小鳥遊 咲季真
こはるうららか、のぞみ、うつ と読みます。 基本的には青春ラブコメになります。切ない葛藤と儚い青春の物語です。ちょっぴり恋ありな小説です。創作大賞2024に参加しています。
第1話 屋上(創作大賞2024参加作品) 【あらすじ】〝鬱病で精神障害者の矢箆原咲真(やのはらさくま)は高校二年生の学生だ。隣のクラスの小鳥小春(ことりこはる)と、…
4-3 学祭前日まで 夏休みのある日、学祭への出し物の応募を受け付ける日があると聞き、俺達四人は揃って校内へと足を向けた。女子二人が委員会をやっていたので、回り…
4-2 練習 それから練習の日々が始まった。まずはスタジオ練習だ。軽音楽部の部室は借りることができないので、街なかにある練習スタジオを借りることにした。費用はか…
第四話 生活4-1 夏休み それからしばらく。 一学期が終わって、夏休み初日。 学校が終わったのに、休みになったのにもかかわらず、部活でもないのに学校の屋上…
3-4 球技大会そのさん 「ピーッ!」 試合が始まった。試合はこれまでとは変わり攻められて防戦一方だった。相手のほうがボールコントロールがうまい。さすがに部活メ…
3-3 球技大会そのに 翌日。俺は今日もまた起きれなかった。 死にたくて仕方がなかった。しかし、その術を持っていなかったので、凶器になりそうなものはハサミで…
3-2 球技大会そのいち 「だから安心しなよ。私立の上ノ原には話をつけておいた。絡まれることはあっても、もう殴られる事はない。そんな事があったら、向こうもただでは…
第三話 不良 3-1 不良 良い状態でないこと、素行が悪いこと。不良とは辞書的にはそう書かれる。たとえば体調不良とか。素行不良とか。体調不良で遅刻ばかりの素行不…
2-3 掃除 「掃除?」 小春が問いかけてくる。 「そう。屋上ってすごく汚いだろ? ゴミとかたくさんあってさ。だから掃除しようと思って。先生に相談したら掃除道具…
2-2 衝突 「なんでそういう事言うのかな。どうしたの、調子よくない?」 「違う! 俺のことじゃない! 小春のことだ!」 「え?」 「いいか、世の中なんてものは優…
はじめまして、noteでは初めましての小鳥遊咲季真と書いてタカナシサイマと読みます。よろしくお願い申し上げます。 さて、創作大賞2024という存在を知って、noteに参…
第二話 掃除 2-1 諍い 小春何してるかな……。いや、授業中だから授業受けてるんだろうけど、何考えてるかな。俺はそんなことを思っていた。そう、思わずにはいら…
1-4 矢箆原咲真(やのはらさくま) 桜がちらほらと、一輪、また一輪と咲き始めた春の訪れを感じる四月下旬。少し肌寒いのは風のせいか、北国のせいか。昼頃に遅刻しな…
1-3 神祐希(かみゆうき) 「いえーい♪ 君に会えてよかった、このままずっと、ずっと、ずっと……」 放課後、学校の屋上に軽音楽部のはみ出し者、神祐希は自慢の…
1-2 雉子島麗(きじしまうららか) 「おっ、ようやく来たな矢箆原咲真(やのはらさくま)。なんだ、今日は調子良さそうじゃないか」 俺が教室に到着したのは午前十二…
2024年4月24日 15:11
第1話 屋上(創作大賞2024参加作品)【あらすじ】〝鬱病で精神障害者の矢箆原咲真(やのはらさくま)は高校二年生の学生だ。隣のクラスの小鳥小春(ことりこはる)と、同じクラスの神祐希(かみゆうき)、クラス委員の雉子島麗(きじしまうららか)仲良し四人組で馬鹿やって過ごしていることが多い。そんな俺は鬱病のために毎朝起きれない。小春が毎朝のように起こしに来て、そして二人で学校に遅刻している。授業を受け
2024年5月25日 22:17
4-3 学祭前日まで 夏休みのある日、学祭への出し物の応募を受け付ける日があると聞き、俺達四人は揃って校内へと足を向けた。女子二人が委員会をやっていたので、回り回って、巡り巡ってやってきた情報だった。そういうのはもっと全校的に、広く知れ渡るように大々的に告知してほしいものだなと、素直にそう思った。「では、次の方」「はい」「出し物は何をやりますか?」「ロックバンドです。そのためア
2024年5月16日 17:29
4-2 練習 それから練習の日々が始まった。まずはスタジオ練習だ。軽音楽部の部室は借りることができないので、街なかにある練習スタジオを借りることにした。費用はかかるが、親に頼んでなんとか工面してもらうことにした。夏休みの期間だけだからと言って。一番はドラムセットを使えることが大きい。あれは実物がないと練習にならないからな。家にそんなものはないし。つまり、練習のメインは小春ということになるのが自
2024年5月11日 21:40
第四話 生活4-1 夏休み それからしばらく。 一学期が終わって、夏休み初日。 学校が終わったのに、休みになったのにもかかわらず、部活でもないのに学校の屋上に集まっていたのは彼の呼びかけのせいである。神祐希に呼びされた俺達は、暑い暑いと言いながら屋上に集まった。太陽が頂点に達したお昼ごろだったと思う。「今日は初日からありがとう。みんなにお願いというか、言いたいことがある。夏休み明け
2024年5月7日 15:23
