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生きてみたかった時代
じいちゃんちのタンスに間違えて入ったような、そんな匂いがしてくるローカル線。
ファッションのように、20年の時を経てこの匂いが再流行することはあるのだろうか。
そう思える程、古臭くて馴染みの悪い、私が知らない時代の香りがそこにはあった。
それはしかしまぎれもなく、私が生きてみたかった時代の匂いである。
行きたい場所には携帯一つですぐに行けて、分からないことは少し手を動かして虫眼鏡マークに聞
髪からコーヒーのにおいがした
音楽を聴いて蘇る思い出があるように、匂いで、香りで思い出すシーンもある。
気が付いたらそこにいた的な感じで行ってしまうのが、そのカフェだった。コーヒーの香りが、二階のホコリっぽい隅っこにまで染みついている。昼間は学生で若く明るく、夜はまばらに暗く暖かく。そんなカフェ。
そのカフェに出向いた夜のシャワーは、いつだってコーヒーの匂いがしていた。
頑張ってみた証、好きな時間を過ごした証にその匂いを