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#ブランディング

大学のスタンスが見えてくる?実践女子学園のサイトからひもとく、周年記念サイトに込められたメッセージ

大学のスタンスが見えてくる?実践女子学園のサイトからひもとく、周年記念サイトに込められたメッセージ

50周年、100周年、125周年など、大学が大きな節目を迎えるときに、よく周年記念サイトが立ち上げられます。この周年記念サイト、のぞくとその大学が何を大切にしているかが伝わってくるので、大学を知るうえで実はすごく有効なツールだと思うんですね。今回、実践女子学園の創立125周年記念サイトを見て、あらためてそんなことを感じました。

「125th Anniversary for Future」を伝える

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全学とキャンパス、複数ブランド化で相乗効果をねらう。立命館の新拠点誕生に見る重層的なアプローチ

全学とキャンパス、複数ブランド化で相乗効果をねらう。立命館の新拠点誕生に見る重層的なアプローチ

大学のブランディング活動を、ものすごく平たく言ってしまうと、その大学がこれまで積み重ねてきたことと、これからやろうとすることを、ターゲットに最も伝わる表現で伝え、浸透させていく営みのように思います。今回、見つけた立命館大学の取り組みは、まさにこれに当たるのですが、他とはちょっと違うんですね。こういった重層的な手法をとれると、より深く、説得力のあるかたちで、社会に大学の価値を伝えられるのかもしれませ

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大学に新たな多様性をつくり出す!APUが仕掛ける「高校生特命副学長」募集という挑戦の価値を考える

大学に新たな多様性をつくり出す!APUが仕掛ける「高校生特命副学長」募集という挑戦の価値を考える

普段は大学のプレスリリースからnoteのネタを探すことが多いのですが、今回はX(旧Twitter)で見つけた告知を取り上げようと思います。立命館アジア太平洋大学(APU)の前代未聞の非常にユニークな取り組みです。大学が新しいことを模索するのであれば、これぐらいの突飛さや気概が必要なのかもしれません。

「高校生特命副学長」募集というチャレンジ

ではどのような取り組みなのかというと、新高校1・2年

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ブランドメッセージを誰にどう伝える?東京工芸大の取り組みを機に考える、大学ブランディングの4つのアプローチ

ブランドメッセージを誰にどう伝える?東京工芸大の取り組みを機に考える、大学ブランディングの4つのアプローチ

新型コロナが5類になり落ち着きを見せたと思ったら、次は生成AIが社会を揺るがす大きなトピックとしてあらわれました。近年、立て続けに、大学や大学教育とは何かを問い直す出来事が続いています。こういったタイミングだからこそ、自分たち大学が何者であり、何をめざすのかといったことを、あらためて考え、具体化していく必要があるのかもしれません。

今回、見つけた東京工芸大学の「ブランドタグライン」と「ブランドス

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卒業生こそが大学の財産!3同窓会組織の連携協定から、同窓会がつながることのポテンシャルを考える。

卒業生こそが大学の財産!3同窓会組織の連携協定から、同窓会がつながることのポテンシャルを考える。

大学の広報活動における入試広報とブランディング活動の違いは何か?と聞かれると、重なっているところの方が少ないのですが、でもあえて一つを挙げるとするなら、“勝たなくていい”ことのように思います。この視点で考えたとき、今回、見つけたプレスリリースの内容は、すごくポテンシャルが高いように感じました。

3つの同窓会組織による連携協定の締結

では、どんなプレスリリースなのかというと、学習院桜友会、成蹊学

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成功の鍵は”しっくり感”!? 日本女子大のリリースから考える、誰にどう伝えるとブランディングは動き出すのか

成功の鍵は”しっくり感”!? 日本女子大のリリースから考える、誰にどう伝えるとブランディングは動き出すのか

大学だけではないのですが、組織の在り方を印象的に伝え、ブランディングに寄与するものとして、タグラインというものがあります。タグライン?という方は、よく大学名や会社名のロゴタイプの上や下についている、アレというとピンとくるかもしれません。

