清水正浩

ポンコツにしてボンクラノート、略してP.B.N

清水正浩

ポンコツにしてボンクラノート、略してP.B.N

記事一覧

読書録125 丹波哲郎・ダーティ工藤著「大俳優 丹波哲郎」

のっけから濃厚な「丹波哲郎節」が全開で最高なのである。 サービス過剰かつ、あちこちに話が飛んだり跳ねたり暴走しかけたりするのだけれど、ダーティ氏が絶妙にツッコん…

清水正浩
6日前
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読書録124 野村進著「丹波哲郎 見事な生涯」

圧巻の取材力と読ませる文章で、結構ぶ厚い本なのにあっという間に読み切ってしまった。 取材対象である「丹波哲郎」自体が、おそろしく魅力的である事に加えて、あまり深…

清水正浩
2週間前

ゴールデンウィークに観た映画達

とはいえ、家で配信で観たんだけれど、観た順に感想なぞ。 ①柳生一族の陰謀 ただただ萬屋の錦ちゃんが素晴らしすぎるし、千葉ちゃん率いるJACのアクションも圧巻! ②…

清水正浩
2週間前
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読書録123 鈴木理生著 「江戸の都市計画」

タイトルは「都市計画」とは言うものの、水運を中心にした「港湾史」と言った方が正確かなと思う。 予想とはちょっと趣きが違う内容ではあったが、港湾系の短大を出て、港…

清水正浩
3週間前
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読書録122 喜瀬雅則著「中日ドラゴンズが優勝できなくても愛される理由」

待ちに待った本作なのである。 https://note.com/jrc43z/n/n1e859f34c495 https://note.com/jrc43z/n/nbad207cdcb77 阪神タイガース、オリックスバファローズ、福岡ソフ…

清水正浩
4週間前
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読書録121 井端弘和・西尾典文著「日本野球の現在地、そして未来」

落合博満さんの講演会に行くと必ず名前が挙がるのが「井端、荒木、森野」の3選手で、彼等は「地獄の落合ノック」をクリアし、ドラゴンズ黄金期を象徴する選手達なのである…

清水正浩
1か月前
3

読書録120 高鳥都著「必殺シリーズ始末 最後の大仕事」

大好きな「必殺シリーズ」を深掘りする素晴らしいシリーズの3作目(別出版社の仕置人大全も入れたら4作目)なのである。 「最後の大仕事」とサブタイトルにあるのが寂しく…

清水正浩
1か月前
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読書録119 森功著「鬼才 伝説の編集人 齋藤十一」

生来の活字中毒だから、廉価かつ種類が豊富で持ち運びの楽な文庫本には随分と世話になってきた。 中でも新潮文庫のレトロなデザインと、栞のいらない紐付きの仕様はとても…

清水正浩
1か月前
3

読書録118 三浦英之著「涙にも国籍はあるのでしょうか」

東日本大震災が起こる2年前に亡くなった父は、生前いつか関東にも大きい地震がくるからと、地震の際に気をつけるべき事について俺や弟にうるさく言っていたのだけれど、そ…

清水正浩
2か月前
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読書録117 TAJIRI著「真・プロレスラーは観客に何を見せているのか」

令和のプロレスファンに、「ガチヤオ論争」とか「ミスター高橋本」とか「ケーフェイ」とか言ってみても、きっと通じないだろう。 「怪しく」て「卑猥」で「曖昧模糊」とし…

清水正浩
2か月前
3

読書録116 藤井青銅著 「トークの教室」

もはや「伝説」となった、「オードリーのオールナイトニッポンin東京ドーム」の余韻に、どっぷりと浸りながら「青銅さんの新刊」を読むという至福を味わっている。 若様曰…

清水正浩
3か月前
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読書録115 石井暁著 「自衛隊の闇組織 秘密情報部隊「別班」の正体」

