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ワインジャーナル

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ワイン科学を軸に、マーケティング、ブランディング、テイスティングなど幅広くワインについて語るジャーナル。書き手は国内外の大学、大学院でワインを研究してきた3人。
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#白ワイン

KDP第2弾『ワインと微生物学』

KDP第2弾『ワインと微生物学』

お久しぶりです。

最近更新できていなかった理由です。

本を書いていました。

なるべく仕事がはじまる前に終わらそうと思っていたので、なんとか2月中にリリースできてよかったです。

今回は前回のワインリテラシーとは全く別の系統の話。

醸造における微生物の話です。
アマゾンの方にもるのですが、目次はこんな感じです。

内容はこのnoteに書いてある酵母やブレタノマイセス、酢酸菌の話を中心に、乳酸

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ブドウ栽培での灌漑のタイミングと影響

ブドウ栽培での灌漑のタイミングと影響

今回が灌漑の準最終回です。

最終回は実験結果が出て、友人の論文を主にしたものになると思います。

灌漑のタイミング
灌漑のタイミングによって色々な効用がある。

タイミングは大きく分けて3パターン。

もちろんその3パターンのうちどのタイミングで水分ストレスがかかっているかといったことはその年の気候によっても違うので、タイミングに関しては前述の記事を参照にしていただけたらと思う。

まずその3パ

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フランスワイナリー探訪(Achillee)

フランスワイナリー探訪(Achillee)

今日は昨日に続きストラスブール近郊、アルザス地方のワイナリー
2.Achillee
を紹介します。

このワイナリーはストラスブールから車で40分ほどの少し郊外にあります。
私はAirBnBで申し込めるツアーで行ってきました!
気さくなお兄さんが英語で案内してくれますよ!(私の時は残念ながら他のお客様がフランス人だったのでほぼフランス語でした)

建物はかなりモダンな造りで、壁と壁の間は藁が敷き詰

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フランスワイナリー探訪(Strasbourg Hospices)

フランスワイナリー探訪(Strasbourg Hospices)

かなりのタイムタグがありますが、今日から5日間は過去の旅で触れたお酒についての話です。

以前紹介したドイツの3ワイナリーに続き、今度はかつて訪れたフランスのワイナリーを紹介していきたいと思います。

依然のスイスワインの記事で出てきた、ホスピス・ド・ボーヌの話が出たのでそれも踏まえて初回はホスピス・ストラスブールです。

これから2日はストラスブール近郊、アルザス地方のワイナリー
1.Hospi

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ワインセーバーでワインは守れるのか。

友人がワインセーバーを買おうか悩んでおり私にメッセージが来ました。

「ワインセーバーッテイミアルノカイ?」

その答えを探すべく私は実験を企てた。

実験概要
実験は簡単。
なるべく販売までの酸化状態に差が出ないようなワインを2本買います。
片方はワインセーバーを使いながら飲み、片方は使わずに飲んでいきます。

さてどうなるのでしょうか。

もう少し詳細を加えておくと、
今回用いたワインセーバー

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ワイン関連ワードで紐解く日本のトレンド

ワイン関連ワードで紐解く日本のトレンド

今回はGoogleの関連キーワード取得ツールやKWFinderなどを使って今のワインのトレンドや傾向を紐解いていこうと思います。
今回は用いてませんが、Google Adsなども使えます。

関連キーワード取得ツールの方はGoogleの検索窓にどういった単語を入れているかを調べるもので、
ワインの場合、ワインという単語が含まれる頻出検索ワードの他、ワイン+50音やアルファベットでの検索結果の上位な

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ヴィエイユヴィーニュ(VV)ワインの嘘

ヴィエイユヴィーニュ(VV)ワインの嘘

今回は音声ブログで取り上げた内容の詳細と根拠を取り上げた記事になっています。写真はマンズワインさんの樹齢100年を越えると言われる竜眼です。
この記事はより多くの方に読んでいただきたいので無料公開しています。

