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懲役ダイアリー番外編『元特殊詐欺主犯がルフィ強盗事件について思うこと』
2023年1月19日最悪のニュースが日本を震撼させた。
東京都狛江市の住宅での高齢者宅で起きた強盗殺人事件。
指示役の人物は「ルフィ」と名乗り、SNSを駆使し闇バイト募集で集めた、トカゲの尻尾切りの要員を集め強盗を示唆した。
犯人は捕まらないと心底思っていたはずだ。
実際に俺自身も特殊詐欺容疑で逮捕されるとは心にも思っていなかった。
しかし、心の中ではどこか不安もあった。
来る日も来る日も、
懲役ダイアリー 2017年10月16日月曜日『手紙がこない』
俺の銀行のキャッシュカードが盗まれた。慌てて銀行に連絡し口座を止めてもらうも、現金は全ておろされ口座は空っぽに・・・。全てを失い途方に暮れていた時・・・起床を告げる朝の音楽が流れだした。
「夢か・・・」
被害者の気持ちがよく理解できた。全てを失い、途方に暮れ、何も考える余裕もなく、どんよりとした雲が心を覆い、永遠に崖の淵へ立たされているような絶望感。きっと被害者の方もこんな気持ちになったのだろ
懲役ダイアリー 2017年10月6日金曜日 『刑務所で気づいたことを書いていく』
刑務所生活では色々なことに気づいていく。きっかけは読んだ本だったり、矯正指導日に放送されるテレビ放送だったり、普段の受刑生活だったり、いろいろある。
「どうにもならないことをどうにかしようと思わない」
この言葉は救われた。刑務所の中では制限がありすぎて何もできない。特に塀の外の人のことの心配をしていたらきりがない。ストレスが溜まるだけだ。何か思いついても、すぐに伝えることはできない。イライラし
懲役ダイアリー 2017年9月30日土曜日 『刑務所の中で考えること』
20時40分の点検終了後から刑務所内は静寂に包まれる。聞こえてくるのは、刑務官や警備員の足音と他の部屋からのくしゃみや咳、トイレを流す音だけ。
22時消灯までのこの時間は毎日とても貴重な時間で、様々な学問に集中出来る。私はとりわけこの時間に英英辞典をひたすら読んでいた。
読んでいるとあっという間に就寝時間を知らせる音楽が流れてくる。
その音楽が流れてきたら、「私は人生の目標、達成させること」
懲役ダイアリー 2017年9月25日月曜日 『塀の中で迎える子供の誕生日』
朝5時くらいだろうか・・・急にパッと目が覚めた。
目の前にはいつもの見慣れた天井。隣には誰もおらず、ただただ巡回する刑務官の足音だけが聞こえて来る。
今日は子供の誕生日。ベッドの上でぼーっとしながら、ふと子供が生まれる前や過ごした日々を思い返していた。
妻が妊娠中、つわりが酷く夜中ずっとトイレに付き添っていたこと。陣痛が早まるように二人で毎晩「早く生まれておいで!」と言いながらウォーキングし
懲役ダイアリー 2017年9月12日火曜日 『ふざけんなよ。なんでだよ。』
は?
なんで?
