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看书:『母という呪縛 娘という牢獄』(#58)

看书:『母という呪縛 娘という牢獄』(#58)

ふとインターネットを閲覧していたとき目にしたのが本作を知るきっかけでした。
2018年、滋賀県守谷市の野洲川河川敷で人の胴体部が発見されたことで本事件は世間に明るみになります。
容疑者は河川敷から数百メートル離れた場所に住む30代女性で、被害者はその容疑者の母親でした。
死体損壊、死体遺棄という事実を認めつつも、殺人については否認します。
一審では被告人容疑否認の上、懲役15年が言い渡されるものの

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看书:『美術の経済学』(#57)

看书:『美術の経済学』(#57)


あなたには“どんな名前”があるか美術市場で作品が流通する手段は2種類あるといわれています。
ひとつがプライマリー・マーケット(一次流通)で、もうひとつがセカンダリー・マーケット(二次流通)、その違いは「流通しやすさ」であり、その基準はアーティストの「名がどのくらい知られているか」が肝です。
たとえばギャラリーの方がアーティストより知られた存在ならばギャラリーで流通させた方が効率的ですし、逆にアー

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『ドラえもん』の空き地の中に"土管”が置かれている理由(#40)

『ドラえもん』の空き地の中に"土管”が置かれている理由(#40)

御存知『ドラえもん』は1969年に雑誌連載が開始し、今尚、TV放映されている世界的アニメのひとつです。
同時にその中で映し出された世界は時間の経過とともに現在の日常から徐々に遠ざかっています。
しかし時間の経過がない世界、それがドラえもんの世界観としてまた世間に認知され、受け入れられています。
その一つが裏山の存在であったり、空き地の存在であります。
おそらく連載前後は日本中でまだそのような風景が

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看书:『香港と日本 - 記憶・表象・アイデンティティ』(#9)

看书:『香港と日本 - 記憶・表象・アイデンティティ』(#9)

これはある講演会での一幕である。プロジェクターで映し出された写真。それは香港のとあるベンチで寝そべる中国大陸出身者を撮ったものだった。「あなたはどう思いますか?」その問い掛けに聴講者の意見はこうだ。「醜い」「一人でベンチを占めて他人が使えなくなる」「中港矛盾(中国本土と香港との交流が活発になるにつれ、様々なトラブルが起こること)を思い出した」次に、同じベンチで寝そべる金髪の西洋人が映し出される。「

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看书:『トイレは世界を救う〜ミスター・トイレが語る 貧困と世界ウンコ情勢〜』(#3)

看书:『トイレは世界を救う〜ミスター・トイレが語る 貧困と世界ウンコ情勢〜』(#3)

富士山にゴミ問題があるように、エベレストにも同様の問題があるようだ。登山家の野口健氏の活動で有名だが、実はエベレストにはトイレがないらしい。それは物理的な理由かもしれないが、多くが先進国から凍った”糞尿”を置き土産にされているようだ。
エベレストにおいて第一は生命の維持だ。衛生面はずっと優先順位が低い。
しかし雪山と同じく衛生面の優先順位の低い状態が世界に”へばりついている”。それは文化なのか宗教

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看书:『WOODAP 上下水道の未来への処方箋』(#2)

看书:『WOODAP 上下水道の未来への処方箋』(#2)

国土交通省が平成30年に纏めたデータによると蛇口からそのまま水道水を飲める国は世界で9ヵ国しかないそうです。

日本はそのうちのひとつ。だからこれからも安泰かというと、そうではないようです。何故でしょう。設備の老朽化と技術継承者不足。水道関係も例外ではないようです。つまり日本の上下水道事業も変革期に入っているといえます。
しかし各自治体等で中々足並みが揃っていないなど問題は様々です。

本書は民間

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看书:『13億人のトイレ 下から見た経済大国インド』(#1)

看书:『13億人のトイレ 下から見た経済大国インド』(#1)

インド国民13億人のうち11億人がスマートフォンを所有している。しかし6億人が自宅にトイレがないという。日本ではちょっと考えられない“常識”があるようだ。

トイレがないから犯罪(性犯罪)が起きる、など、“日本の常識”的立場から安直な発言は慎むべきかもしれない。

トイレの有無は根底でヒンズーの教えと結びついており、問題は一筋縄とはいかない(“浄-不浄”の二項対立)。
またインフラのコモデティ化が

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