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愛すべき懲りない神々を静かに描く。ルシア・ベルリンの優しくも気高い魂。
隣にいてただ一緒に眺めてくれればいいい
「アメリカ文学の静かな巨人」リディア・デイヴィスが絶賛して知られるようになったのが、いわば市井の書き手のまま没した同じく短編作家のルシア・ベルリン。
その作品群。
暗黒の底にいながら、到底届いていないはずの光の束をひとり静かに見つめている。
彼女のそんな凛とした姿が浮かんでくるようです。
母の自死、三度の離婚、四人の子どものシング
川上未映子 「私は、ゴッホにゆうたりたい」をネイティブで朗ぜる幸せ。
…これをネイティブで朗ぜることの幸せ。
川上未映子にめっちゃゆうたりたい。
川上未映子『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』
/私はゴッホにゆうたりたい (講談社文庫)
ブローティガン「西瓜糖の日々」 語る前に、書きたくなる。それは死者たちのつぶやきへの弔い。
聴いて演りたくなった音楽。
食べて作りたくなった料理。
読んで書きたくなった文章…。
そして、そのように生きてみたくなった人。
そう行動したくなるもの。
目的、などという不純をもたらすものがないときに出会うもの。
それが自分にとっての本もの。
■「西瓜糖の日々」リチャード・ブローティガン/河出文庫
すべてがつまるところ他意に埋まり手段に堕ちる「目的意識」なるものから離れたいとき、手にし
内臓を次々と素手でつかみ出す『ジョゼと虎と魚たち』。田辺聖子の柔らかい剛腕、山田詠美のはだかのカミソリ。
自分を変えだすと孤独がはじまる。
さっきまで隣りにいたはずの人がいない。
よそよそしい視線が痛い。
寂しい思いもするが、それは自分が新しいステージに移った証拠。
だから、落ち着いてまわりを見回してみる。
そんな自分を、同じ気持ちで遠くからおずおずと見つめている目を見つけるだろう。
孤独は新しい出会いのはじまり。
『ジョゼと虎と魚たち』 田辺聖子/角川文庫
八篇の短編集。解説は山田詠美。
小川洋子「言葉が存在しない場所で生まれるのが小説」。そこは言葉以前にあったはずの自分の居場所。
(講演「小説の生まれる場所」の続き)
「言葉」はウソをつくために進化した
小川洋子さんは小説づくりの取り組みの中で、「言葉」というものの限界に深い思いを寄せていました。
真理に近づこうと言葉で格闘するとき、ますます真理から遠ざかってしまう。
なぜこんなにも、言葉というのは使い勝手が悪いのか。
その時、言葉の発生について語る進化生物学の岡ノ谷一夫教授のこんな考察に、小川さんは目を開か