今更ながらなのだけれど、年末年始で「VIVANT」を観た。 さすがに2023年のエンタメ界を席巻した作品だけあって、やっぱりとても面白く、そうなると「別班」について知りた…

清水正浩
4か月前
3

読書録114 宮内義彦著「諦めないオーナー」

現時点でパリーグ三連覇を果たし、現場と球団を合わせて最も充実している「オリックスバファローズ」のオーナーを、球団立ち上げから34年間務められた宮内義彦氏の著作なの…

清水正浩
4か月前
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読書録113 伊集院静著「ノボさん」

国語の教科書に載っている、キャッチーな横向き写真の人、柿を食べたら法隆寺の鐘が鳴ってしまう人、「俳人正岡子規」が、魅力的な「ノボさん」になったのは、司馬遼太郎さ…

清水正浩
4か月前
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読書録112 大谷敬二郎著「憲兵」

活字中毒は親譲りらしく、いつも何かしら読んでいないと気がすまないのである。 亡くなった父の所には、毎月近所にある富士書房さんという個人営業の本屋さんが、文藝春秋…

清水正浩
5か月前
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読書録111 井波律子著「読み切り三国志」「トリックスター群像」

中国文学者で、数多くの翻訳等もされた著者による「中国四大奇書」である「三国志演義」「西遊記」「水滸伝」「金瓶梅」に加えて「紅楼夢」の5作品について成り立ちやスト…

清水正浩
6か月前
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読書録125 丹波哲郎・ダーティ工藤著「大俳優 丹波哲郎」

読書録125 丹波哲郎・ダーティ工藤著「大俳優 丹波哲郎」

のっけから濃厚な「丹波哲郎節」が全開で最高なのである。

サービス過剰かつ、あちこちに話が飛んだり跳ねたり暴走しかけたりするのだけれど、ダーティ氏が絶妙にツッコんだり、合いの手を入れたり、事実関係を補足していきつつ、丹波さんの語り口を完全に再現しているので、目の前でワンマンショーが繰り広げられてるのかと錯覚するくらいだった。

直前に読んだ「丹波哲郎 見事な生涯」が、丹波哲郎評伝の傑作だとすれば、

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読書録124 野村進著「丹波哲郎 見事な生涯」

読書録124 野村進著「丹波哲郎 見事な生涯」

圧巻の取材力と読ませる文章で、結構ぶ厚い本なのにあっという間に読み切ってしまった。

取材対象である「丹波哲郎」自体が、おそろしく魅力的である事に加えて、あまり深掘りされてこなかった「霊界研究」を含めた私生活への洞察も含めた内容が新鮮で、とても面白かった。

貞子夫人と長男義隆氏の家庭に、江畑絢子氏と正樹氏との別宅の関係は、「真田太平記」に於ける昌幸の家族関係に酷似していて、丹波さんが自ら池波正太

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ゴールデンウィークに観た映画達

ゴールデンウィークに観た映画達

とはいえ、家で配信で観たんだけれど、観た順に感想なぞ。

①柳生一族の陰謀

ただただ萬屋の錦ちゃんが素晴らしすぎるし、千葉ちゃん率いるJACのアクションも圧巻!

②必殺3 裏か表か

昔は楽しく観たのだけれど、前期必殺を知った後だと、マンガチックで物足りないかな。

③拝啓天皇陛下様

個人的に渥美清のハマり役は、「車寅次郎」よりも本作の「山田正助」だと思う位に好きな作品。笑って泣ける活劇であ

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読書録123 鈴木理生著 「江戸の都市計画」

読書録123 鈴木理生著 「江戸の都市計画」

タイトルは「都市計画」とは言うものの、水運を中心にした「港湾史」と言った方が正確かなと思う。

予想とはちょっと趣きが違う内容ではあったが、港湾系の短大を出て、港湾企業で30年近く働いてきた自分的にも、なるほどと思う事が多く面白く読めた。

北日本から太平洋沿いに、東京湾に向かう航路の場合、現在運行しているような10,000トンクラスの貨物船でも荒天時に犬吠埼を越えるのは結構難しいのだけれど、当然

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読書録122 喜瀬雅則著「中日ドラゴンズが優勝できなくても愛される理由」

