mirumin(みるみん)

デザインエージェンシーで働きつつ、主夫業しつつ、執筆活動中。エッセイ、詩、小説など。 …

mirumin(みるみん)

デザインエージェンシーで働きつつ、主夫業しつつ、執筆活動中。エッセイ、詩、小説など。 COMME des GARÇONS、ファッションドール(ブライス)とクラフトビールが好きです。 プロダクトデザイナーのカミさんとミニチュアダックスフントのラフとの3人家族です。

マガジン

  • So-saku-Box(創作箱)

    定期的に詩歌やテーマを決めないエッセイを発表しています。これまでinstagramやfacebook、twitterなどで発表してきたものも再掲載。

  • なら、エプロンをつければいい。

    主夫である「僕」の視点から、何気ない毎日の暮らしの喜びや心象風景、感じたことなどを綴っていきます。

  • おかしぞうし(お菓子草子)

    忘れられないお菓子にまつわる思い出をまとめたエッセイです。

記事一覧

CBM

主役でもない僕が 生き残り 戦果の中に 立ち続けた兄が今日 死んだ 歓喜の地平線上に ふいの 体温だけ残して 逝く前に見た景色と 今あちらから見える景色は きっとそん…

6月のうた

紫陽花は おかれた処で 根を張りて 鮮やかに咲く 君らのように ヤマモモの 咲く庭見える 家に住み 気づけば八つも 命削りて お前ほど 金も力も ないけれど それでも猫は …

ソラ

ぼくは ソラににいける? ソラにいけない? ソラにいける? ソラにいけない? いきてるうちに ソラにいける? いましんだら ソラにいける? ソラはいつでもアヲくて そ…

4月のうた

converseを探してた 池袋東口から 線路沿いの細い道にでる ソープランドや ストリップ小屋や 覗き部屋やらを 横目にして 20歳の僕は converseを探してた 古びたボーリン…

3月のうた

カウンター越し働くひとの立ち姿 グラス洗う手を見つめて詠う 僕は身体を使って 働くひとが好きだ 頭で考える仕事はだめだ あれは実際働いてはいない 働いているという錯…

2月のうた

ほんとうにいつか殺してしまうよと わたしの中の鬼嗤う Chocolat味ビアグラス越し見える空 オザケンの唄が弾んで溶けて 好きなもの原田知世にピチカート バランス悪いね…

一月のうた

昨日今日明日ビールの杯重ね 今よりけして戻らぬ刻愛し 簡単でいいよと言われパスタ茹で アルデンテなぞしてやるものか あばら見せ立つる枯木や伸びる枝 さくら色をばち…

ありふれた日に、想う

もう、長いこと新聞をとっていないので最近のことは知らないが、今も元日にはたくさんのチラシが折り込まれているのだろうか。 子どもの頃、朝起きて届いた元日の朝刊には…

キガクルイソウ

時給1080円のバイト ちまちまと箱詰めするバイト 始めも 終わりも なく 時間がくると オツカレシター! ひときわ高い声で宣言する 決して戻らない 時の対価が笑う 僕は…

虚色

好きだよ 好きだ 好き 君の首筋が好き 皮膚の下で流れる 青白い川 いくつもの支流 きみの歯茎が好き ほんのりと色づく ほの紅い粘膜 見たことない場所 君の眼球が好き …

paper moon

呑み会が終わって 君に笑顔でさよならするとき 僕はいつも 心のどこかを切り取られたように 思う。 君はさよならをする そして君のうちへ帰る メイクを落として 寝巻きに…

里帰りなんか、しなくてもよい。

里帰り(さとがえり)は、妻が結婚後 初めて実家に帰ることである。当然実家に帰ったのちは、婚家に戻る。 伝統的風習の一形式としては、結婚ののち3日目、また5日目に夫…

So Long Goodbye

ふいに魂が澱んだので 息継ぎするために上を向く 夏の空はないし もう、君もいないしね 不透明度10%くらいの オレンジのフィルターを被せて 梢との境界線の色彩を 今ゆっ…

そして、これからも明日は。NHK特集ドラマ『アイドル』

この時期になると、ブービートラップのように『戦争』に関する報道を目にする。後世に引き継ぐべき大切な話ばかりなのだけれど、タイムラインがすぐ埋まってしまうほどの大…

