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〈短編小説〉悪魔の商売
序章どんよりと曇った空の狭間から、時折陽光が降り注ぐ。こじんまりとした部屋から、その様子を眺める影があった。部屋の床には天鵞絨の絨毯が敷き詰められている。窓は一つ、すぐ傍に煉瓦造りの暖炉が誂えられている。それほど広くない部屋には、他にロココ調の机が一台と椅子が二脚置いてあるだけだった。
くあ、と小さな欠伸が部屋に響く。清閑な部屋で、その音は酷く目立った。同時に、床の上を翡翠色の硝子玉が転がる。それ
若さを失い自由になった大人
「ねえ、あれって大学生?」
同僚に声をかけられて顔を上げた。
指し示す先には、黒いスーツを着た一団。
男性は髪を短く束ね、女性は髪をひとつ括りにしている。
「あー、そういえば大学4回生が来るって言ってましたねえ」
「まじで? 高校生かと思ったわ」
「20歳前後なんて、この歳になったら全部一緒ですよ」
「おぼこいなぁ」
待て同僚、「おぼこい」なんて久々に聞いたぞ。
ちなみに、関西では大学生◯
旅に出たいと思った過去の自分を恨む日
はじめまして、哀須(あいす)と申します。
どうやらニックネームはすぐ変えられるらしいので、この名前がいつまで続くかは不明である。
ちなみに正式名称は哀須のん、と言う。
どこかで聞いたことのある名前だって?
夏場とか風邪を引いた時に、よく使う?
いや、気のせいでしょう。
おかしいな、今私がいるのは室内だというのに、突如として寒くなったようだ。
おお、寒い。
それはさておき。
記念すべき第一弾の記