マガジンのカバー画像

好みの記事

7
スキを超えて「ダイスキ」な作品。 いつも素敵な作品・記事を読ませていただきありがとうございます。
運営しているクリエイター

記事一覧

【詩】快気祝い

【詩】快気祝い

(はじめに)

 以前、「散歩」という題名で詩を1月に掲載したの
ですが、その記事の最後に、茨城県にあります茨城
文化団体連合さまより詩を依頼されたと書きました。
なんとか締切に間に合い提出した作品が本となり手
許に届きましたので、載せようと思います。見出し
画像にも使いました「茨城の文化 59」というものに
なります。こちらはおそらく非売品になるだろう思
いますが、詩は多くの人に読まれてこそ生き

もっとみる
創作:ある甘味研究者の手記

創作:ある甘味研究者の手記

シュークリームは世界を辞めていたので、ティラミスの前頭葉は常にホワイトユーモアに支配されていました。

ピーチメルバは氷の気化熱を利用してゼリー状の恋愛感情を押し込めます。夢の天然水は資本主義の人工水であり、それはハムカツがハムでありカツであることの位相差に似ています。

モンブランは目的の無い螺旋階段カテゴリーに属するとの報告には承服しかねます。モンブランが常にそして既に無極性なのは立証済みです

もっとみる
現代詩『テーマ』

現代詩『テーマ』

夏のイントロをシクラメンして、真夜中の季語を定めます。
それは時曜日の日課です。

彼女はテレビを消しました。
その通りです。テレビを物理的に消したのです。

すると、平方根が無数に飛び交う砂浜で、子供たちが熱の束を掴みながらはしゃぐサウンドスケープが立ち現れるではないですか。
そこにアキアカネが駆け付けます。ポケットにオニヤンマへの不等号的な手紙を隠していますが、それはラブレターを徹底的に微分し

もっとみる
(詩)海猫の詩を3つ

(詩)海猫の詩を3つ

うみねこの鳴き声聴いたうみねこ、うみねこ、
なぜ鳴くの

かなしい声で鳴かないで

日暮れにうみねこ鳴いたけど

帰りたくても帰れない
帰る場所など、ありゃしない

おいらは哀れな、家なき子
大人のくせして、家なき子

海猫ほんものの海猫は
猫に似た鳴声の
海鳥のことです

にせものの海猫は

たださびしがりやな
野良猫のことです
いっぴき、ぼっちが好きな

鳴くことも忘れ
ただ黙って
一日中海を

もっとみる
無秩序

無秩序

実態もない結末を追いかける肉食獣たち、孕んだ形式が、ランダムに咲き乱れ、撹乱されてしまうだけの私たちは、乱獲され、すぐさま、絶滅してしまうだけだ、と悲しみに満ちた表情の裏で、瞬く間に過ぎ去るだけの実情が、蛇行運転を繰り返し、加算されるだけの原理により、支離滅裂な思想を促し、短絡的な愛が、君自体を拘束したり、意思に足枷を嵌め、あくせく働き続ける間に、徒然と靡く必然性や、制約を謳い、今に散りばめられた

もっとみる
3分小説『ル』

3分小説『ル』

「くじ引きは今日の17時で受付終了です」
「いや、そこをなんとか」
「すいませんね。ルールだから」
「そんなこと言わないで、たったの10分じゃないですか。お願いしますよ」
「いやだから、ルールなんで」
「こんなに集めたんですよ!日用品から何から、わざわざこの商店街まで出向いて買い物したんです。このくじ引きの為に」
「それは有り難いですけどね。ルールを曲げるわけにはいかないので」
「分かりました。じ

もっとみる

ペットになった日・上

単発のつもりで書き始めて、思ったより長くなったので分割。たぶん3話くらいで完結。

今日、レン君のペットになった。
漣と書いて本当は「さざなみ」と読むのだけれど、いつの間にかみんなレンと音読みするようになったのだという。
近所に住む小学4年生で、母親同士が高校の先輩後輩だったとかで、私もうんと小さい時から知っている。
そんなレン君が今日から私の飼い主様だ。

ドキドキが止まらない。
これからどんな

もっとみる