今あるものを最大限に活かす その2.1 未来のためにできること 当たり前過ぎて意識しなくなっていること

 常に最先端に身を置くというのが私の信条です。

 だからこそ今あるものを最大限に活かすということを常に意識しています。新しいものに貪欲であるからこそ、新しいものを喰い散らかさないという感じでしょうか。
 それは父母を見てきたからか…

 私の自宅の今あるものを最大限に活かすという意味での昭和モダンの住宅のアップデートの歴史をご紹介したいと思います。

 建設会社の技術系役員だった祖父の手により、製図はT定規と三角定規、構造計算は計算尺を駆使して設計され、祖父立会のもと建設された昭和モダンの家が対象です。

その辺りはこちらをご覧になって下さい。

 今回は上述の建物自体のアップデートについてお話申し上げます。

 まず手始めは総2階化。私が中学校に入学するタイミングで弟と共有だった子供部屋を、2階に個室を建て増しすることで増やしてくれるという目論見。また祖父の出番。T定規と三角定規、構造計算は計算尺を駆使しての設計。娘のつまり私の母の細かな注文を娘可愛さに丁寧に拾っていく作業は子供ながらに何かほのぼのする感じでした。

「最初から言っとってくれりゃ〜もっとやりようもあったんじゃが。本は重いけんのう。」

と言いつつの設計でした、

 結局既存の和室の脇に長い廊下を設けて、壁面は作り付けの本棚、北側に3畳程度の納戸、今風にはウオークインクローゼットかなぁ、突き当りに10畳の洋室。当然作り付けの洋服箪笥と収納は母のリクエストの定番。ついでにベランダを拡張して南側に広い既存のベランダと屋根に沿った細長いベランダが建て増しされました。建て増しの建物強度確保のために、屋根部分の構造材を増やした結果、奥の子供部屋は階段1段分床が高くなりました。そもそも屋根という設計のところに部屋を作るのですから構造計算はきつかったかと察します。
 機能的には相当優れたものになったのですが、外観は東側にゆとりのある以前の方が美しかった。建ぺい率50 容積率100を使って一杯一杯に建てましたという感じ。ある意味で私の為にこうなったということなのです。
 これに乗じて作られたウオークインクローゼットは母の洋服や裁縫に使うマネキン(トルソー)、本棚は本好きの父の本の収納に供され、私は個室を手に入れたのでした。

 次の改造は駐車場。フルサイズの5ナンバーのクラウン、セドリック・グロリアが入れる駐車場でした。時の流れで自家用車も大型化し3ナンバーにはちと窮屈でした。ましてや私が米国駐在で使っていたリンカーンタウンカーをそのまま持って来ていましたが、流石に10回程度切り返して道路に平行な駐車場に入れるというのはキツイ。
 ということでブロック塀を大胆に切り取って間口を広げてさっくり長さ5.5m巾2mのそれでもコンパクトになったリンカーンタウンカーを入れられる様になりました。

 リンカーンが入っていると窮屈そうなものの総二階の建物の違和感が何故か薄れて小ぢんまりとした感じが払拭されました。

 次の改造は玄関周りの整備。隣接するお隣さんの引っ越しに伴い購入した土地と建物は既に貸家として活用されていました。それに伴ってお隣との境界線に有った塀を撤去して玄関周りのの自由度が増しました。特に敷地を区切る制約からの開放は玄関周りをスッキリしたデザインにし、雑草等の管理が手間であった部分はコンクリート、石、透水性確保のための砂利のコンビネーションデザインで仕上げて箱庭的な感じに。玄関門扉も再塗装し、大谷石は次亜塩素酸水でアルカリ化し、渋い苔や着色も一旦リセットして風化進行にケリを着け真っ白に一新。

 昭和40年から始ったあるものを最大限に活かすというプロジェクト、今で言いうリフォームの嵐が続きます。(笑)

つづく
 






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