紺野莉多|小説家・エッセイスト

読む人の運命を加速させる恋愛小説「The story is Love」を連載中|「14…

紺野莉多|小説家・エッセイスト

読む人の運命を加速させる恋愛小説「The story is Love」を連載中|「140字の恋愛小説」やエッセイのようなものも書きます|あなたがありのままで生きられるよう、言葉を紡ぎます

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1. Yurika - Prologue -|読む人の運命を加速させる恋愛小説

冬の空。息が白い。 今から私は、ある人に会いに行く。そこで私は、告白される。 東京の夜は明るい。ビルと、車の灯。 * 今私は、分岐点に立っている。目の前には二つ…

拝啓 「なりたい自分」へ

「なりたい自分」を思い描く時、その自分は必ず未来にいる。 では、未来はどこにある? それは常に、私の思考の中にある。 私は生まれてこの方、未来というものに、一度…

「私、未来が見えるの」

君がそう言うから僕は聞いた

「君はずっと、笑っていられる?」

君はただ優しく微笑み、頷いた

夜の公園。純白の君だけが美しく浮かび上がる

笑う君の隣には、誰がいるの?

僕が心の中でそう呟くと、君はそっと僕の手を握った

僕だったら、いいな

ただ流るるまま、人生という大河に、身を委ねることができたなら

どうして人生はこんなにも苦しいのだろう? それは「人生が苦しいから」ではないと思う 「人生という大河に抗おうとするから苦しい」のだと思う 私たちの人生は、どうし…

この恋に名前なんていらない

人はすぐに、名前を付けたがる。気持ちにも、事象にも、関係にも。 例えば、恋。 例えば、愛。 例えば、不倫。 例えば、カップル。 例えば、夫婦。 例えば、家族。 …

恋と罪悪感

罪悪感を感じる恋がある。 許されない恋。誰かを傷つけてしまう恋。 「許されないからやめよう」「傷つけてしまうからやめよう」 そんな風に割り切れるなら、今すぐ楽に…

表の彼と、裏の彼

私といる時と、いない時

さよならする時、彼はいつも、表と裏を裏返す

わかってる。そうしないといけないことは、わかってる

でも私は、彼の全てが見たい。表も裏も、全てが欲しい

そんな我儘、許されないのもわかってる

この我儘が、彼を苦しめるのもわかってる

それでも私はまた、恋をする。

私たちは恋をすると、二つの意味で裸になる。 体と心。 それは美しく、でも怖く、滑らかで、でも時に残酷なまでに私たちを傷つける。 恋をすると、裸になった体と心が、…

4. Yurika|読む人の運命を加速させる恋愛小説

♡スキをつけると小説の登場人物からメッセージが届きます 最初のお話👇 前回のお話👇 「あの人なら大丈夫そう」 私が淹れたブラックコーヒーを啜りながら、沙織は淀み…

3. Naoki|読む人の運命を加速させる恋愛小説

*Part分けしていない「3. Naoki」全文です ♡スキをつけると小説の登場人物からメッセージが届きます 最初のお話👇 前回のお話👇 飲み会からの帰り道。ボクは友利花さ…

「胸が張り裂けそう」

僕がそう言うと、君は胸に手を当てた。

僕の痛みは君の痛みで、君の痛みは僕の痛み。

どうしてこんなに、苦しいんだろう。

君の痛みがわかるから、僕は君を傷つけられない。

僕は自分が傷つくのが怖いから、君のことを傷つけられない。

共感が僕たちを襲う。

3. Naoki Part 3|読む人の運命を加速させる恋愛小説

最初のお話👇 前回のお話👇 私以上に私のことを真剣に考えてくれる大切な友だち——— それは、どういう意味なんだろう。 とにかく沙織さんは、友利花さんのことを大切…

3. Naoki Part 2|読む人の運命を加速させる恋愛小説

最初のお話👇 前回のお話👇 「初めまして。直樹といいます」 「初めまして。友利花です」 2人の会話は少し控えめに始まった。そしてお互いの温度感をとてもゆっくりと…