意味がわからない。
ふざけんなよ。
なんでなんだよ。
販売士の職業訓練の一環のプレゼン。講師の評価が返ってきた。
一番良いプレゼンにはA評価がつけられ、その次に良いのはBプラス。それからB、Cという順に評価される。
当然あれだけ盛り上げたプレゼンをしたのだからAで間違い無いでしょと思っていたが・・・。
結果は
Bプラス・・・
え
意味がわからない・・・
え、
懲役ダイアリー 2017年9月11日月曜日 『工場対抗!受刑者たちの大運動会!』
ワッショーイ!年に一度のお祭り企画がやってきた。
泣く子は叫び出し、受刑者は大はしゃぎする・・・
島根あさひ社会復帰促進センター大運動会。
1300人近く収容されている島根あさひでは、運動会は2部に分かれていて、今回は午前中に第四収容棟から第六収容棟の受刑者の運動会。午後は第一収容棟から第三、第七収容棟の受刑者の運動会。
私は第三収容棟の販売士の職業訓練中なので、午後から運動会だ。
午前
懲役ダイアリー 2017年9月9日土曜日 『変化していく自分』
銀色の頭巾に黄緑の半袖ポロシャツにハーフパンツ。頭巾をとったら丸坊主
娑婆で見かけたらただの変態集団。
先日、刑務所内で行われた防災訓練の風景だ。
ホリエモンの本で読んだが、防災訓練は何かの宗教の儀式のように見えたと綴ってあったが、この光景はまさにそんな感じだった。
刑務所では色々なことが毎日のように起こる。
今週はインキンになった・・・。
股間がかゆくて仕方ない。刑務所あるあるだ。
懲役ダイアリー 2017年9月4日月曜日 『母からの手紙』
受刑者にとって社会からの手紙は心から嬉しい。手紙は作業中に担当のオヤジに呼ばれ交付される。呼ばれた時のなんとも言えない優越感。胸を張り、指先を伸ばし担当台前まで歩く通路は、受刑者にとってのランウェイかもしれない。
今日は母から手紙が届いた。私は以前から父へと手紙を送っているのだが、一向に返事はない。読んでいるのか読まれていないのかもわからない。
母から事実を告げられる。
父は私の手紙を読まず
懲役ダイアリー 2017年9月3日日曜日 『素直に受け入れる』
どんな事も最初から否定せず、一度受け入れて自分の中で咀嚼してから判断する。
刑務所にいると色々な事を深く考えるようになり、答えにたどり着くことがある。
今日もまた・・・
人生において一番重要なことだと気がついた。
きっかけは様々な哲学本やビジネス本。
当たり前だけど・・・本には著者の体験や考え方が綴られていて、本を出せるくらいの世間的な成功を収めた方々の知恵がたくさん詰まっている。
そ
懲役ダイアリー 2017年8月31日木曜日 『振り返り』
妻からの手紙。子供が某音楽教室のエレクトーン発表会に出演したのとのこと。演奏前に思わぬハプニングがあったらしいが、そのハプニングを味方につけて我が子は演奏しきったと喜びの手紙が届いた、
手紙を読んだ時、昨日行ったプレゼンの自分の心境と子供のエレクトーン発表会の心境を照らし合わせみた。
我が子はよくやったなと思う。ハプニングを味方につけてやってのけた。自分にも昨日のプレゼンはハプニングがあった。
懲役ダイアリー 2017年8月30日水曜日 『刑務所で富士登山』
本日37歳になりました。おめでとう自分。マイのバースデー。
大好きな芸人さん、出川哲朗さんならこうやって自分の誕生日に自分に向けておめでとうの言葉を贈るのだろうな。
刑務所で迎える初めてのバースデー。昨年は東京拘置所の独居房で迎えた。満期出所ならあと4回刑務所でバースデーを迎えることになる。東京オリンピックも見られない。あと4年・・・長いな。
でもそんなことは言ってられない。37歳の一年も後
懲役ダイアリー 2017年8月29日火曜日 『刑務所からの誕生祝い』
訓練室の食堂での昼食。担当刑務官に番号を呼ばれた。
「2716番!funaim!」
あれ、俺なんかしたっけな・・・。
違った。
「お誕生日おめでとう。これ誕生菜な。他の受刑者にはあげたりするなよ。昼食後の休憩時間に喫食すること。喫食したらこの袋に入れること。」
おお!刑務所からの誕生祝い!!嬉しい!あざす!!
もらったものは・・・
地元浜田市の久保田乳業さんの紙パックのコーヒーと、一
懲役ダイアリー 2017年8月27日日曜日 『刑務所でゲーム』
島根あさひ社会復帰促進センターは半開放された日本でも珍しい刑務所。
受刑者は余暇時間(決められた時間ではあるが)、自由に自分の部屋の扉を開け多目的ホールで他の受刑者との交流、例えば談笑や、囲碁将棋を楽しむことができたり、給茶機にお茶を汲みに行ったり、新聞を読みに行ったり、本を自由に借りにいけたり、キオスクという指紋認証端末で日用品や雑誌などの買い物ができたりする。
刑務所ではあるが、そこまで窮
懲役ダイアリー 2017年8月24日木曜日 『古都の氷華』
島根あさひ社会復帰促進センターに
打ち上がる
氷華
そう!!
本日は受刑者が待ちに待った・・・
アイスクリームの日。
この古都の氷華いちごフロート味が15時に支給されたのだ。
蒸し暑い体感温度37度くらいの訓練室の食堂で、受刑者53人が小さなカップアイスを美味しそうに、大切に食べる。
私も含めて・・・俯瞰すると滑稽に見えるんだろうな・・・。
でも・・・
うまい!!
最高!!