佐藤省司

(さとうせいし)   フォトポエムのジャンルを探求しています。 文芸好き、写真好き、野…

佐藤省司

(さとうせいし)   フォトポエムのジャンルを探求しています。 文芸好き、写真好き、野山歩き好き。 気楽につきあってください。 自称、イメージトラベラー。

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記事一覧

歓喜のリズム

パンジー ナデシコ シバザクラ ピンク イエロー パープルも こんもり ふっくら ゆったりと 花壇に彩りあふれている ふんわり ふわふわ ふわふわん 青空から 降っ…

佐藤省司
4日前
58

とんちんかん

とんちんかんやわあ あんたの上から トンチンカンって へんちくりんな鐘が鳴ってる 電気屋さんのレジでチンパンジーのカード出したら だれでも笑うでえ あれは動物園のパ…

佐藤省司
11日前
85

ひらはららん

さくら ふる ふる ひらら はらら ひら はららん 夕暮れの 公園 水銀灯 花びら 吹かれ 舞い 舞い 舞う 「さくら もう おわりだね」 ゆうらら ゆうらり ゆう…

佐藤省司
2週間前
77

飛び跳ねよ

いのち生む 水の血めぐる 古代魚よ 四方八方から 視線を浴びせられ 疲れないか その水槽は あまりに狭すぎやしないか 飼い慣らされ 馴らされて とうに野性を抜かれている…

佐藤省司
3週間前
78

サクラ メヘヘヘヘ

花見の雑踏を避けて 桜並木のポケットに入った 川沿いの穴場だ 細長い空を蔽う花花花 小鳥の弾く枝 その揺らぎに はらりはらり 舞う花びらの陰影 せせらぎのきらめき 重力…

佐藤省司
1か月前
74

春の嵐に

春の嵐に咲く花は ぴゅうぴゅう晒され ぐらんぐらん揺さぶられ ぐっしょりびっしょり 濡れそぼつ 花びら乱れ 反り返り 対称形に収まらず 歪みに歪み 乱舞する 嵐過ぎ去り…

佐藤省司
1か月前
80

ハルリンドウのうた

かれいろに ふんわり うかびあがる はるごころ うずうずもやもや あおいいろ ひをあびて さわさわ なでゆく はるのかぜ うとうともやもや ハルリンドウ みずぬるみ じわ…

佐藤省司
1か月前
68

乱れ咲き

春風に 何回も揺さぶられ あああ と伸びをするように 赤紫の蕾が 翼をひろげる ピイッ キイッ 甲高い声を張り上げ パタパタパタパタ ヒヨドリが2羽 まだ緑のない 空の透…

佐藤省司
1か月前
83

彼女がうつむくのは

彼女がうつむくのは しょげているからではない 気力を充たしたいからだ どっくんどっくん 大地に蓄えられた 生命の源泉とつながるためだ 彼女がうつむいているのは 孤独に…

佐藤省司
2か月前
77

coffee break

コーヒーを淹れるとき マスクをつけるようになった 香りが芳しくなるからだ 最近それに気づいた 妻はマスクをつけても変わらないと言う 単なる思い込みかもしれない コー…

佐藤省司
2か月前
79

早春の蜜

寺院のモノクロ空間に 河津桜のピンクが 浮かんでいる 日ごろがらんとした 境内や空き地が 艶やかに彩られる 盛りの樹木の下に 腰を下ろした 早春の陽を浴びる花々が 水色…

佐藤省司
2か月前
85

from 椿

吹き抜ける寒風が 噴水を煽っている ぶるると身震いし ベンチから腰を浮かせたとき 目の端に茶色い何かが映った 隣のベンチに無造作に置かれている 子どもの忘れ物かな 手…

佐藤省司
2か月前
71

隙(すき)

隙(すき)のない人などいない 隙を見せないだけだ 隙が見えないだけだ 隙だらけの僕でも 相手の隙には敏く 彼女を引き付けるチャンスにする スポーツ競技では 隙を突くこ…

佐藤省司
2か月前
70

フィルター

ほら、あの赤い鳥、情熱的じゃない? えっ、あの鳥が? 毒々しい! 不快だね。 うっそお、神の使者みたいで、神秘的! 価値観のフィルターって いろいろ だから 人と…

佐藤省司
3か月前
76

空を見たい

空を見たい きみはつぶやく ずっと見ていたい 空の大きさを 空の色彩を 刻々の変化を 空の物語を 降り注ぐ光のすべてを どのように伝えたらいいのだろう どうしたら伝え…

佐藤省司
3か月前
83

枯淡の舞

木枯らしが 居残る葉を素早くさらう 黒ずんだり 欠けたり 葉脈だけになったり それでも ひらひら舞う木の葉がある 若葉を 瑞々しい と形容するなら 厳冬に残る葉は 何と…