読書録122 喜瀬雅則著「中日ドラゴンズが優勝できなくても愛される理由」

待ちに待った本作なのである。

https://note.com/jrc43z/n/n1e859f34c495

https://note.com/jrc43z/n/nbad207cdcb77

阪神タイガース、オリックスバファローズ、福岡ソフトバンクホークスと、著者の本は踏み込んだ取材でタブーにも斬り込むところが面白い上に、書かれたチームは必ず優勝するという縁起の良さもあって、次はドラゴンズを書

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読書録121 井端弘和・西尾典文著「日本野球の現在地、そして未来」

読書録121 井端弘和・西尾典文著「日本野球の現在地、そして未来」

落合博満さんの講演会に行くと必ず名前が挙がるのが「井端、荒木、森野」の3選手で、彼等は「地獄の落合ノック」をクリアし、ドラゴンズ黄金期を象徴する選手達なのである。

中でも本作の共著者である井端氏は、年長者でもあり、野球頭脳に優れ、万事に抜かりの無いスマートなプレーをする名ショートだったし、引退後もアマチュア球界に食い込みつつ、指導経験を積んでいるのは知っていたけれど、まさかここまで深くアマチュア

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読書録120 高鳥都著「必殺シリーズ始末 最後の大仕事」

読書録120 高鳥都著「必殺シリーズ始末 最後の大仕事」

大好きな「必殺シリーズ」を深掘りする素晴らしいシリーズの3作目(別出版社の仕置人大全も入れたら4作目)なのである。

「最後の大仕事」とサブタイトルにあるのが寂しくて、読むまでに時間がかかってしまった。

今回は「仕事人」以降、いわゆる「後期必殺」の話がメインとなる。

リアルタイムで視聴していた頃の話が多く楽しかった。

演者の村上弘明さんは、デビュー作の仮面ライダーが直撃する世代だった事もあり

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読書録119 森功著「鬼才 伝説の編集人 齋藤十一」

読書録119 森功著「鬼才 伝説の編集人 齋藤十一」

生来の活字中毒だから、廉価かつ種類が豊富で持ち運びの楽な文庫本には随分と世話になってきた。

中でも新潮文庫のレトロなデザインと、栞のいらない紐付きの仕様はとても好きだ。

本書の主役である齋藤十一は、雑誌編集の「鬼才」なのだけれど、新潮社の創業から丁寧に描かれているので、文庫への親しみもあって興味深く読めた。

やっぱり、イデオロギーや主義主張に囚われすぎない、白でも黒でもない巨大なグレーの存在

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読書録118 三浦英之著「涙にも国籍はあるのでしょうか」

読書録118 三浦英之著「涙にも国籍はあるのでしょうか」

東日本大震災が起こる2年前に亡くなった父は、生前いつか関東にも大きい地震がくるからと、地震の際に気をつけるべき事について俺や弟にうるさく言っていたのだけれど、そういえば「高い所に逃げろ」ってよく言ってたな…と、あの日が訪れるたびに思い出したりする。

父自身は、横浜で生まれて戦中に祖父の故郷である千葉県木更津の金田村(今、アウトレットとかすごいあたり)に疎開しただけで、東北に所縁はないし、大きい地

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読書録117 TAJIRI著「真・プロレスラーは観客に何を見せているのか」

読書録117 TAJIRI著「真・プロレスラーは観客に何を見せているのか」

令和のプロレスファンに、「ガチヤオ論争」とか「ミスター高橋本」とか「ケーフェイ」とか言ってみても、きっと通じないだろう。

「怪しく」て「卑猥」で「曖昧模糊」とした、「巨大なグレーゾーン」であった「プロレス」も、長い低迷期を経て、白黒はっきりした「スポーツエンターテイメント」として再認識されたんじゃないかと思う。

