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南アフリカ駐在ドタバタ奮闘記

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現地子会社との橋渡し役となるべく、急きょ日系企業から南アフリカ共和国への赴任を命じられた私。初めての海外転勤で、前任者もいないドタバタ赴任。2年半にわたった現地生活や、その中で起… もっと読む
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海外赴任ドタバタ劇-第1話「いや、ここは南アフリカなので」

海外赴任ドタバタ劇-第1話「いや、ここは南アフリカなので」

「いや、ここは南アフリカですので」

私が南アフリカの子会社に2年半赴任する前、まだ本社で勤務していた時のこと。当時現地人がテレビ会議でよく使っていたのがこのフレーズだ。これは、現地人が「日本のように物事が進まない南アフリカでは、事業の維持や展開が困難だ」といった旨を説明する時の常套句だった。

この言葉を耳にする度に、本社サイドの雰囲気はシラケ返ってしまう。何より、人数合わせ要員として会議の末席

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恐怖と引き換えに海外生活最後の思い出作りを果たした話

恐怖と引き換えに海外生活最後の思い出作りを果たした話

私がまだ南アフリカに赴任していたころ、妻との散歩中によく観光用のヘリコプターを目にした。

当時住んでいたケープタウンは、大自然と都市が融合した美しい街だった。そして、晴れ渡った青空を漂う機体から一望するその街並みは、筆舌に尽くしがたいものだということが容易に想像できた。

「いつか乗ってみたいね」と妻が言う。

しかし、私は彼女にせがまれるたびに、その提案を拒否し続けた。なぜなら、私は大の高所恐

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病院こそが海外の現地事情を学べる貴重な場である

病院こそが海外の現地事情を学べる貴重な場である

今この記事をお読みの皆様は、海外で事故や病気を経験したことがあるだろうか?

私の2年半にわたった南アフリカ共和国生活の中でも、特に貴重な体験だったのが現地の病院にかかったことだった。

前回の記事でご紹介した通り、以前私が自転車から転倒し負傷した時、助けてもらった現地人から「救急車を待っても来ないから、自分で病院に行ったほうがいいよ」と言われたのは衝撃的だった。
(事故の様子については、過去の投

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海外生活で経験した「救急車は待っても来ない」という話

海外生活で経験した「救急車は待っても来ない」という話

「この国の人々はやたら声をかけてくる。なぜだろう?」

南アフリカ共和国に海外赴任してしばらくすると、こんな疑問を持つようになった。私の日課はランニング。東京にいたころは、ランナーとすれ違っても、挨拶を交わすなんてことはなかった。

しかし、南アフリカでは向こうが一人で走っている場合、半分以上の確率で挨拶をしてくれる。ある時は、散歩中のお年寄り女性から、ジェスチャーで”もっと脇を閉めて腕を振りなさ

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南アフリカ赴任3年目にして現地社会の洗礼を浴びてしまった話(後編)

南アフリカ赴任3年目にして現地社会の洗礼を浴びてしまった話(後編)

日系企業の南アフリカ共和国子会社に赴任した私が、現地生活3年目で車上狙いに遭った話の後編です。

南アフリカ警察のお世話になる

盗まれたiPadが発する信号を頼りに、目の前にあるガジェットショップに突撃し、リュックを取り返すべきか。しかし、一人で店に乗り込んだところで、店員がシラを切るかもしれない。それどころか、危険な目に合う恐れもある。

湧き出る怒りを抑え、まずは警察に向かうことにした。そし

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20代で転職を4回繰り返した私がADHDと診断されてから取締役になった話

20代で転職を4回繰り返した私がADHDと診断されてから取締役になった話

この記事では、20代で転職回数を4回経験するほどの「ダメ人間」だった私が、どうして5社目の転職先で、しかも入社6年目で取締役になるに至ったかをお話しします。

もし「どうして取締役になれたのか?」と聞かれることがあれば、私はこう答えます。

「自分がADHD(注意欠如・多動障害)だと分かったから」と。
(もちろん、運に恵まれたことも欠かせませんが。)

ADHDというとネガティブなイメージを持たれ

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