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『天使の翼』第12章~吟遊詩人デイテの冒険~

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サンス大公国の秘密警察機関SSIPのデビルハンター捜査に巻き込まれたデイテ、シャルル、ローラの一行は、指揮官クラレンス少佐の計らいでハイアンコーナまでパトロールエアカーに同乗させ… もっと読む
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『天使の翼』第12章(99)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

『天使の翼』第12章(99)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 エリザが、長い首を大きく曲げて、わたしの耳元、顔のすぐそばに、自分の大きな顔、大きな右目を寄せてきた。彼女の肌のぬくもりが感じられる……

 『妙ね。これでお別れだと思ってたんだけど。私、デビルの背に乗って旅する吟遊詩人、風のデイテって絵柄の一部になっちゃったのかしら』

 わたしは、幾分すまなそうな目で彼女を見上げていたと思う。

 エリザが、大きな目をぱちくりさせた――ウインク⁈

 『安心

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『天使の翼』第12章(98)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

『天使の翼』第12章(98)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 「ブラボー!」
 「風のデイテ!」
 「エリザ嬢!」
 そして、この荒野の真っただ中に、わたしの名を連呼する大合唱が沸き上がった――

 デイテ!デイテ!デイテ!……
 デイテ!デイテ!……
 ……

『天使の翼』第12章(97)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

『天使の翼』第12章(97)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 わたしは、ギターでメイン・テーマをひとしきり奏であげ、最後の九行をもう一度高らかに、そして次第にスローになるテンポで歌い上げた。
 静寂――
 聞こえるのは、寂れた鉱山街を吹き抜けていく風の音と、メトロノームのように物憂い掘削機械の音だけ……
 インパクトが強すぎた時の沈黙は、突然終わることが多い。
 この時もそうだった。
 一人の男が、古ぼけたハンチングを空高く放り上げた――
 「こいつは凄い

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『天使の翼』第12章(93)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

『天使の翼』第12章(93)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 わたしは、自身の稀有な体験を物語りながら、それが自然と叙事詩となっていくのを意識した。物語は、起承転結のループを繰り返し、一つの『結』が、次の『起』になる。物語のボルテージが、どんどん上がって、クライマックスへと……。そして、本当に、『風のデイテ』、デビルの背に乗って旅する吟遊詩人が、誕生した――  

『天使の翼』第12章(87)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

『天使の翼』第12章(87)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 強く、不思議なメロディーを数小節奏でて――
 一転、静かに、リズミカルに、エスニックなテーマを流していく……エリザの背に乗って、大空を勇躍するイメージ……早く、ゆったり……強く、小さく……
 わたしは、自信のあるギターで存分に聴衆を引き付ける……これだけで、皆はもううっとり……わたしは、音楽の驚き、心揺さぶる力を思いの丈を込めて紡ぎだす!
 そして―—

『天使の翼』第12章(86)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

『天使の翼』第12章(86)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 少し間を置いて――
 「さあ、そろそろ歌わせてもらいます。……何でわたしがエリザと仲良くなれたのか?出会いの物語……そして、この鉱山への旅の物語!」
 わたしは、ギターを慣れた手付きでケースから出し、エリザの傍らで立ち位置を決めた。……いつの間にか、最初円を描いてわたし達を取り巻いていた観客……鉱山の住人は、半円を描いてわたし達の前に陣取っている……思い思いの姿勢で、立ったままの者もいれば、地べ

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