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自主映画を、撮る。その30


5月26日、午後5時50分

東京大会がまもなく始まります。前回は脚本班の一員としてこのキックオフイベントを見届けましたが、今回は自宅PCから。いかにもAC/DC好きなロゴとも約半年振りとなるご対面。前回は回線トラブルで止まりましたけれど、今回は大丈夫そうかしら。去年は「モキュメンタリー」「ドッペルゲンガー/人違い」なんてキワいジャンルを引いたけど、今年は大丈夫そうかしら。

前回ふわっとアナウンスしていましたが、今回は80s風カメラに代わり16mmフィルム的質感が楽しい「Super16」アプリを駆使してざらざらとした魅力そして手ブレ酔い必至の映像で存分にお楽しみいただきます。長文読むのがかったるいというあなたに向けた約20分のダイジェスト映像となってます、記念すべき別連載「#シュサイカメラ」第1回記事とも連動しております。

午後6時11分

Orange Candy HouseはGroup Aの13番目でくじを引いた。今回のジャンルは「サイレントフィルム」そして「医療/ドクター」、すぐさま全体LINEに投稿し監督の反応を待ちます。主宰個人としては無声映画を撮りたいという興奮を抑え切れない感じだったのですが、すぐさま「医療/ドクター」一本釣りでとの指示が。登場キャラクター名と職業、小道具、台詞も合わせて発表。

阪急線遅延等トラブルが多い中で、夜通し頑張ってくれた脚本班の皆様よりお写真を拝借。

監督方針説明からプロット第1案の提出期限までが約2時間。主宰は「難聴をもつ主人公が大学生活の中で感じる苦しさ/生き辛さ」をテーマに1本そして「令和のチャップリン映画」と題してもう1本プロット作成に挑みましたが、時間内に1本拵えるのが精一杯で。結果的には18本分のプロットが集まり監督がすぐさまブラッシュアップできそうな案の選定に取り掛かった。

午後10時

■物語概要
買い物代行サービス員が主人公。
依頼が入って指定された場所に行くと、誰もおらず、代わりにお題と届け先が書いている。
ただし、お題・届け先はなぞなぞになっており、解くのが難解。何とか解いて指定場所に行くと依頼報酬となる大金と次のお題・届け先が置いてある。
大金ほしさに2回目も挑戦し、何とか謎を解読。届け先に行くと依頼報酬の大金と最後の依頼と書かれた紙の地図が置いてある。
また、そこに一緒においてあったスマホにTELがかかってくる。相手はどうやら依頼人っぽい。
最後の謎解き中、定期的に電話がかかってきてヒントを出してくれる。やっとの思いでたどり着いた場所の扉を開けるとホワイトアウト。
→病室で横たわる主人公と医者っぽい人。どうやら主人公は植物人間になっていたが、最新医療方法で少しずつ思考を取り戻させ、最後の謎解きがカギとなって意識を取り戻した様子。
スマホの相手は現実世界で治療にあたっていた医者。
<監督コメント>
オチが強くていい。謎は1つでいいと思う。医療系ではない気もするが、もはやいい気がする。「謎が解ける→植物人間から脱出できる」の説得力が弱い気がするのでブラッシュアップできるといい。

3本まで絞られたプロット案の中から、最終的に採用されたものがこちら。約1時間をかけ最後のブラッシュアップを行い脚本班に未来を託す、眠れない夜が今年も始まります。翌朝、関学上ヶ原キャンパスの集合時間は朝8時半と決まりました。主宰が目覚めたのは午前5時前で、全体LINEに起床報告したところ反応が無かった段階で全てを悟りました。「たぶん脱稿できてない」

朝6時に、監督から進捗報告がありました。クランクイン時間の繰り下げ、つまり現場へ入ってからも脚本の加筆修正作業が鋭意続行されるとのこと。得てして「予定」なんてものは狂うもの、役者陣も揃っている頃合ですから稽古も交えつつエピソードを膨らませてければ。その場だからこそ生まれるクリエイティブな世界があります、このくらいのトラブルは織り込み済。

