マガジンのカバー画像

短文朗読用の台本

69
2分以内で読める台本
運営しているクリエイター

記事一覧

【写真詩】日だまりの誓い

【写真詩】日だまりの誓い

☆所要時間 1分
☆人数 :1人用

知らなかったよ
足元に
こんな可愛い花が咲いていたなんて

知らなかったよ
なんの疑いもなく
信じてくれる人が現れるなんて

「みつけたよ」と
道端の花まで私の手を引いた
ちいさなあなたを思い出す

ちいさな手は
なんでも掴む

私が引いていたのなんて
ほんの一瞬だったかのよう

友(とも)を得て
知(ち)を得て

いつの日か
浮かんだ夢を
掴むのだろう

もっとみる
【詩】涙は波のように

【詩】涙は波のように

☆所要時間 1分
☆人数 :1人用

いつも通り
おはようと言うと

返ってくるはずのない
あなたの声が
脳内に響いた

いないはずなのに
まだ
ここにいると感じてしまう

優しい笑い声と過ごす
臆病なわたしの
都合のいい世界

あなたが
もう
いないことを
受け止められなくなる瞬間は

届かないだろうと
油断していた
浜辺の波のように
度々押し寄せ
私を泣き濡らす

そんな瞬間を
幾度も乗り越え

もっとみる
【詩】ふれた てのひら【短文朗読】

【詩】ふれた てのひら【短文朗読】

☆所要時間:1分
☆人数 :1人用
⚠この台本は、改変・アドリブ不可でお願いします⚠

囲われた
白い部屋の中では

意地も
恥じらいも
無意味なことだと
誰が言うでもなく

わたしは
あなたの背にふれる
あなたは
わたしの手にふれる

ほんの わずかであっても
あなたのために なるのなら
なんでもしたい

できなかったことは
後で散々泣きましょう

追追
悔やんで
泣きましょう

今できるのは

もっとみる
【歌詞】【和風】小さき花よと微笑んで【朗読版】

【歌詞】【和風】小さき花よと微笑んで【朗読版】

残暑の熱も冷めやらず
夜長月には間に合わず

夜露煌めく風
混ざる私
あなたは気付いてくれました

さやかに吹く香(か)は
秋の調べ
このひと時こそ
美しい

小さき花よと微笑んで
わずかでも
次の雨雫まで

届け届けと橙(だいだい)が
陽の差す方へと向かいます

薄曇りの神無月
流るる雲を
見上げる私
あなたは見つけてくれました

さやかに吹く香(か)は
秋の調べ
このひと時こそ
命の光

小さ

もっとみる
【短文朗読】ズキン チクリ

【短文朗読】ズキン チクリ

☆所要時間 1分
☆人数 :1人用

胸が イタイ
確かに イタイ

大好きなキミの
楽しそうな声

大好きなキミの
笑い声

その声が聴けるだけで
嬉しいはずなのに

ズキンと痛む
胸の奥

こんな気持ちになりたくないよ

こんなワタシでいたくないよ

ふいに頭をよぎる
嬉しかった瞬間が

マイナスなワタシを
チクリと刺した

END

配信アプリに投稿していたお題の移行です。
サムネに素敵な写

もっとみる
【短文朗読】雪の恋

【短文朗読】雪の恋

☆所要時間:1分
☆人数 :1人用

ふわり
あなたの前で 舞えたなら
風の行先 伝えましょう

あなたの視線の先にいられるならば
いついつまでも
舞いましょう

きらり
あなたの掌(てのひら)触れたなら
その温もりに
泣き濡れて
私は溶けてしまうでしょう

ゆめゆめどうぞ
お忘れなきよう

凍(い)てつく空気が
染み込む夜(よる)を

白い息まで
凍(こお)る夜(よ)を

ほろり雫(しずく)にな

もっとみる
【短文朗読】見上げた夜空に

【短文朗読】見上げた夜空に

☆所要時間:1分
☆人数 :1人用

駆け回って
倒れ込むようにして眠る夜

あの子が元気でいてくれますようにと
星に願う 一時(いっとき)もなく
画面越しの 虹に祈る日々

私が倒れちゃしょうがない

気を張り
立ち上がり
背負うけど

必要なのは
強い後押しよりも
笑える瞬間だったんだ

