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「私のお気に入りな奴」ジャルジャル風

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その名の通りです。私が好きな文集めました。一応、好きな順ではあります。
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タバコ喫茶と店主の付け合せ

タバコ喫茶と店主の付け合せ

初めて行く喫茶店。お店に入った理由はごくごく普通。「お腹空いたな」「美味しそうなとこ見つけた」そんな感じ。

入店したら店内満席ですと言われた。カウンターでよければどうぞとの事で、わざとかのようにお洒落に少し散らかったカウンターに陣取った。店主とお姐さん2人で満席の店をまわし忙しそうだったので、オーダーせずに待っていた。すると、

店主「メシ食うか?」「ハンバーグやろ?」

え!?

「メシ食うか

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視力2.0

視力2.0

視力2.0で見たいものは、好きな物の詳しい色で、好きな人の見たい顔で。

何度も何度も思った。日に当たる時だけブラウンが際立つあざとい瞳がカメラのレンズで、奥二重に重く乗る瞼のアーチを下ろして、好きな物や好きな人を見た時の一瞬のトキメキでシャッターボタンを押せたならと。

逃したくないというより、何度も頭の中で繰り返しては追いかけたその瞬間を忘れたくはない。

本好きのある友はどこかから引用した。

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金木犀の香水

金木犀の香水

とっくに落ちてしまったあのオレンジは、その色と香りにそぐうようないっぱいの秋をお知らせしてくれた。

必要以上に、そして贅沢に。何かのキャッチコピーかのように自然と鼻いっぱいにこれでもかと秋の匂いを誘う。

その季節に終わりの合図はきっとない。

探偵っぽくあの秋の匂いがするオレンジを探す。夏も冬もそっと佇んでいたであろうに、その存在は色ずくまでは控えめにしている。

季節の始まりは静かで、落ちた

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生きてみたかった時代

生きてみたかった時代

じいちゃんちのタンスに間違えて入ったような、そんな匂いがしてくるローカル線。

ファッションのように、20年の時を経てこの匂いが再流行することはあるのだろうか。

そう思える程、古臭くて馴染みの悪い、私が知らない時代の香りがそこにはあった。

それはしかしまぎれもなく、私が生きてみたかった時代の匂いである。

行きたい場所には携帯一つですぐに行けて、分からないことは少し手を動かして虫眼鏡マークに聞

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歌えないシンガーソングライター

歌えないシンガーソングライター

ド音痴でもたまに歌詞を書いてみたくなる。

いつか私の書いた歌詞をあいみょんがあいみょんの声で歌にしてくれないかと、描いてはいけないような夢を抱いている。

曲を作詞・作曲して歌唱する人を「シンガーソングライター」と言う。
英語で言うならば、「Singer/Songwriter」

かっけぇえ!!!!!!!

シンガーソングライターになりたい。シンガーソングライターのうめすずという肩書きがイケてる

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拝啓 好きだった人へ

拝啓 好きだった人へ

私を好きだったことはありませんか。

いつか教えてくれた思わせぶりな題名の曲。何回スキップして、何回リピートしたかな。

別にもう好きじゃないよ、その音楽。でも、いつまでも作業用BGMにはなりそうにない。

別に大した会話はしていない。だから、何気ない会話が大した会話になってしまったんだ。別に特別な時間も過ごしていない。だから、何気ない時間が特別になったんだ。

少ない思い出に色を付けてしまって、

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木曜にやる気が出たから、今週は木曜スタート

木曜にやる気が出たから、今週は木曜スタート

ブール・マンデー。ブルーな月曜日。ようするに、憂鬱な月曜日といったとこだろうか。こいつは毎週、のこのことやってくる。しかも週の始まりに。何が良くて月曜日がブルーなんだ。

そんなことはどうでもよくて、この3月はなんだか心が落ち着かない日が続いた。悲しみで枕とハンカチを濡らした朝方。枕カバーを洗った日に切り替えたつもりだったがまた、少しゆっくり歩きたくなるような、アップテンポの楽曲を避けたくなるよう

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秋に恋ふらく

秋に恋ふらく

肌色が少なくなる季節に、そろそろ壁に掛けたクーラーのリモコンにホコリが溜まる季節を想う。

こんな季節だからだろうか。あの友とこんな会話をした。

「誰か隣に居ないかな」と。

どんな歌を聴いても、どんな風が吹いても、どんなレイヤードに肌を隠しても、この季節は一段と寂しさが乾燥しそうなどこかに沁みわたる。

だから人は「人肌恋しい」なんて言葉に身を任せて、その寂しさを埋めたい気になる。

だけどね

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服への告白。

服への告白。

服への告白

服が好きで彼らに恋をしているとするならば、私はそれに対する溢れんばかりの想いを告白しなければならないだろう。

好奇心とビジュアル

『好奇心とはビジュアルに由来する』これはあくまで想像力が逞しい私的見解に過ぎない。そんな私にとっては、毎日のアウトフィット、つまり自身のビジュアル(服)は間違いなく日々の好奇心に影響している。簡単に言い換えるとするならば、私の日々の活力はその日のコーデ

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朝のスタバのすきなとこ

朝のスタバのすきなとこ

今朝、思ったよりも私の行動は宮崎駿味があった。親友がそう言った。

今日という日に思ったよりも気合が入っていた私は、完全に冷めた頭で起き上がってからのタイムスケジュールを立てる。数弱な私もこういうのはどうも得意なようで、「よし!」と力を入れたその2秒後には重力を頭から感じた。30分後には私から私に課せられた”出発までのミッション”は成功していた。

廊下を走って、マスカラは上だけで「今日はナチュラ

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髪からコーヒーのにおいがした

髪からコーヒーのにおいがした

音楽を聴いて蘇る思い出があるように、匂いで、香りで思い出すシーンもある。

気が付いたらそこにいた的な感じで行ってしまうのが、そのカフェだった。コーヒーの香りが、二階のホコリっぽい隅っこにまで染みついている。昼間は学生で若く明るく、夜はまばらに暗く暖かく。そんなカフェ。

そのカフェに出向いた夜のシャワーは、いつだってコーヒーの匂いがしていた。

頑張ってみた証、好きな時間を過ごした証にその匂いを

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靴への告白

靴への告白

靴を愛してやまない、この抑えきれない気持ちを本人に伝えたい。

上を向いて歩こうと坂本九さんは言ったが、たまには好きな靴を履いて下を向いて歩こう。

チラつかせるソックスとの相性を占うような朝。

靴に見惚れて立ち止まって #足元倶楽部  でシャッターを切りたくなる昼。

靴から束縛されてたような気分で、玄関に並べてあげる夜。

雨の日は少し心配して、白はなるべく止めておこう。

冬じゃないなら肌

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