アーティ・コウチャスキー

福井県。主に読書・ゲームのレビュー。紅茶好き。 MTGアリーナプレイヤー。テーブルトッ…

アーティ・コウチャスキー

福井県。主に読書・ゲームのレビュー。紅茶好き。 MTGアリーナプレイヤー。テーブルトップでは統率者戦始めました。

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1400年前の理想の皇帝に学ぶ:「貞観政要」

「貞観政要」とは?「貞観政要(じょうがんせいよう)」とは唐王朝の二代目皇帝・李世民(在位626-649)が、彼の臣下と話し合った事柄や上奏文・詔勅をまとめたものである…

ゲームレビュー:ファイアーエムブレムエンゲージ

シミュレーションRPG『ファイアーエムブレムエンゲージ』をクリアしたので、レビューします。 戦闘アニメ最新作として非常に満足のいく出来栄えだったと思います。ゲーム…

カンパに失敗した話

「訴訟を起こされたので、カンパしてください」 「訴訟を起こすので、カンパしてください」 最近、そういう界隈からよく聞こえる話ですが、今日はこのようなカンパで失敗し…

ナチスを正しく学びたい

入り口 私がなぜナチスに興味を持ったかと言えば、別にナチスの軍服の格好良さや二度と再現できないであろう人種政策に惚れたわけでもなく、ヒトラーを否定する善人を気取…

会計を忘れた時に国が滅ぶ:「帳簿の世界史」

 筆者は昔、簿記の資格を取ろうと勉強したことがある(結局、諸事情で棚上げとなった)。当時は貸方?借方?元帳??仕分け???とチンプンカンプン。特に熱意も持てなか…

理解と保身:「LGBTとハラスメント」

今回の本「LGBTとハラスメント」(神谷悠一/松岡宗嗣)です。Twitterで発売を知った時、私自身、本書で扱われている人々とどう関わるか定かでなかったことと、なぜか本書…

奴隷マネジメント:「奴隷のしつけ方」

 筆者と古代ローマの接点は、高校世界史の資料集にあった遺跡の写真に惚れたのと、同時期に塩野七生「ローマ人の物語」に出会ったことだった。それから10年以上の月日が経…

連休に読む本:「マキアヴェッリ語録」

※「読む」本、と題していますが筆者は既に読了しています。本の感想とおすすめの文章としてお読みください。 差別への反対を唱える人間が、自分に賛同しない人間を差別す…

コロナ禍の下で、少し考えを変えた話

 人は何をするかだけが重要なのではない。それをする人はどういう人なのかというのも実際に重要なのである。人が一生をかけて完成させ、磨き上げるべき作品の中で一番重要…

天国へ行くための方法について #想像力で世界を救え

天国へ行くために最も有効な方法は、地獄へ行く道を熟知することである。                        ニコロ・マキアヴェッリ  中国の内陸部にある…

一部記事の非公開について

おはようございます。 これまで公開していた記事の一部を非公開にしました。どこかから圧力をかけられ……という話ではないのですが、話題として取り扱っていたテーマ(フ…

読書家のたまごの自己紹介

読者の方、はじめまして。 この記事にアクセス頂いたことをお礼申し上げます。 生まれは昭和の末期、現在は愛知県名古屋市で生活しています(仕事は教育関係・・・とだけ…

表現の不自由展・最期の日

 筆者は2019年8月3日(土)に、愛知トリエンナーレA会場(愛知芸術文化センター)に足を運んだ。表現の自由の一支持者として、『表現の不自由展』なる企画に興味…

1400年前の理想の皇帝に学ぶ:「貞観政要」

1400年前の理想の皇帝に学ぶ:「貞観政要」

「貞観政要」とは?「貞観政要(じょうがんせいよう)」とは唐王朝の二代目皇帝・李世民(在位626-649)が、彼の臣下と話し合った事柄や上奏文・詔勅をまとめたものである。皇帝ー臣下の理想の関係を後代に伝えるために編纂され、日本でも北条政子、徳川家康、明治天皇が手に取ったという。中国の古典として、名前だけは知っていたものが、講談社学術文庫版で手に取る機会に恵まれた。

主な登場人物太祖(李世民):

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ゲームレビュー:ファイアーエムブレムエンゲージ

ゲームレビュー:ファイアーエムブレムエンゲージ

シミュレーションRPG『ファイアーエムブレムエンゲージ』をクリアしたので、レビューします。

戦闘アニメ最新作として非常に満足のいく出来栄えだったと思います。ゲームボーイアドバンス時代のドット絵のような外連味溢れるポーズと、それを繋ぐ緩急の付いた立ち回り。エフェクトはやや派手で、魔法攻撃は少し遅いなと思いましたが、それ以上に動きが目立つので問題なし。最後まで見ていて飽きなかったです。
地味にすごい

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カンパに失敗した話

「訴訟を起こされたので、カンパしてください」
「訴訟を起こすので、カンパしてください」
最近、そういう界隈からよく聞こえる話ですが、今日はこのようなカンパで失敗してしまった話をしたいと思います。

Colaboへの監査請求を行い、不明朗な会計を指摘して話題となっている人物の募集した訴訟費用のカンパです。

もともと筆者が、Colaboの代表である仁藤夢乃という女性の言動に強い不快感を抱いていたこと

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ナチスを正しく学びたい

ナチスを正しく学びたい

入り口 私がなぜナチスに興味を持ったかと言えば、別にナチスの軍服の格好良さや二度と再現できないであろう人種政策に惚れたわけでもなく、ヒトラーを否定する善人を気取りたかったからでもなく、大戦時のドイツの兵器に魅せられたわけでもなく、数多ある総統閣下シリーズや『帰ってきたヒトラー』で笑わせてもらったからでもない。