科学は時に残酷だ。

以前取り上げた不都合な真実はオーガニックでは一部の土壌汚染を止めることはできないというもの。

それに続いてワイン業界の神話の1つV.V.(ヴィエイユヴィーニュ)。

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ワイン造りにおける酢酸菌対処法

ワイン造りにおける酢酸菌対処法

前回までの長い前振りは酸化についてと酢酸菌についてでした。

これで酢酸菌最終回になります。
ページの最後に数回の記事分をまとめてPDF化したものもあるので、マガジン購入者の方はPDFでダウンロードしておいていただければと思います。

今回は一番気になる酢酸菌の対処法を取り上げます(過去最長記事になりました)。

酢酸菌防除法
まずオーソドックスな酢酸の防除法は以下であり、あとはその組み合わせで行

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依頼募集:ワインコラム~学術調査まで

依頼募集:ワインコラム~学術調査まで

ここまで2件ほどのワイナリーや醸造家からの依頼記事を書いてきました。
トピックは「酢酸菌防除」と「瓶熟成の影響と利用」です。
以降もこういった活動を続けようと思いますので、窓口を広げることにしました。

① 学術調査、情報リスティング概ね1つのトピックに対して1万文字ほどにまとめたレポートになっています。
もちろん情報量は依頼毎に合わせます。

そういった依頼を1トピック単位で仕事として行うことで

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赤ワインと白ワイン、何が違うの?

赤ワインと白ワイン、何が違うの?

実は、ワインにはよく知られている 赤、白だけでなく、黄、緑、黒、ロゼ、オレンジ、灰、青など、様々な色があるんです!うーん、黒ワイン、黄ワイン、緑ワイン…なかなかのパワーワード。

厳密には、赤ワインの中でも紫色とかレンガ色とか言われますし、白の中なら銀色とかレモン色とか琥珀色とか言われます。ただここらへん言い出すとキリないので。(笑) 面白いとこだけお話していこうと思います。

ご挨拶遅れました。

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ドイツワイナリー探訪②Closheim Conrad

ドイツワイナリー探訪②Closheim Conrad

多忙につき最後の栽培集中の記事がかなり遅れています。
申し訳ありませんが、繋ぎのワイナリーレポートをお楽しみください。

3回に分けてお届けするドイツワイナリー探訪。

1. Weingut Friedrich Altenkirch GmbH & Co. KG
2. Weingut Closheim Conrad
3. Weingut Chat Sauvage

前回は1回目でAltenkirch

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ドイツワイナリー探訪 Altenkirch

ドイツワイナリー探訪 Altenkirch

ここ最近は重たい記事が多かったので、たまには下書きも復習もなしで書ける記事を。

ここ最近は週に1回ほどワイナリーをめぐっていまして、その時に感じたことや見たものをシェアできればと思っています。

ただ自身のスマホのカメラが壊れているということもあり、なかなか自由には写真が撮れていないですがご容赦ください。

1. Weingut Friedrich Altenkirch GmbH & Co. K

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ブドウの栽植密度と樹勢管理

ブドウの栽植密度と樹勢管理

自分はどちらかというと栽培の方が苦手で、調べながら書いてはいますが、見落としや勘違いなどあるかと思いますがご了承ください。

前回の稿で仕立て方とは何かということについて取り上げました。
今回の記事ではさらに踏み込んで栽植密度や芽を絡めた樹勢の話をしようと思います。

その前に樹間と樹冠と畝間の用語の個人的な使い分けだけ説明しておきます。

樹間:同列にあるブドウの木の距離
畝間:横の列のブドウの

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アントシアニン不足と対策

アントシアニン不足と対策

前回はアントシアニンの色素としての形態や役割にフォーカスしてきました。

そして今回はその続き。アントシアニンがなぜ不足するのかというところから再開したいと思います。

アントシアニンの細かい話は置いといて、なぜ日本の赤ワインが淡い色をしているかということだけを知りたい方はこちらの記事だけ読んでいただければと思います。

1. アントシアニンとは

「1. アントシアニンとは」は前回の稿にあるので

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