TOBLERONE

TOBLERONE 名前は変わらないけど もう会わないし 鮮やかな色彩(いろ) いつまでも回り続けてろよ あ、 通り過ぎてく つかみそこねて でも見つめていたいの  ただ …

つくるのうけとるの

つくる つくる、きみ そのゆびをみつめているの びくびくとうごめくるる ゆび ゆびの、うごき  そのゆびをなめたの にゅるゆるとにげていく ふぅ とける とけ しま…

CBM

主役でもない僕が
生き残り

戦果の中に
立ち続けた兄が今日
死んだ

歓喜の地平線上に
ふいの
体温だけ残して

逝く前に見た景色と
今あちらから見える景色は
きっとそんなに変わらないはずだが

僕は
たぶん
これからも

こちら側から

残像を
見上げ続けていくのだ

6月のうた

6月のうた

紫陽花は
おかれた処で
根を張りて
鮮やかに咲く
君らのように

ヤマモモの
咲く庭見える
家に住み
気づけば八つも
命削りて

お前ほど
金も力も
ないけれど
それでも猫は
生き延びてゐる

この花の
名前も知らぬ
わたくしは
何を頼りに
歩いているの

ソラ

ソラ

ぼくは

ソラににいける?
ソラにいけない?
ソラにいける?
ソラにいけない?

いきてるうちに
ソラにいける?
いましんだら
ソラにいける?

ソラはいつでもアヲくて
そして
いつまでもとおくて
その
くらいさきをおもうと
クラクラとするから

ソラににいける?
ソラにいけない?
ソラにいける?
ソラにいけない?

ぼくはいきているあいだ
きつと
ソラにはいけない
だつて
どこまでもアヲくて

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4月のうた

4月のうた

converseを探してた

池袋東口から
線路沿いの細い道にでる
ソープランドや
ストリップ小屋や
覗き部屋やらを
横目にして
20歳の僕は
converseを探してた

古びたボーリング場の
ビルの一階にある
東京靴流通センターに
ずっと漂っている
薬品のような匂いを
嗅ぎながら
20歳の僕は
converseを探してた

手に取った一足は
どうやら僕の知っている
converseだろうと思う

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3月のうた

3月のうた

カウンター越し働くひとの立ち姿
グラス洗う手を見つめて詠う

僕は身体を使って
働くひとが好きだ
頭で考える仕事はだめだ
あれは実際働いてはいない
働いているという錯覚に
気づかずにいるひとたちだ

身体を使って働くことは
人間の根源にある動作だ
やらずにはおれない衝動だ
身体の芯から指の先までも
ピンと張って力を込める
美しい動作だ

頭で考える仕事はだめだ
あれはよくない
身体を使う仕事は

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2月のうた

2月のうた

ほんとうにいつか殺してしまうよと
わたしの中の鬼嗤う

Chocolat味ビアグラス越し見える空
オザケンの唄が弾んで溶けて

好きなもの原田知世にピチカート
バランス悪いね、そう五十過ぎ

父母が夫婦になりし如月に
我も産まれたなんだか嬉し

冬枯れの幹に触れた手暖かく
君抱きしめた日を再び想う

息継ぎを繰り返すたび思いだす
魚は僕で君は海

梅は咲く桜は散るが定めなら
僕の姿はどちらだろうか

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一月のうた

一月のうた

昨日今日明日ビールの杯重ね
今よりけして戻らぬ刻愛し

簡単でいいよと言われパスタ茹で
アルデンテなぞしてやるものか

あばら見せ立つる枯木や伸びる枝
さくら色をばちょいとのせ

いいね馬鹿押す馬鹿ばかりスクロール
僕も馬鹿だと気づかずに居る

泣く声にたまらず顔やれば
うるむ眼見上げる亜子や

知り合いかスマホに問われ
振り下ろす我が手いつ叩きつけるか

蒼き空真一文字に切り裂いて
飛ぶ機械鳥ぐ

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ありふれた日に、想う

ありふれた日に、想う

もう、長いこと新聞をとっていないので最近のことは知らないが、今も元日にはたくさんのチラシが折り込まれているのだろうか。

子どもの頃、朝起きて届いた元日の朝刊にはこぼれ落ちそうなほどのチラシ束が挟み込まれていた。変わり映えのしないテレビに飽きた僕は、母が灯油ストーブの上で炙ってくれたあんころ餅や干し芋を頬張りながら、お目当てのおもちゃが載ったチラシを表から裏へと舐めるように読み、もらったばかりのお

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キガクルイソウ

キガクルイソウ

時給1080円のバイト
ちまちまと箱詰めするバイト
始めも
終わりも
なく

時間がくると
オツカレシター!