3-4 球技大会そのさん「ピーッ!」 試合が始まった。試合はこれまでとは変わり攻められて防戦一方だった。相手のほうがボールコントロールがうまい。さすがに部活メンバー相手では分が悪いか。フォワードの二人も下がって守りに徹する他なかった。攻めるチャンスは前半一度もなく、そのままハーフタイムを迎えた。球技大会だから前後半はそれぞれ二十分だ。つまり残り二十分で優勝のすべてが決まる。しかしここまでは
2024年5月2日 13:42
3-3 球技大会そのに 翌日。俺は今日もまた起きれなかった。 死にたくて仕方がなかった。しかし、その術を持っていなかったので、凶器になりそうなものはハサミであっても残らずすべて取り上げられていたので、自傷を行うこともできなかった。鬱が最大でも、即効性のある薬はない。飲んで解決、みたいな薬はないのだ。あればいいのに。睡眠薬はあるのに。 ああ、不安だ。 不安で不安で不安で不安ばかり
2024年4月30日 20:58
3-2 球技大会そのいち「だから安心しなよ。私立の上ノ原には話をつけておいた。絡まれることはあっても、もう殴られる事はない。そんな事があったら、向こうもただでは済まないからな。大きな犠牲を払うことになるだろうよ。だから心配ない。大きな顔して歩けとは言わないが、普通に暮らしていればまず問題はないだろうよ。いやならば、あの辺りを通るのは控えるんだな」 俺はこの間上ノ原退治を頼んできたクラスメイ
2024年4月29日 20:18
第三話 不良3-1 不良 良い状態でないこと、素行が悪いこと。不良とは辞書的にはそう書かれる。たとえば体調不良とか。素行不良とか。体調不良で遅刻ばかりの素行不良生徒である俺にぴったりの言葉だとそう思った。不良の矢箆原。悪くない響きだ。噂されるのにはちょうどいい。その程度の扱いでいい。そう思っていた。「おい、不良の矢箆原咲真。ちょっといいか」「え? 俺?」「相談がある。力を貸して
2024年4月28日 21:47
2-3 掃除「掃除?」 小春が問いかけてくる。「そう。屋上ってすごく汚いだろ? ゴミとかたくさんあってさ。だから掃除しようと思って。先生に相談したら掃除道具を色々貸してもらったんだ」「いいね。掃除したいと思ってたんだよ。俺の演奏場所でもあるわけだし! よーし、そうと決まったら、掃除だ、掃除!」 祐希はゴミ袋を持って、軍手をはめてさっそくゴミを拾いに行った。「私はモップにしま
2024年4月27日 20:05
2-2 衝突「なんでそういう事言うのかな。どうしたの、調子よくない?」「違う! 俺のことじゃない! 小春のことだ!」「え?」「いいか、世の中なんてものは優しくない。たとえ友達の看病をしていようが、付き添いをしていようが遅刻は遅刻だ。去年は補習と追試のテストをクリアしたからぎりぎり進級できたけど、今年もそうとは限らない。俺自身は病気だってことで、学校に話がついてる。小春は一緒に遅刻す
2024年4月26日 15:40
はじめまして、noteでは初めましての小鳥遊咲季真と書いてタカナシサイマと読みます。よろしくお願い申し上げます。 さて、創作大賞2024という存在を知って、noteに参戦してきました私ですが、今ひとつ使い切れていないのも事実なのであります。 まず、タイトルですが、【××話】小春麗らか〜の××は、総合計タイトル数を表しています。便宜上、数えるために付けているようなものです。本来の話数としま
2024年4月26日 15:09
第二話 掃除2-1 諍い 小春何してるかな……。いや、授業中だから授業受けてるんだろうけど、何考えてるかな。俺はそんなことを思っていた。そう、思わずにはいられなかった。今朝、小春とちょっとした諍いがあったのだ。それで、色々思うところあって彼女のことを考えていた。 小春は小柄で小さな女の子だ。明るくて二年生の隣のクラスでもクラス委員をしていて、誰からも好かれるように振る舞える優しい女の
2024年4月25日 16:51
1-4 矢箆原咲真(やのはらさくま) 桜がちらほらと、一輪、また一輪と咲き始めた春の訪れを感じる四月下旬。少し肌寒いのは風のせいか、北国のせいか。昼頃に遅刻しながらも登校し、放課後に屋上でリサイタルを聞いたあと、俺はなんとなく時間を見て「そろそろ帰るわ」と言い出し、夕方六時前には家へと帰ることにした。麗と祐希の二人に別れを言って、小春と帰る。小春の家は俺の家の方向で、学校から徒歩十五分の俺の家
2024年4月25日 09:58
1-3 神祐希(かみゆうき) 「いえーい♪ 君に会えてよかった、このままずっと、ずっと、ずっと……」 放課後、学校の屋上に軽音楽部のはみ出し者、神祐希は自慢のアコースティックギターを鳴らしていた。俺と小春、麗はそれに付き合って手をたたきながら見ていた。屋上というのは普段は立入禁止であるのだが、学校内で人に迷惑をかけずに音を出して練習したいというわがままを先生にお願いしたところ、特別に許され
2024年4月24日 16:23
1-2 雉子島麗(きじしまうららか)「おっ、ようやく来たな矢箆原咲真(やのはらさくま)。なんだ、今日は調子良さそうじゃないか」 俺が教室に到着したのは午前十二時前だった。四時間目の少し前。ちょうど休み時間で、クラスはざわざわしていた。俺が一人増えたところで、誰も気づかない。気にも留めない。俺はそんな存在だった。一部では不良だ不良だと噂されているらしいが、それはそれで都合が良かった。ちなみ