 ぶっちゃけて言うと、一部の政治活動家や自称文化人が政治を批評する際に、相手を悪人に仕

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会計を忘れた時に国が滅ぶ:「帳簿の世界史」

会計を忘れた時に国が滅ぶ:「帳簿の世界史」

 筆者は昔、簿記の資格を取ろうと勉強したことがある(結局、諸事情で棚上げとなった)。当時は貸方?借方?元帳??仕分け???とチンプンカンプン。特に熱意も持てなかったのだが、Twitterフォロワーから紹介された本書「帳簿の世界史」を読んで以来、会計への考え方は変わった。

 「帳簿の世界史」は古代社会の会計に始まり、2001年のエンロン・ショック、2008年のリーマン・ショックまで会計の歴史におけ

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理解と保身:「LGBTとハラスメント」

今回の本「LGBTとハラスメント」(神谷悠一/松岡宗嗣)です。Twitterで発売を知った時、私自身、本書で扱われている人々とどう関わるか定かでなかったことと、なぜか本書の評判が悪かったため、かえって気になって購入・通読した次第です。多分、オビの推薦人のせいだと思います。

WHAT AM I?( ˙꒳​˙ ).。oO(念のため事前に説明すると、私自身はシスジェンダーの男性です。シスジェンダーとは

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奴隷マネジメント:「奴隷のしつけ方」

奴隷マネジメント:「奴隷のしつけ方」

 筆者と古代ローマの接点は、高校世界史の資料集にあった遺跡の写真に惚れたのと、同時期に塩野七生「ローマ人の物語」に出会ったことだった。それから10年以上の月日が経って、当時の奴隷マネジメントを扱った「奴隷のしつけ方」についてツイートしたところ、予想以上の反響があったため紹介したい。

https://twitter.com/Ertai_twit/status/1258877115417518081

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連休に読む本:「マキアヴェッリ語録」

連休に読む本:「マキアヴェッリ語録」

※「読む」本、と題していますが筆者は既に読了しています。本の感想とおすすめの文章としてお読みください。

差別への反対を唱える人間が、自分に賛同しない人間を差別する。

職業に貴賎なしと主張する人間が、ある職業への偏見と蔑視を隠さない。

万事を自己責任に帰す人間が、社会や政府について憂国の士を気取る。

なぜ、人が口にしていることと実際に行っていることはかくも違うのか。
日本社会では「ホンネとタ

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コロナ禍の下で、少し考えを変えた話

コロナ禍の下で、少し考えを変えた話

 人は何をするかだけが重要なのではない。それをする人はどういう人なのかというのも実際に重要なのである。人が一生をかけて完成させ、磨き上げるべき作品の中で一番重要な作品は、その人の、人間そのものである。                 ジョン・ステュアート・ミル「自由論」

はじめに 古今東西の実例を見るに、優れた芸術品を遺したが、作者はとても似つかわしくないほど人格や社交性や行動で問題のある人だっ

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天国へ行くための方法について #想像力で世界を救え

天国へ行くための方法について #想像力で世界を救え

天国へ行くために最も有効な方法は、地獄へ行く道を熟知することである。
                       ニコロ・マキアヴェッリ

 中国の内陸部にある武漢市から始まったCOVID-19は、アジア人への偏見を経て世界全体を麻痺させる疫病となった。ボリス・ジョンソン英首相やジャスティン・トルドー加首相といった国家首脳までが感染し(後者は快復を発表済み)、都鄙貴賤を問わない状態になっている。

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一部記事の非公開について

一部記事の非公開について

おはようございます。
これまで公開していた記事の一部を非公開にしました。どこかから圧力をかけられ……という話ではないのですが、話題として取り扱っていたテーマ(フェミニズム、社会学等)と、かつて暴力トラブルを起こした危険な集団に繋がりがあることが明らかになったためです。今後はどれだけ社会で話題になる出来事があったとしても、テーマとして扱うことはないと思います。

読書家のたまごの自己紹介

読書家のたまごの自己紹介

読者の方、はじめまして。
この記事にアクセス頂いたことをお礼申し上げます。

生まれは昭和の末期、現在は愛知県名古屋市で生活しています(仕事は教育関係・・・とだけ)。
3歳で父に従い渡米、以後6年をアメリカ合衆国テキサス州で過ごし、9歳に日本に帰国しました。以後は高校卒業までを福井県で過ごし、大学は関東、職は東京→京都→愛知と渡り鳥の人生です。

趣味は読書、料理、紅茶、ゲーム、調べもの、とインド

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表現の不自由展・最期の日

表現の不自由展・最期の日



 筆者は2019年8月3日(土)に、愛知トリエンナーレA会場(愛知芸術文化センター)に足を運んだ。表現の自由の一支持者として、『表現の不自由展』なる企画に興味があったためだった。また、この展示を目玉として本企画を取り仕切った芸術監督は「実物を見て判断してほしい」と主張しているため、良きにしろ悪しきにしろコメントするならば、正々堂々と現地入りしてからの方が誤りも少ないと考えたためだった。
 表現

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