今回、日本女子大学が創立120周年を記念して新たなタグラインと、その意味内容を伝えるステーツメントをつくったようです。タグラインの内容もそうですが、リリースの出

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“興味がある人軸”から“興味をもって欲しい人軸”へ。視点を変えないとはじまらない、超少子化時代の入試広報。

“興味がある人軸”から“興味をもって欲しい人軸”へ。視点を変えないとはじまらない、超少子化時代の入試広報。

大学や短大の募集停止のニュースを見る機会も増え、18歳人口減少による「大学、冬の時代」の到来が“少し先の未来”から“いま”に変わりつつあることを、肌感覚で理解できるようになってきました。こういった状況もあり、どの大学も入試広報に必死だと思うのですが、そもそも入試広報に力を入れるって、どういうことを指すんでしょう?流通経済大学が新たに開設した高校生向けウェブサイトを見て、頑張る方向性にとても共感が持

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大学を変える鍵は学長にあり。大経大のインナーブランディングサイトから気づいた、学長メッセージの大切さ。

大学を変える鍵は学長にあり。大経大のインナーブランディングサイトから気づいた、学長メッセージの大切さ。

少子高齢化、新型コロナ、急速なICTの発展などなど、世の中の大きな変化は、大学にも直撃しており、これからの時代を見据えて主体的に変化することが、今、大学ではかつてないほどに求められています。では、変化するとしたら、どこをめざして変化するべきなのか、またどのようにしたら学内に変化しようという気持ちが芽生えるのか、といったことが重要な課題になっていきます。この解決の糸口として、インナーブランディングは

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制度でも、プログラムでもない?旺盛な商品開発という近畿大学の風土は、これからの大学個性化のヒントになるか。

制度でも、プログラムでもない?旺盛な商品開発という近畿大学の風土は、これからの大学個性化のヒントになるか。

大学広報課の職員さんなら、だいたいがブックマークに入れていそうなサイトに「大学プレスセンター」があります。これは大学に特化したプレスリリース配信サイトで、私も毎日のぞいているんですが、なんか最近、近畿大学の商品開発のプレスリリースがすごく多いんですよね。

1月に配信されたもののみをピックアップしてみても、なんと6件もあります。おそらく秋学期がもうすぐ終わるので、学生が関わる商品開発については成果

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年末年始だし考えてみた。伝える、よりも大事な大学広報の役割と視点。

年末年始だし考えてみた。伝える、よりも大事な大学広報の役割と視点。

あけましておめでとうございます。年末年始に仕事内容を整理していて、自分のなかでの大学広報に対する考え方が、ここ数年で大きく変わってきたなと、あらためて感じました。また数年たてば戻ったり、違う考えになったりしているかもしれないのですが、記録の意味も兼ねて、現段階での大学広報に対する考えをまとめてみようと思います。

伝えるだけではない、広報の仕事もともと私は、広告関連のライティングや編集の仕事に携わ

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大学が“一般的な何か”を伝えるという貴重な機会をフル活用したウェブサイト(東洋大)

大学が“一般的な何か”を伝えるという貴重な機会をフル活用したウェブサイト(東洋大)

みなさんは東洋大学にどんなイメージをお持ちですか?

関西圏で暮らす、私の場合、創立者が井上円了という哲学者であること、スポーツ(とくに駅伝)が強いこと、広報活動がややヤンチャであることの3つが、まず思い浮かびます。

東洋大学が新たに立ち上げた特設サイトが、見事なまでにこの特徴を兼ね揃えていたので、今回はこのサイトを取り上げたいと思います。大学の特色づけ、延いてはブランディングを考えるうえで、こ

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これから絶対に必要になる“養命酒的大学改革”を、今、はじめよう。(駒澤大)

これから絶対に必要になる“養命酒的大学改革”を、今、はじめよう。(駒澤大)

「大学改革」という言葉から、まずイメージするのは新学部の開設であったり、キャンパスの移転であったり、何かしら物理的な大きな変化ではないでしょうか。実際、こういった大きな改革をたくさんの大学が取り組んできたし、今なお現在進行形で取り組んでいる大学がいっぱいあります。

大学業界で働いていると、このような大きな改革とは別に、より深く、本質的な部分にメスを入れる大学改革が増えてきている印象があり、今後さ

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