5月27日、午前8時15分

さすが社会人チーム、集まりが良い。機材搬入を済ませ脚本執筆の追い込み作業は続く。前夜の阪急神戸線遅延も相まって、自宅に帰れぬまま撮影現場に臨んだ後輩もいた。どうやら端役として主宰も出演予定らしい、助演男優賞をもらうつもりで頑張りますよ。今回レンタルではありますがものごっつエエカメラを手に入れまして、ワクワクとドキドキが止まらない。最高だ。

ちなみに「Rebu」はUber Eatsのアナグラムなんだそうです、なかなか面白れぇじゃねえか。

買い出し班にあちこち駆け回ってもらっている間、しれっとクライクイン。小道具班も仕事が早い、架空の買い物代行サービスはUberのような楽天市場のような絶妙な仕上がりで◎。記念に1枚もらって帰りました家宝にします。16時に一旦休憩を挟み、主宰は助監督らと共にインサート素材の撮影のため別行動。病院の外観だったり、内装だったりをホラーテイスト全開に撮る。

一旦のクランクアップは20時前

主宰はここからJR三田駅に向かった。編集作業に立ち会いあわよくば劇伴の制作に取り掛かる。監督が23時に合流し映像の1次チェックを行ったところやはり追加撮影が必要な箇所判明、慌てて出役にアポイントメントを取る。上ヶ原キャンパスは借りられないということで急遽、三田キャンパスまで。お昼間に2時間一本勝負くらいで撮れるだけ撮り、時間一杯まで編集。

有償音源をサンプリング素材として、主宰も残り7時間の時点から音楽制作へ移行。この時点で睡眠時間わずか1時間、しかし前回大会の経験から体内時計の作り方はある程度心得てましたから。なるだけ温かいものを体にぶち込みたまには散歩に出掛けたりしながら血流を促しておけば、常に「電源ON」の状態は維持できる。不慣れなGaragebandに四苦八苦しながらも、1曲完成。

制限時間、残り1時間半

主宰久々の出演記念に、GUで拵えた一張羅と美術班珠玉の品々をお土産としていただいて帰る。

48時間映画祭には不吉なジンクスがある。"大会期間中それも締め切り間際の時間帯にAdobe Premiere Proがフリーズ、データ保存を怠った者あるいは最後の悪あがきにと奔走する参加者達に突如として襲いかかる"というもの。ウチも今回まんまと喰らいましてPC再起動→音声データ消失からの書き出しエラーまで。結局、完成版をアップロードできたのは19時25分。残り5分。

アップロードフォームが想像以上に混み合ったせいかドロップオフイベントも約20分の順延スタートに。無事、Orange Candy Houseの名前が呼ばれるところまでしっかり見届けて軽めの打ち上げ。睡眠時間約1時間の主宰は、念の為ノンアルビールで乾杯。各人、月曜からの激務が待ち構えていますから午後9時には解散。後輩の運転する車に乗り込み、主演の好としばし3人旅。

次期監督に、堂々名乗り

第2作のタイトルロゴを、サクッと手書きしてデザインに起こせちゃう優秀な後輩ちゃん。

酒分少なめながら、なかなかにエモい打ち上げだったのではなかろうかと。つまり前回大会試写@喜連瓜破を共にエンジョイしてくれた愛すべき新社会人の彼が、次は是非自分にやらせて下さいと。その熱意、買いましょうぞ。薄れ行く意識の中、深夜遅くまで編集作業に帯同し続けていた姿を、主宰はずっと横目に見ておりました。大丈夫。彼ならきっと大丈夫です。

ここで無念のご報告です。次回10月の大阪大会ですが、主宰は諸般の事情によりまして参加が叶わない模様です。つまりメンバーとしてではなくファンボーイとして、Orange Candy Houseの活動をサポートしていくということ。話せば長くなりますがこう、音楽性の違いだとか、実は不仲でしてんとか。そんなしょうもない理由ではないということを、どうぞご理解下さいね。

次回、シーズン3早くも最終回‼️

お待ちかねのOrange Candy House第2作公開と書き足りなかったメイキング秘話をちょこちょこっと交えながら、第3シーズンの締め括りとしたいです。前回あれだけの苦しい48時間がありましたから、まさか今回2回目が叶うとは思いもよらなんだ。素敵な仲間達とまた巡り会えたことだけで幸せです。彼らの努力が報われることをただただ願うばかり、次回へ続く‼️

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