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優しいおしごと。

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初めての小説を書いてみます。 少し私の経験も混ぜますが、基本はフィクションです。 外出自粛の世の中だからこそ癒やしが必要。 家族の優しい繋がりを表現できたらと思い作成しまし… もっと読む
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優しいおしごと。(11)

優しいおしごと。(11)

4月になり、私は小学校に入学した。

ピカピカの赤のランドセルを背負い、黄色い帽子をかぶって学校に行く。

入学式は母に連れて行ってもらったが、次の日からは私1人で登校した。

1人で外出するのは、そんなになかったので、ワクワクとドキドキが同じくらいあった。

この赤いランドセル。
おばあちゃんが買ってくれた。

日曜日にデパートに連れて行ってもらい、ランドセルが販売されているコーナーに向かった。

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優しいおしごと。(10)

優しいおしごと。(10)

4月になり、私は小学校に入学した。

ピカピカの赤のランドセルを背負い、黄色い帽子をかぶって学校に行く。

入学式は母に連れて行ってもらったが、次の日からは私1人で登校した。

1人で外出するのは、そんなになかったので、ワクワクとドキドキが同じくらいあった。

この赤いランドセル。
おばあちゃんが買ってくれた。

日曜日にデパートに連れて行ってもらい、ランドセルが販売されているコーナーに向かった。

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優しいおしごと。(9)

優しいおしごと。(9)

私の出来るお手伝いが増えてきた。

出来ることがあるのは、自分が認めてもらえている気がして嬉しかった。

でも、祖母はそれ以上のことを毎日行なっている。

本当に凄いなぁ。

(でも、どうやって色々なことが出来る様になったんだろう?)

幼い私は不思議だった。

(誰かに教えてもらっているのかな?)

私は疑問を祖母にぶつけてみた。

「おばあちゃんは何で色々なことが出来るの?誰かに教えてもらって

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優しいおしごと。(8)

優しいおしごと。(8)

今日、本来なら何事もなく祖母が帰ってくる日だ。

両手にはお土産をいっぱい持って。

でも今回は、祖母が帰って来ないかもしれない。

旅行で泊まっているホテルが火事になってしまったからだ。

母や祖父は「大丈夫だよ」と言っていたけど不安と心配で、いてもたってもいられなかった。

幼稚園の男の子は「もしかしたら、おばあちゃんは帰って来ないかも?」と言うし...。

私はどうしたら良いか、分からなかっ

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優しいおしごと。(7)

優しいおしごと。(7)

祖母は夏に、町内会で旅行に行くのを楽しみにしていた。

私は、祖母が旅行で買ってくるお土産を楽しみにしていた。

祖母が不在になることに向けて、お手伝い出来ることを増やそうと様々教えてもらっていた私。

リビングで掃除機がかけれるようになったのと、テーブルの拭き掃除が出来る様になっていた。

小さくて軽い掃除機を祖母が見つけてくれて、私は更にやる気を出せた。

(リビングだけは、毎日綺麗にする)

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優しいおしごと。(6)

優しいおしごと。(6)

(今日はおばあちゃんを公園に案内するんだ!)

私はワクワクしていた。

先日、幼稚園のお散歩で自宅近所の公園にいった。

先生が「お家の人とこの公園に遊びに来た時に案内出来る様に、みんな何があるか覚えてみてね!」と言っていた。

私は(おばあちゃんだ!)とすぐに思った。

公園には、滑り台、ジャングルジム、ブランコ、砂場があった。

今では猫除けに砂場には網がかかっていたり、砂場じたい無い公園が

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優しいおしごと。(5)

優しいおしごと。(5)

祖母は不思議なクセがあった。

それは病院で貰った、うがい薬を麦茶を入れるビン(ピッチャー)に入れて冷蔵庫で作り置きをすることだった。

よりによって、夏場にそのクセが炸裂した。

うがい薬の色合いが麦茶にそっくりだったのだ。

幼かった私は、喉の渇きを潤したくて冷蔵庫に手をかけた。

実は今冷蔵庫に入っている麦茶は、私がお手伝いして作ったものだった。

昨晩、夕食後祖母と2人で麦茶を作った。

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優しいおしごと。(4)

優しいおしごと。(4)

私の家には中型犬がいた。

名前は「コロ」
母が名付け親だ。

コロは祖父、祖母、母の言うことは、しっかりと聞いていた。

しかし、私に対しての態度は全く違っていた。

一言で言うと「怖い」
激しく吠えるのだ。

首輪に鎖がしっかりと繋がっているけれど、引きちぎらんばかりに私に飛びかかろうとする。

確かに、私は当時幼稚園生。
コロの方が体も少し大きかったから、明らかに舐められていた。

犬は家族

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優しいおしごと。(3)

優しいおしごと。(3)

祖母の料理は絶品だった。

そして様々な料理が作れる人だった。

「今日は何が食べたい?」と聞かれ「ハンバーグが食べたい」と答えた。

次の日は「焼きそば」
そのまた次の日は「オムレツ」

まるで食堂がそこにあるみたいだった。

ある日、おやつに「ポップコーン」を作ってくれることになった。

ポップコーンなんて、初めて聞く言葉だったからワクワクした。

どんなふうに作るかみたくて、わがままを言って

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優しいおしごと(2)

優しいおしごと(2)

祖母のためのお手伝い。

さて、何をやったらいいのだろうか?

日頃祖母は、料理、掃除、洗濯、買い物と主婦の行うことを全てこなしていた。

空いている時間は、福祉会館で開催されている踊りのサークルに参加していた。

(私が出来ることは何もないじゃないか!)

そう、小さな私には全てが未知の世界。
出来ることなんてなかった。

夜になり夕食を済ませてからは入浴までは少し時間があった。

私は祖母に

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優しいおしごと。(1)

優しいおしごと。(1)

幼き小さな私の手を。
ゆっくりと引いてくれた優しい存在。

私は祖母が大好きだった。

祖父も母も仕事に追われ、食事を作ってくれたり、お散歩に連れて行ってくれたりと。

私の身の回りの世話をやいてくれたのは祖母だった。

小さかった私は「ありがとう」ということを伝えるのが精一杯だった。

何かお返しがしたかった。
でも、何をしたらよいのか分からなかった。

ある日、スーパーに買い物へ連れて行っても

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