マガジンのカバー画像

医療コラム

71
必要な人に必要な医療を
運営しているクリエイター

記事一覧

2024年1月の暮らしの保健室は「こたつで保健室」です。

2024年1月の暮らしの保健室は「こたつで保健室」です。

こんにちは!奄美大島で産婦人科、総合診療科をしていますことくです!

1月からは救急医として救命センターで働いております。

高校生の時に憧れだったDr.ヘリに乗って、奄美群島を飛び回っております。

空から見る奄美大島は本当に息を呑むほど美しいです。

自分が苦手としてきた急性期やICUなどの集中治療について勉強し直しております。

聴診器とエコーだけで診断して、リュックサックに入るだけの医療機

もっとみる
ウミガメのフレンジーと子供のお医者さん

ウミガメのフレンジーと子供のお医者さん

ウミガメの赤ちゃんは本能で孵化してすぐに沖に向かって走り出し、24時間休むことなく沖に向かって泳ぎ続けることができます。

逆にこの24時間を逃すと、この能力が失われてしまいます。

これを「ウミガメのフレンジー(frenzy)」と言います。

先日は世界ウミガメの日に家族でビーチクリーンをして、カレーをいただいて、ウミガメのお勉強会、夜の海散歩という素敵な会に参加してきました。

はやく仕事をや

もっとみる
奄美大島で「お産がとれる家庭医」になるために産婦人科医をやめます

奄美大島で「お産がとれる家庭医」になるために産婦人科医をやめます

お知らせです。

約3年半産婦人科医として働かせていただきました。

4月からはもともとの目標だった「お産がとれる家庭医 rural GP obstetrician」になるために、このまま鹿児島県立大島病院での総合診療プログラムに進みます。

ただ、やり残した宿泊型の産後ケアや産婦人科オンラインの導入などのプロジェクトもあるため

これからも、奄美の周産期を裏方として支え続けたいと思います。

4

もっとみる
2023年2月11日奄美暮らしの保健室

2023年2月11日奄美暮らしの保健室

2月11日は2023年さいしの奄美暮らしの保健室でした!!

本日も沢山の方に来ていただきありがとうございました。

もと訪問看護師で今は看護師をやめて、風船アートを配るてっしょーさんに子供達が沢山集まってくれました。笑いで病気を治すリアルパッチアダムスです。

三洋スポーツの泉さんにはいつも場所だけじゃなく、てっしょーさんとの漫才で盛り上げてもらってます。

また奄美FM渡さんもママチャリで前を

もっとみる
宇宙飛行士試験に落ちました〜究極のへき地医療は宇宙医療だ〜

宇宙飛行士試験に落ちました〜究極のへき地医療は宇宙医療だ〜

こんにちは!奄美大島でお産がとれる家庭医(へき地総合診療医)を目指して修行中のことくと申します!

表題にある通り、ことくは宇宙飛行士試験に落ちました。

落ちるどころか、書類審査で箸にも棒にも引っ掛かりませんでした。

なんとなく最近気持ちの整理がついたため記事を書いておこうと思いました。

そもそも何で離島の産婦人科医が宇宙を目指すのか?

単純に宇宙が魅力的すぎるからです。

だって、このポ

もっとみる
奄美大島で「暮らしの保健室」はじめました

奄美大島で「暮らしの保健室」はじめました

僕は医者だけど病院が嫌いだ。

正確には嫌いでした。

病院の待ち時間も、全然話を聞いてくれない先生も、良くわからないままうける検査も、お会計の明細書に書いてある訳わからない暗号も

出してもらったけど効果がない薬も、学校休んでまでいかなければいけない次の再診日も、

事務的な質問だけで気遣うそぶりもない看護師さんも、ニヤニヤしながらインフルエンザの抗原検査をする研修医も

全部嫌いでした。

もっとみる
明け方の帝王切開-「先生が手術に入ってね」-

明け方の帝王切開-「先生が手術に入ってね」-

今日は明け方に緊急帝王切開で呼ばれました。

切迫早産で長いこと入院していた患者さんでした。

いよいよ予定帝王切開でのお産が近づいていた真夜中、陣痛が先にきちゃいました。

その前の健診で、患者さんと「自分が手術に入るから」と約束していたので走っていきました。

真っ暗な病院までの道を走っているときに

オーストラリアのruralGP(産科総合診療医)のマックスウェル先生が

「僕はもうお産は引

もっとみる
グアバの実を収穫して感じた「考えて行動すること」が最強説

グアバの実を収穫して感じた「考えて行動すること」が最強説

「考えて行動する」が最強?