ひときわ高い声で宣言する

決して戻らない
時の対価が笑う

僕は深呼吸する

いつまでも
息を止められているように

大きく
深く
いつまでも
息を止められているように

首を絞められながら
必死に笑う
それが僕の全て

キガクルイソウダ

虚色

虚色

好きだよ
好きだ
好き

君の首筋が好き
皮膚の下で流れる
青白い川
いくつもの支流

きみの歯茎が好き
ほんのりと色づく
ほの紅い粘膜
見たことない場所

君の眼球が好き
暖かく濡れ
チョコもとろける
母の眼差し

君の舌が好き
咀嚼するほどに
濁る液体
一條のひかり

我慢ができない
僕を
許して下さい

好き
好きだ
好きだよ

好き

paper moon

paper moon

呑み会が終わって
君に笑顔でさよならするとき
僕はいつも
心のどこかを切り取られたように
思う。

君はさよならをする
そして君のうちへ帰る
メイクを落として
寝巻きに着替えて
トイレに行ってから
午後の授業まで
眠るのだろう。

いつも集まるBARで
夜通し騒いで外に出るとき
僕はいつも
差し込む朝の光に犯されたように
思う。

君はさよならをする
そして知らぬうちへ帰る
そのメイクのままで

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里帰りなんか、しなくてもよい。

里帰りなんか、しなくてもよい。

里帰り(さとがえり)は、妻が結婚後 初めて実家に帰ることである。当然実家に帰ったのちは、婚家に戻る。

伝統的風習の一形式としては、結婚ののち3日目、また5日目に夫が妻を妻の実家まで送り、夫は婚家に帰り、妻は自分の実家に宿泊し、翌日、妻の母が妻を夫のいる婚家に送り届けるいうふうであった。(Wikipedia)

もうお盆も過ぎてずいぶん経つので、今更感もありますがちょっとだけ聞いてもらえたらって思

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So Long Goodbye

So Long Goodbye

ふいに魂が澱んだので
息継ぎするために上を向く
夏の空はないし
もう、君もいないしね

不透明度10%くらいの
オレンジのフィルターを被せて
梢との境界線の色彩を
今ゆっくりと混ぜてるみたいだ

近視はもっとずっと進むし
唄声も止んでるので
デフォーカスのままでまた潜る
次の息継ぎの間までいっそ、死ね

始まり、終わり
さよなら、またねを
繰り返す
また、繰り返す

終わり、始まり
またね、さよな

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そして、これからも明日は。NHK特集ドラマ『アイドル』

そして、これからも明日は。NHK特集ドラマ『アイドル』

この時期になると、ブービートラップのように『戦争』に関する報道を目にする。後世に引き継ぐべき大切な話ばかりなのだけれど、タイムラインがすぐ埋まってしまうほどの大量の『歴史の教訓』の濃度は数に反比例して薄まるばかりだ。

先日、八津弘幸さんが脚本を書いたNHK特集ドラマ『アイドル』を観た。

昭和初期に実在した劇場『新宿ムーランルージュ』で熱狂的な人気を博し、カルピスなどの広告にも起用された伝説のア

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TOBLERONE

TOBLERONE

TOBLERONE
名前は変わらないけど

もう会わないし

鮮やかな色彩(いろ)
いつまでも回り続けてろよ

あ、
通り過ぎてく
つかみそこねて

でも見つめていたいの 

ただ

恨んでいたいの

TOBLERONE
かたちはおんなじだけど

まだ会わないし

高級(たか)そうな蜂蜜の瓶
手の中でもて遊んでろよ

あ、
果てていく
乗っかられて

すぐ消してほしいの

また

笑っていたいの

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つくるのうけとるの

つくるのうけとるの

つくる
つくる、きみ
そのゆびをみつめているの

びくびくとうごめくるる

ゆび
ゆびの、うごき 
そのゆびをなめたの

にゅるゆるとにげていく ふぅ

とける
とけ しまつた
またおあずけなの

ぐるるるるとうめくひとのすがた

ほしい
ほしい
ほしいです
おねがいなんて
きいてくれなくてもいいから

ぬれる
ぬれてる
わたしひとりだけなの

ぷぷっちゅちゅとまねする ん