佐藤省司
3か月前
62
歓喜のリズム

歓喜のリズム

パンジー ナデシコ シバザクラ
ピンク イエロー パープルも
こんもり ふっくら ゆったりと
花壇に彩りあふれている

ふんわり ふわふわ ふわふわん
青空から
降ってきたのは
春風の
吹くままに
漂流してきた
アゲハチョウ
黒い翅に
オレンジの
つぶらな瞳のような
紋ふたつ

ぷちぷち小花に
キッスにキッス
次から次へ
超速に羽ばたきながら
ステップを踏むように
次から次へ

こんなリズムは好み

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とんちんかん

とんちんかん

とんちんかんやわあ
あんたの上から
トンチンカンって
へんちくりんな鐘が鳴ってる

電気屋さんのレジでチンパンジーのカード出したら
だれでも笑うでえ
あれは動物園のパスポートやろ
店員さんがチンパン見て
この店のカードありませんか?
にっこりしてくれはったけど
あんたはいつまでも気づかへんし
やっと気づいた思たら
ケッケケッケ ケッケケッケ
いつまでも大笑いしてた
後ろにお客さん何人も待ってはるの

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ひらはららん

ひらはららん

さくら ふる ふる
ひらら はらら ひら はららん

夕暮れの 公園 水銀灯
花びら 吹かれ 舞い 舞い 舞う
「さくら もう おわりだね」
ゆうらら ゆうらり ゆうららん
ぶらんこ 漕ぐ きみ
「これから はじまるのよ」

ひらら はらら ひら はららん
さくら ふる ふる

「もう おわったのよ」
花びら 吹かれ 舞い 舞い 舞う
「・・・・・・ さようなら」
堤防 駆ける きみの 背に
吹き

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飛び跳ねよ

飛び跳ねよ

いのち生む
水の血めぐる
古代魚よ

四方八方から
視線を浴びせられ
疲れないか
その水槽は
あまりに狭すぎやしないか
飼い慣らされ
馴らされて
とうに野性を抜かれているのか

ゆったりゆったり
水中を滑り
穏やかに目を合わせ
しなやかに魚体を転回する
ゆったりゆったり
水中を滑る

鈍い光をまとうアロワナよ
身にまとう
ぎっしりの
その鱗(うろこ)は
いかにも硬そうだ
一枚一枚をくっきりと
太い

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サクラ メヘヘヘヘ

サクラ メヘヘヘヘ

花見の雑踏を避けて
桜並木のポケットに入った
川沿いの穴場だ

細長い空を蔽う花花花
小鳥の弾く枝
その揺らぎに
はらりはらり
舞う花びらの陰影
せせらぎのきらめき
重力が半ば脱けてゆき
ふんわかふんわか
淡い色空間に漂っていた

突然
汚れた軽トラが乗り込んできた
急いでよけると
軽トラはすぐ近くに停まった
姿を現したのは
手拭いで髪を被った年配の女性
「じゃまして悪いねぇ」
大きな声
日焼けし

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春の嵐に

春の嵐に

春の嵐に咲く花は
ぴゅうぴゅう晒され
ぐらんぐらん揺さぶられ
ぐっしょりびっしょり
濡れそぼつ

花びら乱れ
反り返り
対称形に収まらず
歪みに歪み
乱舞する

嵐過ぎ去り
陽が差せば
しなやかな茎を
すっくと立てて
深呼吸
ぐわんと
胸反らし
陽に臨んで
花ひらく

  △△△  ▲▲▲  △△△  ▲▲▲

急に初夏の陽気がやってきたような日が続きます。
私は体温調節がうまくできずに困っていま

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ハルリンドウのうた

ハルリンドウのうた

かれいろに
ふんわり
うかびあがる
はるごころ
うずうずもやもや
あおいいろ

ひをあびて
さわさわ
なでゆく
はるのかぜ
うとうともやもや
ハルリンドウ

みずぬるみ
じわじわ
はぐくむ
めざめるだいち
もぞもぞもやもや
はるがすみ

撮影地  愛知県豊橋市 葦毛湿原(いもうしつげん)

△▽▼▽△  ▲▼▽▼▲  △▽▼▽△

お彼岸が過ぎて、やっと春の暖かさを迎えられそうですね。
庭のチュー

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乱れ咲き

乱れ咲き

春風に
何回も揺さぶられ
あああ
と伸びをするように
赤紫の蕾が
翼をひろげる

ピイッ キイッ
甲高い声を張り上げ
パタパタパタパタ
ヒヨドリが2羽
まだ緑のない
空の透ける
モクレンから
飛び立った
びよんと
枝が弾かれる

硬い蕾のうちから
つつかれまくり
肉厚の花びらがいくつも
食い千切られて
ぼろぼろになっている
寒風に耐えて
やっと開花を迎えたというのに
痛々しい
美しく咲き誇りたいと

