記事一覧

「死ぬのをやめた日」

2020年6月4日。 トモにとっては、今日はとっても気持ちの忙しい日だったようです。現場からお届けします。 -------- おはようございます。 今日は私の仕事は休み、トモ…

mihaul
4年前

散歩を嫌がる犬の気持ち

✳︎ 実家の犬は、散歩の時間が近づくとマイマイ回ってアピールをする。散歩を心待ちにしているようだ。 犬が散歩好きなのは、「当たり前なこと」でも「そうあるべきこと…

mihaul
4年前
2

光になれるとすれば

✳︎ 数年前、トモのライフストーリーを記事にしてもらいました。見出しはこう。 次は僕が「希望の光」になる番 キラキラした一文。同時に、この一文を読むと、口元が引…

mihaul
4年前

マックス

✳︎ 「5パーセントの奇跡」(原作は、Mein Blind Date mit dem Leben)という映画に、こんなシーンがあります。 ---下記は作品の内容を含みます。--- 主人公は、網膜剥離…

mihaul
4年前

「わかる」の基本は「区別」

✳︎ 「ん?何か変な感じがするな。」 こんな、ささやかな「違い」を感じとった時、 私たちは自分の体に注意を向け、見回し、時には鏡を取り出して、そしてハッと…。 …

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4年前
3

関係性の中で振る舞いは変わる

✳︎ 『ウサギとカメ』の童話は、きっと多くの人が知っていることでしょう。 じーちゃんばーちゃんの家には、たくさん絵本があって、小さい時は繰り返して読んでいました…

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4年前
3

偽物が考えたこと

✳︎ 芸術の秋、スポーツの秋、ですね。 運動会や文化祭の盛んな時期となりました。職場でも、諸々準備に取り組んでいるところです。 私たちは時折、会を進行するための…

mihaul
4年前
1

共通の先生

✳︎ ロービジョン者となったトモは、節目のたびに、眼科に通います。 求めているのは「治療」ではなく、自分を信じなおして、また次の目標に向かうこと。 トモとパート…

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4年前
11

生活を整理して「違い」を知る

✳︎ トモがロービジョン者ということは、外見で分かりにくいとは思いますが 生活の中で、「見えにくい人」なんだということを思い出す仕草・振る舞いはあります。 トモ…

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4年前
2

サポートの量と質を高める

✳︎ 「白杖もたないの?」 「もたない。」 4年続いたこの会話、先日変化しました。 さて、発症率の極めて稀な「レーベル病」ですが、出会った発症者の数も、気づけば…

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4年前
10

見えるようになったらなあ

✳︎ 「見えるようになったらなあ」と思わないわけではない。 さて、私の実家は田舎なこともあって、ちょこちょこお家にお客さんが来てました。 かべちょろやら、コウモ…

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4年前
2

「見惚れる」経験

✳︎ 4年前の中秋の名月は、今でも覚えてる。 勤務先からの帰る途中に、いつもよりずっと地平線に近くて、馬鹿でかい満月が見えた。 茹でて濃くなったピカピカのとうも…

mihaul
4年前
7

一律から多様へ

「茅乃舎だし」シリーズご存知でしょうか。福岡育ちということもあり、すごく好きで。焼きあご、野菜、昆布、極み、鳥、、、いいですよね(笑) 福岡へ帰る際は、東京駅の…

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4年前
2

情報や刺激のない世界?

✳︎ 「情報の約8割以上は、視覚から得られている」と、よくいわれますよね。 数年前、急激な視力低下が生じた時、私のよく知るロービジョン者は、今まで得られていたはず…

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4年前
3

服探しに人探し

✳︎ 視覚障害のある彼(トモ)との買い物は、すごくシンプル。 店舗ガイド(があれば)をザッと読み上げて、「ココ」と言ったお店に案内する。 着いたらフラフラ〜と一…

mihaul
4年前
6

のっぺらぼうなんだそうで

✳︎ 視覚障害のある彼(トモ)にお世話になってから、早いもので4年が経ちます。 周囲にはよく「( 私の顔は )分かるの?」と聞かれるのですが、のっぺらぼうなんだそう…

