最終章 『departures』 「ほのか……だよね?」 雅也が懸命にリハビリをする様子を、大き…
「おはよう。よく眠れた?」 ベッドに横たわる雅也の顔を覗き込んで言うと、眠そうに目をこ…
第5章 『赤い糸はスパイシーな香り』 久しぶりの実家 。 それぞれの家にはそれぞれ…
雅也が車椅子の生活になってから、私は仕事を調整して、介助にあてる時間を作るようにした。…
病院に搬送されてから二週間、雅也はICUで過ごした。その間にも私にはやらなければいけな…
第4章 『不安定な心』 「今日は早く帰って来れる?」 「そうだな。そんなに遅くはならない…
一年後 。 雅也のいない桜の季節を四度見送って、もうすぐ私は二十二回目の誕生日を迎…
「こんにちは」 お店の戸を開けて、雅也のお父さんに言った。 「おかえり、ほのかちゃん」 …
無色透明なお湯を、掌で何度となくすくっては腕や肩へと掛ける。スベスベになった肌に思わず…
第3章 『つながりあう心』 雅也のお母さんの三回忌が終わり、社会人らしい落ち着きを見せ…
お葬式が終わって、少しずつ気持ちにも余裕が出てきた。私は、あの日雅也のそばにいてあげて…
夏休みが終わり、いつもの電車に揺られながら美咲と学校へ行く日常が始まった。いつもと違う…
ホームルーム 。 雅也と夏休みはどうするのかなどと話していると、担任のヨッシーが大…
美咲と二人で電車に揺られながらスマホの画面を睨んでいると、 「ところでほのか、最近彼と…
水曜日は弓道部の練習は自由参加らしい。活動拠点の市営弓道場が、ローテーションの谷間で使…
第2章 『忍び寄る運命』 夕飯を終えてリビングで寛いでいると、パパが煙草をふかしながら…