久しぶりに見上げた夜空には
こんなにも輝いていたのかと
息を飲むほどの
たくさんの星たち

まだ 私がんば

もっとみる
【詩】鎌倉から祈る

【詩】鎌倉から祈る

☆所要時間:1分
☆人数 :1人用

ざわめく心をなだめてくれた
路面電車

何もできない私に祈らせてくれた
神社

代わりに泣いてくれた


この先も
まだ 見ていて欲しいのです

それが
糸を手繰るような日々であったとしても

悩む私を
傍において欲しいのです

Xのつぶやき詩より

【短文朗読】Jazzy night

【短文朗読】Jazzy night

☆所要時間:1分
☆人数 :1人用

窓ガラス越しに
ぼんやりと滲(にじ)む
ネオンの明かり

時折
重い扉が開く瞬間に入り込む
ざわめきを含んだ 夜の風

聴こえるのは
いつもより少しアップテンポな
ジャズだけでいい

喧騒(けんそう)も
忙しなさも
後悔も

この暗い夜空に吸い込まれ
消えてしまえ

グラスに見え隠れする
疲れた顔に

気付かぬ振りをして
現実を飲み干した

一夜(ひとよ)く

もっとみる
【短文朗読】大きくなったね おひざちゃん

【短文朗読】大きくなったね おひざちゃん

☆所要時間:1分
☆人数 :1人用

ふわふわ
むにむに

最初は
上を向いていて

のびのび
きゅっきゅっ

伸ばして 縮めて
遊んだね

ぱたぱた
ばたばた

力がついて
下も向けるようになりました

ずずず
ずりずり

ついに 自分の力で
動き始めたアナタ

あぶない!
って言わないように
ワタシは
どきどき抑えて 見守って

床のものが
みんな上にいきました

ちょっとだけ
ぐらぐら

もっとみる
【短文朗読】無口な父

【短文朗読】無口な父

☆所要時間:1分
☆人数 :1人用

口数の少ない父からは、
特に用件がなければ
声を掛けられることはなかった。

その分、父が発するひとことは重く、
他の人の言葉よりも、
価値があるように感じた。

ずるいな、と私は思う。

あまり面と向かって話す機会がない
私のことを
父は、私のいない場所で誉めていることがあるらしい。

そんな話を人伝(ひとづて)に聞いた時
私は、こそばゆさに人知れず舞い上が

もっとみる
【短文朗読】真っ黒な夜の片隅で

【短文朗読】真っ黒な夜の片隅で

☆所要時間:1分
☆人数 :1人用

真っ暗な夜
星が浮かぶように

心の奥に
光が見える

声を上げて
泣いてくれた涙

選んでくれた
プレゼントより眩しかった
はにかむ笑顔

もういいって
背を向けたワタシを
引き止めてくれた掌

風の中で
交わした言葉

真っ黒な夜は
思い出の星星で
煌めいて

眩しい夜空に
包まれたから

「ワタシも誰かの笑顔になれますように」と

夜の片隅で願ったんだ

もっとみる
【短文朗読】海沿いのレール

【短文朗読】海沿いのレール

☆所要時間:1分
☆人数 :1人用

無意識に
身体を窓側へ乗り出していた

ハッとしたのは私だけでは無い

車内の空気が動き
乗客の機微が伝わってくる

海が
見えた

民家に手が届くほどの
住宅街をすり抜けてきた今までと
それはまるで別世界

視界が開けた瞬間

海を
空を
風を

季節の流れを
感じた

波打ち際は なぜ
思い出を呼び起こすのだろう

深夜に出掛けることを唯一許された
大晦日

もっとみる
【短文朗読】待っていた、冬。

【短文朗読】待っていた、冬。

☆所要時間:1分
☆人数 :1人用

待つのは苦手
ワタシはせっかちだから

結論は自分で出したいし
考える時間ができると
不安になってしまうから

だけど
気が付けば待っていた

アノヒトからの 連絡
アノヒトの 声

待つのは苦手だけど
アノヒトに会えた時の喜びを
知ってしまったから

待つのも
そんなに悪くないかもって
近頃思う

本当は
今よりもう少し近付きたくて

本当の本当は
誰より特

もっとみる