mihaul
4年前
8
「死ぬのをやめた日」

「死ぬのをやめた日」

2020年6月4日。

トモにとっては、今日はとっても気持ちの忙しい日だったようです。現場からお届けします。

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おはようございます。

今日は私の仕事は休み、トモは在宅勤務。思えばトモの在宅勤務も、もう4ヶ月目に入りました。見えにくいトモには、まだまだ上手くいかないことが多いです。

いそいそ着替えて出てくると、サッカー日本代表ユニフォーム。もう私には見慣れた光景になりましたが

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散歩を嫌がる犬の気持ち

散歩を嫌がる犬の気持ち

✳︎
実家の犬は、散歩の時間が近づくとマイマイ回ってアピールをする。散歩を心待ちにしているようだ。

犬が散歩好きなのは、「当たり前なこと」でも「そうあるべきこと」でもないかもしれないけれど

「犬はきっと散歩が好き」だと、経験的に思いつきやすいだけに

散歩に行きたがらないワンちゃんを見ると、「ふふっ」とふきだしてしまうことがある。

前足でブレーキをかけて、リードがビーーン!なってる時の、ワン

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光になれるとすれば

光になれるとすれば

✳︎
数年前、トモのライフストーリーを記事にしてもらいました。見出しはこう。

次は僕が「希望の光」になる番

キラキラした一文。同時に、この一文を読むと、口元が引き締まります。

本気で、誰か一人の光になりたいなら、相手の「今」をみとって、見せつけでなく、一つずつ、背中を押すことが大事だと

色んな人たちに教えてもらいました。

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病気の話をします。

トモが発症したのは、

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マックス

マックス

✳︎
「5パーセントの奇跡」(原作は、Mein Blind Date mit dem Leben)という映画に、こんなシーンがあります。

---下記は作品の内容を含みます。---
主人公は、網膜剥離により視力が著しく低下したサリーという男性。意中の女性・ラウラとの食事の日を控えています。

自身に「見えづらさ」があることは、ラウラに伝えない予定。

そんなサリーに、同僚のマックスはこんな助言をし

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「わかる」の基本は「区別」

「わかる」の基本は「区別」

✳︎
「ん?何か変な感じがするな。」

こんな、ささやかな「違い」を感じとった時、

私たちは自分の体に注意を向け、見回し、時には鏡を取り出して、そしてハッと…。

ほっぺでちゅうちゅう血を吸う蚊がいた!

なんてことが、「わかる」のでしょう。

私たちは、視覚や聴覚、体性感覚(触覚などのこと)といった知覚に支えられて、

私たちは「(いつもとの)違いが分かる」ことができています。

つまり知覚の

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関係性の中で振る舞いは変わる

関係性の中で振る舞いは変わる

✳︎
『ウサギとカメ』の童話は、きっと多くの人が知っていることでしょう。

じーちゃんばーちゃんの家には、たくさん絵本があって、小さい時は繰り返して読んでいました。

貫くカメと、過信するウサギ?

