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卯野有希路
2024年5月6日 19:04
冷蔵庫にポツンと居座る、 カニカマを見て思う。 カニカマほど、 己に自信を持つ者はいない。 カニはカニ、 カニカマはカニカマ。 カニの偽物だとしても、 彼は個として存在する。 カニカマだけを求めてしまう。 偽物を本物としてしまう。 それ程までに魅力的で、 視認できない力を持っている。 不思議。何とも不思議。 カニカマに尊敬を懐きながら、 冷蔵庫の中のそれをつ
2024年5月3日 08:25
何気ない日常。 日々の気づき。 やるせない思い。 くだらない話。 音声だけで 満足させる パーソナリティーたちの 技術が光る。 日が昇る朝。 昼の高速道路。 帰路に就く夕方。 深夜の部屋で一人。 寂しがり屋の 僕たちは 今日もラジオに お世話になる。 テレビでは味わえない プライベート感が 僕たちに寄り添う 笑い声が聴こえたら 合図さ。 僕た
2024年5月1日 07:21
こちらは、Xにて投稿した詩のまとめです。タイトルは後付になります。「エイプリルフール」 嘘吐く余裕無く、 午前が過ぎて、 種明かしの必要無く、 午後が過ぎた。 そんな私の4月1日。 世間で言うエイプリルフール。(2024年4月1日投稿)「鳥」 モノトーンの空、 風は静か。 遠く遠く、 鳥は飛ぶよ。 遥か彼方の、 群れを求めて。 彼等の痕跡なんて、 ここ
2024年4月25日 22:56
彼女の望みは 実に単純であった。 この世界の片隅で 自分たちの痕跡を消したかったのだ。 深夜の酔いと共に 孤高な旅へと向かって行く。 誰も僕等を知らない そんな夜を憧れた。 ……夜汽車は走る。 擦れる金属の音。 ガスや電気が心を揺らす。 ボックス席に座る僕等を 何処に連れて行く? ……夜汽車は走る。 目指すは暗闇の果て。 名も無きプラットフォーム。 影に
2024年4月20日 19:10
初めて来たその店は 老舗デパートの最上階。 ガラス張りを背にして ブレンドコーヒーと ドーナツを楽しんだ。 今まで行かなかったその店は レトロで エレガントでいい感じ。 ピアノ・インストのオフコースも お洒落な照明も 飾られた抽象画も 素敵だな。 テーブルに置かれた 木製のペッパーミルも 使い込まれて 素朴な味がある。 良い年の重ね方をしている。 素敵な
2024年4月17日 15:44
街の中心にある丘には 小さな展望台がある ペットボトルの緑茶だけを持って 僕は一人展望台まで登る もうすぐ日が落ちる手前 誰もいない展望台に着く 一口、お茶を飲む 温もりが食道を通る ベンチに座って景色を見ると 風がサァーッと吹いてきた 景色の先には灯台が見える 高い 高い 灯台が見える 変わらぬリズムで 回転灯を回す 強く発光し 回転灯は回る
2024年4月15日 13:24
花が咲く 前髪が伸びる いつかの風邪も治る 季節は何巡する 使っていないプロジェクターに 埃が溜まる 何年も眠ったままの望遠レンズに カビが生える 行きつけの店は潰れ その跡にアパートが建つ 両親は白髪が増え 皺も深くなる 友は町を離れ 連絡がつかなくなる 「昔は良かった」と嘆き 「昔に戻りたい」と願う そして 気づけば嫌だったあの頃を 綺
2024年4月1日 07:27
こちらは、Xにて投稿した詩のまとめです。タイトルは後付になります。「雨」 最初の一粒は何処に降る? 僕の目の前に降ってくる。 雨は気まぐれ。 小さな子供と同じ。 僕等の日々に左右されず、 ワガママを通して威張っている。 最初の一粒は何処に降る? 僕の鼻先に降ってくる。 一つ、くしゃみ。 雨は柔らかく降ってきた。(2024年3月5日投稿)「目線の先」 か
2024年3月20日 09:08
彼女の柔らかい黒髪は、 春風に誘われて揺れていた。 産まれたての翠緑は光り輝き、 彩りの側を流れる川のせせらぎは穏やかだ。 幼い花々たちの舞は、 喜びの頂点を表し続けている。 南南西からのギフトは、 神聖な存在による豊穣と平穏であった。 麗しき老女神は、 慈悲深い笑みを浮かべたままだ。 「今年も来たね」 いたずらっ子の君は言う。 去年から季節が一巡しても、 彼女は
2024年3月15日 18:11
永く、緩く、 コツコツと。 亀みたいな生活を、 僕は憧れている。 ゆっくりとした時間の中で、 自分らしく生きている。 陽の暖かさに感謝し、 自然の恵みに喜びを感じる。 好きなモノを食べ、 好きな時間に寝る。 「ノロマ」と周りから言われていても、 そんなの気にせず笑っている。 永い時間を過ごす果て。 爺さんになっても、 楽しく過ごしたいね。 小さな孫から、 「亀
2024年3月11日 15:46
全てを奪った海は、 何事も無かった様に落ち着いている。 あっけらかんとした水面に、 やり場のない悲しみを浮かべた。 かつての町々の営みも、 あの笑いあった通学路も、 毎年の楽しみだった祭囃子も、 しんしんと降った雪の美しさも、 お小遣いをくれた祖父母の笑みも、 温かい母の手料理も。 ……戻る事の無い、全て。 潮風吹かれ、 僕はとうとう大人になった。 僕は嫌いになっ
2024年3月7日 12:52
教室に桜の花びら、 風に流れて入ってきた。 窓際の席に座る私は、 この日々の終わりを感じた。 青春の足跡は、 私の足元に溢れている。 あの笑い合った記録は、 私の肉体に刻まれている。 有限の日々に、 紺色のインクで言葉を書き残した。 「ありがとう」という一言、 積み重なって道となる。 卒業おめでとう。 今日も風は吹いている。 桃色のトンネルを抜けて、 新たな
2024年3月3日 09:36
暗闇の世界が広がっても、 ランプをつければ明るくなる。 それと同じ様に、 願えばその様になるんだ。 今の君に明日は無い? ずっと過去に囚われたまま? ほら、頭を上げてごらん。 朝日はすぐそばまで来ている。 君は自由だ。 朝日に向かって飛べるんだ。 風は君を後押しする。 塞ぎ込んでちゃ駄目だぜ。 例え困難が道を塞いでも、 心のランプを信じろ。 明るく照らす光は、
2024年3月1日 06:34
こちらは、Xにて投稿した詩のまとめです。タイトルは後付になります。「当たり前」 卵を割れば黄身一つ。 雨が降れば傘を差す。 働き過ぎて疲れたら、 夕焼け小焼けでまた明日。 当たり前を理解して、 当たり前を享受せよ。(2024年2月2日投稿)「雪が降った後の事」 雪溶けて、 ドロドロになった大地の上。 靴を濡らして、 危なっかしい道を歩む。 雪は儚い。