当たり前じゃないかと思う方もいるかもしれませんが、コトクは「考えないで行動する」派だったので、それに気付いた時は目から鱗でした。

数時間の出来事でしたが、人生が詰まっているなと思った経験をしたので共有します。

うちの病院の図書室の窓から中庭に生えているグアバの木が見えます。(さすが南の島!)

そして季節外れの美味しそうなグアバの実がなっていました。

図書室にい

もっとみる
かつての「とりあげ婆さん」から学ぶ「お産がとれる家庭医」への道〜離島に産声を戻すには〜

かつての「とりあげ婆さん」から学ぶ「お産がとれる家庭医」への道〜離島に産声を戻すには〜

90歳の入院しているお婆ちゃんが赤ちゃんが生まれると「おや、赤ちゃんの声が聞こえるね。男の子かな?」といつも赤ちゃんの声に耳を澄ませていました。

看護師さんが「遠いのに、よく聞こえますね!?」と聞くと

「私もね、近所の子供とか、息子、親戚の子を取り上げてたのよ」

「あら、産婆さんだったんですか?」

「いんや、あの頃は産婆さんに払うお金もなかったから、地域のお産は地元の私たちみたいなのがとっ

もっとみる
僕たち産婦人科医や助産師は妊婦さんの代わりにこの10ヶ月というフルマラソンを走ることはできない。それでも。。

僕たち産婦人科医や助産師は妊婦さんの代わりにこの10ヶ月というフルマラソンを走ることはできない。それでも。。

はてさて、ことくはいつの間にか30歳になりました。(11月11日はポッキーの日で、ことくの誕生日でもあります!ポッキーありがとうございます!←)

24歳で「Dr.コトーに俺はなる!」と東京を出て縁もゆかりもない鹿児島に来てから、いつの間にか6年が経過していました。

こちらは香港でルフィのコスプレをした時の写真です。懐かしい。10年前。。若い。。

「離島医療楽しい、離島医療楽しいよ、はあはあ」

もっとみる
離島で安心して妊婦さんが子供を産み育てていくために僕たちができることは~僕たちの島が始めた3つの新しい取り組み~

離島で安心して妊婦さんが子供を産み育てていくために僕たちができることは~僕たちの島が始めた3つの新しい取り組み~

お久しぶりです!妊婦から、子供、お年寄りまでみれる「一家に一台置いときたくなる家庭医」を目指して鹿児島のとある離島で産婦人科をしています。コトクと申します!

最終投稿からいつの間にか4ヶ月が過ぎてしまいました。

というのも、同僚が異動になり、5月から自分が産科の責任者を任されるようになりました。

「この島の妊婦さんとお腹の中の赤ちゃんの命運を自分が背負っている」

という責任感で少し押しつぶ

もっとみる
【アート×離島医療×教育】 〜女性が幸せな島は幸せな島〜

【アート×離島医療×教育】 〜女性が幸せな島は幸せな島〜

先日「対話型鑑賞」というアートを利用した教育方法に出会いました。

対話型鑑賞で学んだことを活かせる場所はないかな?って考えている時に、ある案件が転がり込んできました。

僕が産婦人科医として働いている奄美大島には「奄美看護福祉専門学校」という専門学校があります。奄美大島の子だけじゃなくて沖縄や隣の島からも将来看護師、介護師になりたいという子たちがここで資格をとり、自分の島に帰っていきます。

もっとみる
量では測れないヒトの物語を紡ぎ出す方法は? SCAT分析で明らかになった離島医療の魅力とは。

量では測れないヒトの物語を紡ぎ出す方法は? SCAT分析で明らかになった離島医療の魅力とは。

離島医療人物図鑑のプロジェクトが発足されてから一年。

僕たちは離島医療の魅力を社会的にも、学術的にも発信していこうと活動を続けてきました。

離島は医療者にとって、自分が成長できる場所であり、やりがいを感じられる場所なんだということは何となく分かっていた。

でも、それはあくまでコトクの意見であって、みんながそう思うかはわからない。

だから、それを証明するために人物図鑑のメンバーで「質的研究」

もっとみる
医学部を目指す高校生の君へ。10年後の僕より。

医学部を目指す高校生の君へ。10年後の僕より。

「コトクは良い医者になるよ」

高校生の時に先生からもらったその言葉が今でも僕の宝物になっています。

その先生から直接僕は教えてもらったこともないし、担任だったこともないけど一個下の学年の先生で何となく知っていた。

高校3年生の受験前

親からは「そんなに遊んでて受験受からないわよ」と言われ

物理の先生からは「コトクには絶対無理だよ。もっと下の大学にしたら?」

と言われるくらい出来の悪い高

もっとみる