フォローしませんか?
シェア
齋藤美衣
2020年10月8日 07:50
2020年10月2日の朝、わたしは突然「畑をやらなくては」と思いました。思った瞬間どこでどんな風にしていたか、はっきり覚えています。朝の家事をしている最中で、台所の洗いかごの横に立った瞬間でした。「土に触れるのはいい」とか、「畑をするのは自分と対話することだ」とか、畑をすることがよいことだ、という話は何度も聞いたことがありました。それについては、「ふーん、そうなんだな。そうだろ
2020年10月9日 07:42
畑の先生とのZoomミーティング終了後、わたしは早速畑へ行きました。先生の教えに「畑へははだしで行く」とあるので、仕方ありません。靴下も靴も脱ぎ捨て、まずは庭に下り立ちました。日差しは暑いのですが、庭の土はひんやりしています。初めて踏む庭の土です。どんなふうに足の裏を地面につけたらいいのかわからず、恐る恐る一足ごと進みます。庭からスチール製のはしごを降りて、そこが畑です。畑とい
2020年10月11日 09:09
荒れ果てた小さな土地を、なんとか土が見える状態にして2日目です。午後には、前日にAmazonで注文したミックスリーフの種が届きました。昨日より、おっかなびっくりではなく畑に足を運びます。はだしにまだわたしの足は慣れていませんが、昨日ほど怖くはありません。初日は、へびやムカデを踏んだら、とか、もしかしてガラスの欠片で足を切るかも、とそんなことばかりはじめはかんがえてしまっていました。種
2020年10月14日 08:57
3日目、わたしは早朝の畑へ行ってみました。1日目、2日目は午後に行っていたのです。はだしで踏む土は昨日より湿っていて、ひんやりとした冷気が足裏から伝わってきます。腰を落として土に触れると、そこには小さな虫が動いていました。虫は昨日より数が少なく、動きもゆっくりなようです。午後にはさんざん悩まされた蚊もいません。その日には、買い物へ行って葱が高かったので、分葱を買いました。夕飯はか
2020年10月20日 08:03
4日目、分葱を植えました。その前の日にかつおのたたきに使った残りです。いつもなら根っこのところはゴミになる(といっても我が家は「キエーロ」というコンポストを使っているので、土にはなっていたのですが)ものが、それで命が終わりでなくて、また生き返って、しかもうまくいけば食べられるというのは少し手品めいています。昨日の晩に根っこを切って、水に浸けておいたものを持って畑へ行きました。スコップ
2020年10月21日 08:02
畑をはじめて、たったの5日です。天地創造もまだ終わっていないくらいの時間です。でも、わたしにとってはとてもとても長い時間に感じました。感覚としてはこの5日間は、10カ月くらいです。毎日はだしになって畑へ行く。まだ何も収穫はしていない。ただ1畳半くらいのちいさな小さな地面があるだけのところへ、毎日数分行くということがこんなにも何もかも変えてしまうくらいの力を持っているとは思ってもみま
2020年10月22日 07:42
畑のがっこうに入学して6日目の朝、わたしははっきりとわかりました。卒業をする時が来た、と。前の晩まで、そんなことはみじんも感じていませんでした。でも、そんな気がするとか、そうしたいとかではなく、今なのだとわかったのです。その日もはだしで畑へ行きました。一日、一日、季節は過ぎて行くのが、畑へ行っているとよくわかります。季節はとてもゆったりと、でもはっきりと瞬間瞬間に移ろっています。