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【映画レビュー】

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「この映画を観た感想を残しておきたい」 そう思わせてくれた映画に精一杯の敬意を込めて、拙いけれど、文章を書いてみます。 🎥https://filmarks.com/users/m… もっと読む
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『語り出したら止まらない』そんな映画を、君はいくつ持っているか。

『語り出したら止まらない』そんな映画を、君はいくつ持っているか。

「いい映画」に出会ってしまう、ということは、すごく幸福で、そして、時として、すごく怖い。

TOHOシネマズで映画を観るのに必要な映画鑑賞料が、2,000円に値上がりしてから初めて映画館で2,000円を支払って映画を観た。

『怪物』という作品だった。

映画館で映画を観ることの愛おしさが渦巻いて、涙が出た。はじまりの回を観て、次の回も観て、レイトショーでも観た。次の日も、観に行った。

止まらな

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「ちょっと思い出しただけ。」きっと、そんな日々を生きていくんだろう。これからも、ずっと。

「ちょっと思い出しただけ。」きっと、そんな日々を生きていくんだろう。これからも、ずっと。

東京タワーが好きだ。

ただほんと、それだけの理由で、映画「ちょっと思い出しただけ」を観た。予告の節々に東京タワーが映るから。

" ちょっと思い出しただけ "

観終わった後に、本当にタイトル通りの感情になる映画だ。

来月、私の元カレと私の親友が、結婚する。

もっと言うと、17から22歳までの6年間の青春を捧げた私の元カレと、小学校1年の時「ともだちになってください」と手紙を渡して以降、20

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「花束みたいな恋をした」と「ドライフラワー」における、花と恋と20代。

「花束みたいな恋をした」と「ドライフラワー」における、花と恋と20代。

映画「花束みたいな恋をした」を観た。

タイトルが"花束"なので、花束そのものがこの物語のキーとなるのかと思いきや、相手に花束どうぞするシーンなど全く出てこなかった。もちろん、卒業式にサプライズで花束を渡す所をTikTokに載せるシーンもなければ、真っ赤なバラの花束100本でプロポーズするシーンもない。

だからこの映画は、観た人に、この恋がどう「花束みたい」なのかを考えさせる作品なのだと勝手に受

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新海誠『すずめの戸締り』そして、あの日のこと。

新海誠『すずめの戸締り』そして、あの日のこと。

「ねぇ、あの日、何してた?」

私たちの中には共通して、たったこれだけの言葉で ”あの日” が、どの日のことを指すものなのかを、感じ取れてしまう日があります。

その”あの日”から、もうすぐ、12年という月日が、経とうとしています。

あの時代に生まれた子どもたちが、もう12歳になるのだと思うと、本当に、随分と時間が流れたのだと実感します。12年といえば、人が1人、小学校を卒業するだけの歳月です。

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メリーバッドエンドの物語「星の子」を観て、映画を観る意味を考えた。

メリーバッドエンドの物語「星の子」を観て、映画を観る意味を考えた。

映画『星の子』を観た。

2020年に大森立嗣監督によって映画化された、芦田愛菜主演・今村夏子原作の、宗教二世のお話である。

『もし、自分が物心ついた時に、両親が宗教信者だと分かったら』

この映画を観るまで、私は、この状況を想定したことが一度もなかった。宗教二世問題が、旧統一協会の騒動で明るみになる前の鑑賞だった。自分の周りにも、親が宗教に熱心だと漏らす友人はいなかった。

もし、映画・星の子

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