。
そして、ケルテースは、インパクトある構図の端正と言える作品が多い。そして、写真のここは、モーパッサン(1850- 1893)の嫌った、醜いエッフェル塔だ。また、ディストーション(歪み)によるヌードのシリーズも残している。

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写真家ブラッシャイとパリの夜

写真家ブラッシャイとパリの夜

ブラッシャイ(Brassai, ジュラ・ハラース 、Gyula Halász,1899-1984):オーストリア・ハンガリー帝国時代の出身で、パリで活躍したジャーナリスト・写真家。ハンガリー、フランス国籍。
(註)ブラッシャイは、ブラッショー(ハンガリー語: Brassó)の出身から名乗る。

(c)Brassai

略歴-Brassai
モンパルナスに集まる若いアーティストたちと付き合いながら、

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(今日の一枚)ジョージ・ホイニンゲン=ヒューンのファッション写真は本人が写り込む

(今日の一枚)ジョージ・ホイニンゲン=ヒューンのファッション写真は本人が写り込む

屋外で男女が座った姿勢で、2人とも向こう側を向いて表情が見えない、斬新なインパクトある作品だ。それは1930年に撮られている。

当時、話題性満載だった。それは、VOGUEに掲載された、IZOD(アメリカの衣類メーカー)の水着の広告写真だ。
ただ、そこに写る男性は、ジョージ・ホイニンゲン本人と言われているが、その男性は、ホルスト・P・ホルスト(フォッション写真家)なのか?とも?

ジョージ・ホイニ

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ファッション写真家ホルスト・P・ホルストの方法と建築学・・

ファッション写真家ホルスト・P・ホルストの方法と建築学・・

そのロジックは、一流のモデルを、建築学的に完璧に構成されたスタジオで撮影するというスタイルを扱ったと言うキャリアだ。

ホルスト・P・ホルスト(Horst P. Horst, Horst Paul Albert Bohrmann, 1906 - 1999)
ファッション写真家。ドイツ出身で、その後、アメリカで活躍した。雑誌「VOGUE」(ファッション/ライフスタイル等)などでの活躍で知られる。

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ファッション写真家セシル・ビートンの業績

ファッション写真家セシル・ビートンの業績

今回、特筆すべき事は、ファッション写真家であるセシル・ビートン(Cecil Beaton)の業績として、1枚の写真が政局を動かすこともあると言うことだ。

(c)Eileen Dunne - Cecil Beaton
戦時下における、ジャーマンブリッツ(ドイツのイギリスへの爆撃作戦)による被害の写真は著名だ。それは、わずか3歳のブリッツ(The Blitz-ロンドン大空襲/1940年9月7日から1

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ムンカーチ・マールトン、その写真はファッションを超越した。

ムンカーチ・マールトン、その写真はファッションを超越した。

ムンカーチ・マールトン(Munkácsi Márton, 1896-1963)or マーティン・ムンカッチ(Martin Marmorstein)
1930年代、すでに、ファッション写真に報道写真的な感性の要素を取り入れている。それは、屋外での撮影、群集や動き、モチーフのごく自然な表情などだ。そして、当時としては、インパクトある斬新なファッション写真を発表した。

ハンガリー出身のユダヤ系ハンガリ

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マーガレット・バーク=ホワイトは女性の戦場カメラマンの草分けだ。

マーガレット・バーク=ホワイトは女性の戦場カメラマンの草分けだ。

マーガレット・バーク=ホワイト(Margaret Bourke-White, 1904-1971)は、戦間期のアメリカを中心に活躍した、女性報道写真家、戦場カメラマンの草分けだ。
ドキュメンタリーの女性写真家として、その活躍と高い評価も得ている。
そして、LIFE誌の編集方針に合致したタイプの報道写真家だった。
ただ、それは、いわゆる演出家タイプなのだが、二次情報として事象をまとめていると、受け取

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写真家カール・ストラスのスキルチェンジ

写真家カール・ストラスのスキルチェンジ

カール・ストラス(Karl F. Struss,1886-1981 US)
ドイツ系アメリカ人の写真家であり、その後、映画の撮影監督としてのカメラマンだ。
フォト・セセッション(ピクトリアリスム)に参加している、そして、フォト・セセッションは、写真を芸術に引きあげつ方向性にあったということだが、その解散の後、そのメンバーは、多様な方向性を示唆している。
ピクトリアリスムの時代の写真家は、科学(写真

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(今日の一枚)上海から来た女(1936)-中山岩太

(今日の一枚)上海から来た女(1936)-中山岩太

この一枚の「上海から来た女-1936」ポートレート写真(ゼラチン・シルバープリント/28.0×21.0cm)は、中山岩太の美意識を極めた表現として、戦前の日本の写真の1つの到達点として、高く評価されている。映画の1シーンのようだ、そこから、様々なドラマが見える。
中山岩太(なかやまいわた、1895-1949)
日本人の戦前に活躍した写真家だ。戦前において、海外の同時代の前衛アートや、写真動向を的確

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写真家ハインリッヒ・キューン、そのソフトフォーカスは印象派絵画だ

写真家ハインリッヒ・キューン、そのソフトフォーカスは印象派絵画だ

ハインリッヒ・キューン(Heinrich Kuehn/Heinrich Kühn,1866-1944):写真家。そして、純粋なアート写真であり、ピクトリアリスムの本来の方向性でもあった。それは、*ピクトリアリスムの典型とも言える、ソフト・フォーカスやアウト・フォーカスを多用した作品だ。
フォト・セセッション(リンクト・リング)のメンバーだ、そして、その当時の、写真の創成期は写真家は学際的(科学者で

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