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エッセイ

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#エッセイ

念仏処方箋

念仏処方箋

ビックバン以前の時間を、考えてしまって。
脳で理解できない、天地が抜けた、あの空虚な感覚。
大人になった今では、幽霊よりも潜在的に怖い。

「水滴が、大海のすべてを知ることはできない」
念仏のように唱えてしまう。
もがき苦しんだ当時に獲得した、処方箋。

「水滴が、大海のすべてを知ることはできない」
念仏のように唱えてしまう。
きっと理解できるのは、水と大海に共通する性質だとか法則、抽象の程度

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いまはそんな感じ

いまはそんな感じ

冬気と夜空が、星々を静謐にしていた。
風呂上がりに、それを眺めたくなった。

……、

……。

地球に居るから、あの星座だと、見えるのだと。
過去から受け継がれた、ミームである。
その認識は、確か、なのである。

他の星に居れば、違った星座に、見えるのだと。
きっと地球からの認識とは、違うのだろう。
ただそれも、確か、なのだと思う。

ただ、似た位置で、似た方向を見ていれば。
同じような星座を、

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やり始めは、周りの有り物で

良い道具がないから、やれない。
というわけではない。

やり始めは、周りの有り物で、やれる。
不完全でも、色々とやれる。
ただし、工夫はしなければいけない。

ギターならば、中古の安いギターでも。
イラストならば、鉛筆と紙でも。
写真ならば、手持ちのスマホでも。

出始めに、頭なんていらない。
だけれど、工夫に疑問を抱いた頃合いにこそ、頭を使う。

ここから、良い道具を使うべきか。
それとも、さら

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感情のクラッチを切り続ける。

感情のクラッチを切り続ける。

起きている間は、感情のクラッチを切り続ける。
負の回転は、現在にとって、不要なしがらみである。

過去の失敗、嫌な思い出は、もう夢でのみ、遭うことにした。
無意識のそれはきっと、わたしに遺った、詫びの心なのだろう。

わたしは、新鮮な空気を、浴びつつ息をする。
今日見た、夢のあらすじは、もう忘れてしまった。

輝いてはおらず、透明なもの

追えば、追い続けなければならない。
……見えているのは、逃げ水。

立ち止まり、息を深くする。
……ただの空気を、感じてみる。

それは、輝いてはおらず、透明なものである。
それは、目をつむれば、感じることができる。

生まれたときから、周りにたくさん在る。
ただ、それに気付いて、受容できているかどうか。

得意なサイクルを高速に行う。

得意なサイクルを高速に行う。

「やれること」を、たくさんやります。
「やれること」の、経験値が上がります。
「やれること」の、スピードを上げて、さらにたくさんやります。
「やれること」が、さらに増えます。

「やれること」が、しだいに自身と、一体化し始めます。
「やれること」が「やりたいこと」になります。
「やるべきこと」も、うっすら見えてはきますが。
「やりたいこと」を、毎日毎日繰り返す。

得意なサイクルを高速に行う。

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不可視のビリヤード

不可視のビリヤード

何事にも始まりはやってくる。
順番待ちである。
何事にも終わりはやってくる。
順番待ちである。

すべての事象は、裏側で確定している。
既にボールはキューに、撞かれている。

不可視のビリヤードに、我々は居る。
それは宿命である。

それでも、抗ってみる。
運命は、宿命の内にあるのだから。
手が届く範囲であれば、きっと。
良い、宿命を得られる。

心地がよいよい。

心地がよいよい。

暑くもなく、寒くもなく。
扇風機の弱風が、ちょうど心地よい。
鈴虫の音が遠くから、なびく。
常温のお茶がとても、美味しい。

この素晴らしさを、なんと呼ぼうか……。
とか思ったけれど、なんとも……。
ぼーっと、していても。
きもちがよいよい。

……色々あったけれど。
……ま、よいよい。

木挽唄に交錯されて。

木挽唄に交錯されて。

交錯する音楽会を、観に行きました。

一番印象が残り、自己解釈ができた「管弦楽のための木挽唄」のみの考察、感想です。

アナログであるラジカセより「(管弦楽のための)木挽唄」 の歌詞が、流れる演出から始まる。

「管弦楽のための木挽唄」の場面毎の解釈を、デジタル演出によりイメージの共有&強化がされることで、アナログ(木挽唄)が元々持っていた情景に対して、わたしは理解を深めていくことができる。
ここ

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アートによる《創痕}と、世界

アートによる《創痕}と、世界

アートとは、人類に宿る、変貌する概念体。
時折、人類が何かを悟るために{創痕〉を、作品というカタチで残す。
これは、アートが持つ特性であり、存在意義でもある。

世界との境界膜がアートによって、破られた途端。
その“創痕〕は、世界を覗く垣間となる。
虹か闇か、それともか。
世界の色は、未知である。

そっと覗き込んで、何かを悟るも良し。
ふかく潜り込んで、あるがままを生で、感じるのも良し。
アート

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夜の細やかな、ありがとう。

夜の細やかな、ありがとう。

星はゆっくりと、動いているらしい。
今夜はゆっくりと、動いて見えた。
夜雲がゆっくりと、そばで動いていたから。
星はゆっくりと、相対的に動いて見えただけ。

ただ、それだけ。

けど、すごく、満足しています。
飲みかけの、この缶コーヒーを。
なんだか、夜空に差し上げたい気分です。

細やかではありますが、ありがとう。

夏のじりじりと共に、生きている。

夏のじりじりと共に、生きている。

たくさんの蝉が、木に止まって、鳴いていた。
そう、蝉は木に止まって鳴く。
今はあまり、意識しなくなった。
鳴くのはオスだけ。メスは鳴かない。

地面のブロックをどかせば、ダンゴムシとワラジムシがいる。
休憩所のツタを揺らせば、カナブンがたくさん落ちてくる。
トノサマよりも大きい、ショウリョウバッタを必死に追いかけた。
虫のにおい、というものがある。

鉄棒がもう、とにかく熱い。滑り台なんかは、まさ

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ぼんやりと、五感だけは覚えている。

ぼんやりと、五感だけは覚えている。

まわる寿司屋に行くと、時たまに。
子供の頃に行った、あの魚市場を追懐する。

〆サバを食べる。
ふと浮かぶのが、焼きサバの美味しいお店。
大根おろしに醤油、レモン汁をふりかけ、
ざらっとした感触と、塩すっぱさが舌の奥を通る。
小骨を取るのには、苦労した。

甘エビを食べる。
ふと浮かぶのが、エビのUFOキャッチャー。
せがんで1回だけ、狙いを定めてチャレンジ。
触れたら触れたで、奴らはワイワイすぐ

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