顔を預ける君の熱。

吐息が背中に触れるたび、僕は君を連れ去りたくなる。

君の腕が、僕に絡まる。

この手が、腕が、体温が、いっそ僕の一部だったら。

君が僕で、僕が君で。

そんな風に溶け合ってしまえば、もう何も、怖くないのに。

冷たい風が、僕らの隙間を通り抜けた。

「愛してる」

この言葉は、使わない。

重たく響くこの音色が、私を縛ってしまうから。

「愛してる」って言わないで。

そうじゃなくて、「愛」が陳腐に感じるほど、傷つけ合うの。

泣いて、笑って、泣いて、泣いて。

それでいいの。

「愛」が壊れるほど、愛し合うの。

「好きと言って」

君がそうせがむたび、僕はうつむき気味に「好き」と言った。

君を見る。ほんの少し、不服そう。

でもその奥には、隠しきれない恋がある。

僕の声。「好き」の言葉。空気に溶け込むその全てを味わうような君の照れ笑い。

僕は「好き」という度、君を好きになる。

1. Yurika  - Prologue -|読む人の運命を加速させる恋愛小説

1. Yurika - Prologue -|読む人の運命を加速させる恋愛小説

冬の空。息が白い。

今から私は、ある人に会いに行く。そこで私は、告白される。

東京の夜は明るい。ビルと、車の灯。



今私は、分岐点に立っている。目の前には二つの分かれ道。標識はない。地図もない。誰もどちらが私の幸せなのか、教えてくれない。

あれは10ヶ月前。春だった。私は結婚も考えていた大好きだった彼氏に、浮気をされた。

目の前で土下座をする彼。何回謝られただろう・・・

だけど私の

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拝啓 「なりたい自分」へ

拝啓 「なりたい自分」へ

「なりたい自分」を思い描く時、その自分は必ず未来にいる。

では、未来はどこにある?

それは常に、私の思考の中にある。

私は生まれてこの方、未来というものに、一度も出会ったことがない。たったの一度も。

未来は私の眼前に常にある。思考の中で、私の目の前で投影されている。そしてそれは、近づくとちょうど同じ歩幅分、私の元から離れていく。

「なりたい自分」を思い描く時、私は自分を、そんな未来に投げ

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「私、未来が見えるの」

君がそう言うから僕は聞いた

「君はずっと、笑っていられる?」

君はただ優しく微笑み、頷いた

夜の公園。純白の君だけが美しく浮かび上がる

笑う君の隣には、誰がいるの?

僕が心の中でそう呟くと、君はそっと僕の手を握った

僕だったら、いいな

ただ流るるまま、人生という大河に、身を委ねることができたなら

ただ流るるまま、人生という大河に、身を委ねることができたなら

どうして人生はこんなにも苦しいのだろう?

