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Short Story

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ショートストーリー「パンチ」

ショートストーリー「パンチ」

あいは前田パンチや。
人語は分かるけど、人間の言葉は話せられへん。
フルーツパンチと呼ばれることもあるんやで。
ハジメが付けた名前や。

あいの友人とも兄弟とも言えるハジメに出会ったんは彼が9歳の時やった。
ハジメが親の転勤で中国に来た年やったかな。
その頃、あいはイロハ雑技団の演者の一員で人間どもに操られる人形のように働いていたんや。
元々は山猿のボスとして君臨してたんやけど、
悪戯の度が過ぎた

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Short Story「日常」

Short Story「日常」

「あぁ、よく分かりませんわ」と女がぽろり

「人の心と言うものが全て分かるわけではないというのに。
常に隣にいようとも、何事に尽くそうとも、目を見つめて手にとって生きる肌身、体温を感じようとも。

分かることはその人が私に許しているほんの一部分にしか過ぎないのよ」と。

こんなにも無常なことがあるかしら。

「きみは欲張り過ぎるんだろう。
何もそんなすべてを知れるほど人間は完璧ではないだろうよ。知

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short story「レンタルメンタル」

short story「レンタルメンタル」

水井幸男(みすいゆきお)、53歳。
福三丸株式会社の販売促進部 部長のお話。

レンタルメンタル?

飲み屋を後にして家に帰る途中だった。

電信柱の妙な広告に目がとまった。

"レンタル彼女やレンタル彼氏なんて一度は聞いたことありますよね
メンタルの弱いあなた、気が小さくて周りの目を気にしてしまうあなた一度メンタルをレンタルしてみませんか?"

なんてうまいこと書いてやがる
んなもんある訳ねぇよ

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Short Story                        「ねむねむのおばけ」

Short Story 「ねむねむのおばけ」

ねむねむのおばけはいつからか

私の中に住みつくようになった

この日の休日もいつものように出てきた

"今日は仕事行かないんだね
ねむねむはねむいからまだねるよ"

「いつになったら私から離れてくれるの

これじゃいつまで経っても動けないよ」

ねむねむ?

"月曜から金曜まで動いてるじゃん"

「だってお仕事なんだもん」

"でもお仕事いやなんでしょ
嫌なのにしたくないのに何でいくの?"

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