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彼女がうつむくのは

彼女がうつむくのは

彼女がうつむくのは
しょげているからではない
気力を充たしたいからだ
どっくんどっくん
大地に蓄えられた
生命の源泉とつながるためだ

彼女がうつむいているのは
孤独にうちひしがれているからではない
自己と向き合いたいからだ
どっくんどっくん
地球に蓄えられた
先人たちの英知とつながるためだ

彼女がうつむくのは
未来を拒んでいるからではない
嘆き苦しみ彷徨う人々の救済を祈願するからだ

鐘の音が

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coffee break

coffee break

コーヒーを淹れるとき
マスクをつけるようになった
香りが芳しくなるからだ
最近それに気づいた
妻はマスクをつけても変わらないと言う
単なる思い込みかもしれない

コーヒーを飲んでいて
ふと りんくを思い出した
去年の4月に亡くなったうさぎだ

コーヒー抽出後のかすは
消臭効果があるらしいので
乾燥させてペットシートに撒いていた
たまにホカホカの水分で
コーヒーの香りがぷんとくることがあった

ある

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早春の蜜

早春の蜜

寺院のモノクロ空間に
河津桜のピンクが
浮かんでいる
日ごろがらんとした
境内や空き地が
艶やかに彩られる

盛りの樹木の下に
腰を下ろした
早春の陽を浴びる花々が
水色の空に咲いている
絶え間なくアブの羽音が
花びらを小刻みに震わせる

不意のそよ風が
枝葉を揺らせた
メジロの群れだ
きょろきょろしつつも
花に嘴を差し入れ
一心に蜜を吸っている
下から見上げる私には気づかないのか
これほどに貪欲

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from 椿

from 椿

吹き抜ける寒風が
噴水を煽っている
ぶるると身震いし
ベンチから腰を浮かせたとき
目の端に茶色い何かが映った
隣のベンチに無造作に置かれている

子どもの忘れ物かな
手のひらに載せてみると
小さな羽根を3枚くっつけたような形だ
風に乗れば
くるくる回りながら
遠くまで運ばれそうだ
おもちゃかな
裏はざらざらしている
素朴な造形だ
温かみがある
手彫り風の装飾品かな

帰宅後さっそく妻に見せた
椿の

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隙(すき)

隙(すき)

隙(すき)のない人などいない
隙を見せないだけだ
隙が見えないだけだ

隙だらけの僕でも
相手の隙には敏く
彼女を引き付けるチャンスにする

スポーツ競技では
隙を突くことが肝要だ

隙を突くことは
勝つための要点といえる

人が生きているというのは
時と場合に対応するということでもある
相手の状況を把握して行為するのは
いかにも人間らしいではないか

似ている行為に
裏をかくというのがある
相手

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フィルター

フィルター

ほら、あの赤い鳥、情熱的じゃない?

えっ、あの鳥が? 毒々しい! 不快だね。

うっそお、神の使者みたいで、神秘的!

価値観のフィルターって
いろいろ
だから 人とのかかわりも
いろいろで
おもしろい

ホコリ、ゴミ、
ザツオン、アクシュウ……
都合の悪いものを
フィルターは取り除く
「快適な」暮らしに
フィルターはなくてはならない

差別を当然視するフィルター
暴力的なフィルター
好戦的なフ

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空を見たい

空を見たい

空を見たい
きみはつぶやく

ずっと見ていたい

空の大きさを
空の色彩を
刻々の変化を
空の物語を
降り注ぐ光のすべてを

どのように伝えたらいいのだろう
どうしたら伝えられるのだろう
空の記憶がないきみに

そもそも私は
空を見てきたのだろうか
空を知っているのだろうか

明るさが判るだけの視覚のきみは
空をどう感じ取ってきたのだろうか

早咲きの梅の花々のなかで
小鳥がさえずっている
樹の下

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枯淡の舞

枯淡の舞

木枯らしが
居残る葉を素早くさらう

黒ずんだり
欠けたり
葉脈だけになったり
それでも
ひらひら舞う木の葉がある

若葉を
瑞々しい
と形容するなら
厳冬に残る葉は
何と言おう
枯淡、か

この冬はそんな木の葉が
妙に目に留まる
親近感、か

風霜に晒されて
枝にしがみ付く、のでもなく
捨て鉢になる、のでもなく
至極平然としている
風か雨か雪か
虫食まれるか
いずれ枝から離れることになるだろう

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