『ウサギとカメ』を読んでいた子どもの頃、双方をどんな人物と捉えていたんでしょう。

「子どもは小さな大人ではない」ですから、今の私に知る由もないです。きっとその時なりの捉え方があったでしょう。

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偽物が考えたこと

偽物が考えたこと

✳︎
芸術の秋、スポーツの秋、ですね。

運動会や文化祭の盛んな時期となりました。職場でも、諸々準備に取り組んでいるところです。

私たちは時折、会を進行するための「ナレーション」なるものを、行うことがあります。

決まった台詞を録音して流していく訳ですが、これがどうも、鳥肌を立たせています。

自分の声を録音したはずなのですが、流れてくるのは、思いもしなかった甘ったるくて甲高い声で。

自分でよ

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共通の先生

共通の先生

✳︎
ロービジョン者となったトモは、節目のたびに、眼科に通います。

求めているのは「治療」ではなく、自分を信じなおして、また次の目標に向かうこと。

トモとパートナーとして歩み出して

一番驚いて、一番嬉しかった出来事は、

「トモの主治医から講義を受けていた」と知ったとき。

東京生まれのトモが藁をもすがり、よく分かんなくなった見え方のまま、福岡まで出てきて出会った眼科医。

「俺こんな遠くま

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生活を整理して「違い」を知る

生活を整理して「違い」を知る

✳︎
トモがロービジョン者ということは、外見で分かりにくいとは思いますが

生活の中で、「見えにくい人」なんだということを思い出す仕草・振る舞いはあります。

トモは出会ったロービジョン者の中でも、見えてないんだなと感じることが多く、

トモの仕草・振る舞いが、ロービジョン者の大半に当てはまることはないと思いますが、

「違い」を知るには、生活について整理するのも良いのかなと思いました。

さて、

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サポートの量と質を高める

サポートの量と質を高める

✳︎
「白杖もたないの?」

「もたない。」

4年続いたこの会話、先日変化しました。

さて、発症率の極めて稀な「レーベル病」ですが、出会った発症者の数も、気づけば二桁になりました。

共通しているのは、10代〜20代で発症しているということ(私の経験の話で、この年代に限りません)。

この時期には、その人に起きた「悲劇」など何も待ってくれることなく、人生における節目が迫ってきます。

トモは、

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見えるようになったらなあ

見えるようになったらなあ

✳︎
「見えるようになったらなあ」と思わないわけではない。

さて、私の実家は田舎なこともあって、ちょこちょこお家にお客さんが来てました。

かべちょろやら、コウモリやら(めっちゃヤダ)、すずめやら。。。

そういうときは決まって父が外へ連れ出してくれてました。
(お父さんありがとう)

実家を離れて一年目。

夜蒸し暑くて、窓を開けてしまったのがまずかった。

小さい厄介者が割と大勢いら

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「見惚れる」経験

「見惚れる」経験

✳︎
4年前の中秋の名月は、今でも覚えてる。

勤務先からの帰る途中に、いつもよりずっと地平線に近くて、馬鹿でかい満月が見えた。

茹でて濃くなったピカピカのとうもろこしみたいな色で(伝わるだろうか、、、)

思わず立ち止まって写真を撮る人が多かった。

「見惚れる」って、素敵な経験。

さて、ちょうどその頃「見えにくい人の見え方」を想像することが、自分の中でのブームになっていた。
(ロービジョン

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一律から多様へ

一律から多様へ

「茅乃舎だし」シリーズご存知でしょうか。福岡育ちということもあり、すごく好きで。焼きあご、野菜、昆布、極み、鳥、、、いいですよね(笑)

福岡へ帰る際は、東京駅の茅乃舎に寄ったりもします。色んな種類のだし(その他も)が、ずらーっと並んでいて、人におすすめはしたいけど、「どんな味?」と聞かれると説明しづらい。

「百聞は一見しかず」といいますが、そういうとき、試飲・試食があると助かりますよね。少量で

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情報や刺激のない世界?

情報や刺激のない世界?

✳︎
「情報の約8割以上は、視覚から得られている」と、よくいわれますよね。

数年前、急激な視力低下が生じた時、私のよく知るロービジョン者は、今まで得られていたはずの情報とか刺激を、掻っ攫われたような気持ちにいたんだろうなあと。

ただ、視覚のほとんどを失った彼が今でも、「情報とか刺激のほとんどない世界に生きている」と表現してしまうのは、妥当?

少なくとも彼の生活を内からみるようになって、彼が

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服探しに人探し

服探しに人探し

✳︎
視覚障害のある彼(トモ)との買い物は、すごくシンプル。

店舗ガイド(があれば)をザッと読み上げて、「ココ」と言ったお店に案内する。

着いたらフラフラ〜と一人店内を散策して、早々と店員さんと思しき人(ここの嗅覚がよい)を見つけ、「すみません、シャツってどの辺ありますか」的な会話で行き着く。

探さないし、待たない。

トモとは、ウィンドウショッピングはほとんどしたことがありません。

目と

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のっぺらぼうなんだそうで

のっぺらぼうなんだそうで

✳︎
視覚障害のある彼(トモ)にお世話になってから、早いもので4年が経ちます。

周囲にはよく「( 私の顔は )分かるの?」と聞かれるのですが、のっぺらぼうなんだそうで。

お付き合いが始まった後、LINEで写真を送って、「どうも、こんな顔です」と挨拶しました( 手元で拡大すると分かるので )。

とはいえ、拡大されるとなると「どんな反応するんやろ」と、緊張もしますよね。。。 (笑)

さて先

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