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#ポエム
あの夏、わたしたちは何を燃やしていたのか🎆
*
八月の空はゆっくりと暮れていくから
からだの熱を持て余したまま歩き出す。
体温を薄く溶いたような夏の闇は
しっとりと首筋を取り巻いた。
一本のろうそくを囲めば、
ちいさな花火大会がはじまる。
それぞれの手が自在に描く光の曲線。
照らし出される横顔は、古いフィルム映画のよう。
懐かしい暗闇に あなたを見つけた鮮烈な一瞬。
あなたがわたしに燃え
春の記憶を呼びよせても、どこか遠い🌸
答えのないパズルのような日々に😌
"あなたの水平線のようなまなざしが
打ちよせて、雑踏のさなか
わたしを遠く振りかえらせる。"
"わたしの「信じる」は
わたし自身のために握っている。
ならば、あなたに渡ったという
そのあたたかな感情はなんだろう。"
詩「花首」文月悠光
*「婦人之友」2020年4月号ミヨシ石鹸さん広告より。
毎月、裏表紙広告欄に詩を
雪道は、見渡すばかりの白い鍵盤🎹❄️
きみを連れて、ひたと歩み続ける。
"連弾しようか。
同じ方角を見据えるために。
互いのまなざしに閉じてしまうことなく
ひっそりと ひろく歩み続けるために。"
"すべてが白に覆われた季節は、
息までも同じ色に染めて隠してしまう。
光によって より確かなものを
洗い出さなければならない。"
💠詩「冬の連弾」文月悠光
*「婦人之友」2020年2月号ミヨシ
新年明けましておめでとうございます🎍
皆さんへ祝福の風が吹きますように🌠
"風は陶芸家、世界のかたちを整えていく。
今はまだ、はかない重力に生かされて
きょうのうつわを 手から手へ運んでいく。"
💠詩「風のうつわ」文月悠光
*「婦人之友」2020年1月号ミヨシ石鹸さん広告より。
毎月、裏表紙広告欄に詩を書き下ろしています✍☪️
写真:岩倉しおりさん
▶︎詩のテキスト・朗読のバックナ
雨は祈りのダンス☂🌠
〈地球という駅のホームを
初めて外から眺めたとき、
宇宙は泣いているのかと思った。
わたしたちは互いに渦巻き、溶け合って
あまりに青い
ひとつの星だったのだ。〉
詩「ダンス」文月悠光
*「婦人之友」6月号ミヨシ石鹸さん広告より。
毎月、裏表紙広告欄に詩を書き下ろしています✍️💠
写真:岩倉しおりさん
※今回文字がやや見えにくそうなので、詩のテキストのみの画像もアップ
5月の風を詩に描きました🌾🌠
〈わたしの愛は
どこを漂っているのだろうか。
そう希求する力がまだあることに
春、ひたすらに驚いている。
それほどの強引さで
季節は人々の手を握る。
愛を見失ったとしても
愛はわたしを逃さない。〉
詩「愛のうつわ」文月悠光
*「婦人之友」5月号ミヨシ石鹸広告より。裏表紙広告欄に、毎月書き下ろし✍️
写真:岩倉しおりさん
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「婦人之友」毎号掲載のミヨシ石
なぜ人は人とお別れするの。
根は土に 光は枝に 川は空に
お別れしない。
ただ見つめ合うことを
宿命づけられている。
…
胸の底がくすぐったいのは、
人が花を見るとき
花も人を見つめ返すからだ。
詩「花の宿命」文月悠光
*「婦人之友」4月号 ミヨシ石鹸さんの広告
裏表紙広告欄に、毎月書き下ろし✍️🌸
写真:岩倉しおりさん
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「婦人之友」毎号掲載のミヨシ石鹸さんの広告にて、岩倉しおりさ