だけれど、「日本プロレス界の父」力道山先生の出自である「相撲界」同様に、閉鎖的な「

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読書録116 藤井青銅著 「トークの教室」

読書録116 藤井青銅著 「トークの教室」

もはや「伝説」となった、「オードリーのオールナイトニッポンin東京ドーム」の余韻に、どっぷりと浸りながら「青銅さんの新刊」を読むという至福を味わっている。

若様曰く「青銅イズム」を体現したのがオールナイトニッポンのトークになるのだから、面白くない訳がないのだ。

とはいえ、無駄に背伸びをして、中身の薄い流暢なだけのトークテクニックを指南するのではなく、本人の中にあるエピソードを、いかに整理したり

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読書録115 石井暁著 「自衛隊の闇組織 秘密情報部隊「別班」の正体」

読書録115 石井暁著 「自衛隊の闇組織 秘密情報部隊「別班」の正体」

今更ながらなのだけれど、年末年始で「VIVANT」を観た。

さすがに2023年のエンタメ界を席巻した作品だけあって、やっぱりとても面白く、そうなると「別班」について知りたくなるという次第。

で、手に取ってみたのが本書なのだけれど、これがイデオロギー強めで読みづらい…

「シビリアンコントロールとは無縁である別班」は問題があるという主張と「特定秘密保護法」への反対という二本柱のテーマへ拘るばかり

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読書録114 宮内義彦著「諦めないオーナー」

読書録114 宮内義彦著「諦めないオーナー」

現時点でパリーグ三連覇を果たし、現場と球団を合わせて最も充実している「オリックスバファローズ」のオーナーを、球団立ち上げから34年間務められた宮内義彦氏の著作なのだけれど、とにかく面白かった。

「オーナーだから出来る事」「オーナーには分からない事」を、きっちりと分別し、職分を果たしながらも「業界全体の発展」に全力を尽くす。

決して成功物語ではなく、むしろ失敗を教訓としたエピソードが多いのも興味

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読書録113 伊集院静著「ノボさん」

読書録113 伊集院静著「ノボさん」

国語の教科書に載っている、キャッチーな横向き写真の人、柿を食べたら法隆寺の鐘が鳴ってしまう人、「俳人正岡子規」が、魅力的な「ノボさん」になったのは、司馬遼太郎さんの「坂の上の雲」を読んでからだ。

俳諧や短歌における業績もさる事ながら、短い人生をエネルギッシュに駆け抜けた「ノボさん」の人間的な魅力が好きなんだよね。

「坂の上の雲」では、秋山真之との友情がメインに描かれているが、本作では夏目漱石と

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読書録112 大谷敬二郎著「憲兵」

読書録112 大谷敬二郎著「憲兵」

活字中毒は親譲りらしく、いつも何かしら読んでいないと気がすまないのである。

亡くなった父の所には、毎月近所にある富士書房さんという個人営業の本屋さんが、文藝春秋と母が読む主婦の友かなんかを届けてくれていて、欲しい本を注文すれば問屋さんから取り寄せてくれたりした。

俺が読書に目覚めたのは中学生の頃で、限られた小遣いでより多くの本を読もうと古本屋に入り浸るようになっていったのだが、その頃父に「憲兵

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読書録111 井波律子著「読み切り三国志」「トリックスター群像」

読書録111 井波律子著「読み切り三国志」「トリックスター群像」

中国文学者で、数多くの翻訳等もされた著者による「中国四大奇書」である「三国志演義」「西遊記」「水滸伝」「金瓶梅」に加えて「紅楼夢」の5作品について成り立ちやストーリーを解説したガイド本的読み物、二冊続けて読んだ。

特に後者は、「トリックスター」という作品世界を掻き回す存在に注目して書かれていて、着眼点が面白いため楽しく読めた。

とくに「金瓶梅」は、「水滸伝」のスピンオフでもあり、if物でもあり

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