それは「人生が苦しいから」ではないと思う

「人生という大河に抗おうとするから苦しい」のだと思う

私たちの人生は、どうしようもない変化に晒されることがある

環境の変化、人間関係の変化、心境の変化、体調の変化

そんな時、どうしても私たちは、「変化が起こる前の自分」に縋り、変化に抗う

「こんなはずじゃなかったのに」「どうしてこんなことが起こるの?」

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この恋に名前なんていらない

この恋に名前なんていらない

人はすぐに、名前を付けたがる。気持ちにも、事象にも、関係にも。

例えば、恋。

例えば、愛。

例えば、不倫。

例えば、カップル。

例えば、夫婦。

例えば、家族。

そうした名前は常に、「常識」や「理想」、「偏見」を携えてやってくる。

「恋とは、こういうもの」

「不倫とは、こういうもの」

「夫婦とは、こういうもの」

「家族とは、こういうもの」

こうした名前が私たちに降りかかってく

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恋と罪悪感

恋と罪悪感

罪悪感を感じる恋がある。

許されない恋。誰かを傷つけてしまう恋。

「許されないからやめよう」「傷つけてしまうからやめよう」

そんな風に割り切れるなら、今すぐ楽になれる。

でも———

「そんな風に割り切れないから恋」だとも言える。

恋を深めても、苦しくなる。恋を抑えても、苦しくなる。



私たちが誰かと恋に落ちる時、そこには必ず理由がある。

そしてその理由は、実は私たちの内側にある

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表の彼と、裏の彼

私といる時と、いない時

さよならする時、彼はいつも、表と裏を裏返す

わかってる。そうしないといけないことは、わかってる

でも私は、彼の全てが見たい。表も裏も、全てが欲しい

そんな我儘、許されないのもわかってる

この我儘が、彼を苦しめるのもわかってる

それでも私はまた、恋をする。

それでも私はまた、恋をする。

私たちは恋をすると、二つの意味で裸になる。

体と心。

それは美しく、でも怖く、滑らかで、でも時に残酷なまでに私たちを傷つける。

恋をすると、裸になった体と心が、私自身に迫ってくる。

見たくない私、見られたくない私。

見たい私、見てほしい私。

色んな私が交錯し、葛藤し、私が分裂してしまう。

身も心も裸の私が受け入れられた時、私は相手を通して私自身を受け入れる。

身も心も裸の私が拒絶さ

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4. Yurika|読む人の運命を加速させる恋愛小説

4. Yurika|読む人の運命を加速させる恋愛小説

♡スキをつけると小説の登場人物からメッセージが届きます

最初のお話👇

前回のお話👇

「あの人なら大丈夫そう」
私が淹れたブラックコーヒーを啜りながら、沙織は淀みなく言う。足を組む沙織。いつもの沙織。

私と沙織はこの前の飲み会について話していた。直樹さんと出会ったあの飲み会。

「確かに優しそうだし、なんだか大人の余裕を感じたかも・・・」私は直樹さんのことを思い出しながらそう答えた。

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3. Naoki|読む人の運命を加速させる恋愛小説

3. Naoki|読む人の運命を加速させる恋愛小説

*Part分けしていない「3. Naoki」全文です
♡スキをつけると小説の登場人物からメッセージが届きます

最初のお話👇

前回のお話👇

飲み会からの帰り道。ボクは友利花さんとの会話一つ一つを、今ぼんやりと思い出している。

飲み会は会社の後輩が企画をしてくれたものだった。
「先輩、なんか最近女っ気ないので企画しますよ」そう言って。

確かにボクは、もうかれこれ2年近く彼女がいなかった。

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「胸が張り裂けそう」

僕がそう言うと、君は胸に手を当てた。

僕の痛みは君の痛みで、君の痛みは僕の痛み。

どうしてこんなに、苦しいんだろう。

君の痛みがわかるから、僕は君を傷つけられない。

僕は自分が傷つくのが怖いから、君のことを傷つけられない。

共感が僕たちを襲う。

3. Naoki Part 3|読む人の運命を加速させる恋愛小説

3. Naoki Part 3|読む人の運命を加速させる恋愛小説

最初のお話👇

前回のお話👇

私以上に私のことを真剣に考えてくれる大切な友だち———

それは、どういう意味なんだろう。

とにかく沙織さんは、友利花さんのことを大切に思っているに違いない。とても真剣に、友利花さんの幸せを考えている。

ボクは斜め向かいの席で後輩たちと話す沙織さんを改めて視界の中に捉える。

この人はどこからどう見ても「看護師をしている女性は気が強い」に当てはまる。友利花さ

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3. Naoki Part 2|読む人の運命を加速させる恋愛小説

3. Naoki Part 2|読む人の運命を加速させる恋愛小説

最初のお話👇

前回のお話👇

「初めまして。直樹といいます」
「初めまして。友利花です」

2人の会話は少し控えめに始まった。そしてお互いの温度感をとてもゆっくりと確かめるように、少しずつ周辺に及んでいった。

趣味について、好きな食べ物について、お互いの仕事について。

こんな時、ボクはどこまで踏み込んだ質問をしていいのかわからなくなってしまう。

「友利花さん、料理するのが好きなんだ」

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顔を預ける君の熱。

吐息が背中に触れるたび、僕は君を連れ去りたくなる。

君の腕が、僕に絡まる。

この手が、腕が、体温が、いっそ僕の一部だったら。

君が僕で、僕が君で。

そんな風に溶け合ってしまえば、もう何も、怖くないのに。

冷たい風が、僕らの隙間を通り抜けた。

「愛してる」

この言葉は、使わない。

重たく響くこの音色が、私を縛ってしまうから。

「愛してる」って言わないで。

そうじゃなくて、「愛」が陳腐に感じるほど、傷つけ合うの。

泣いて、笑って、泣いて、泣いて。

それでいいの。

「愛」が壊れるほど、愛し合うの。

「好きと言って」

君がそうせがむたび、僕はうつむき気味に「好き」と言った。

君を見る。ほんの少し、不服そう。

でもその奥には、隠しきれない恋がある。

僕の声。「好き」の言葉。空気に溶け込むその全てを味わうような君の照れ笑い。

僕は「好き」という度、君を好きになる。