大阪のソウルフードと言えば「たこ焼き」。 まあるくて小さくて頬張ると思わず笑顔になっちゃう、ふわっとろあっつあつの、そう、アレです。 大阪にはたこ焼き屋はどこに…
2月から「なつみと式Webライター講座」を継続受講することにしました。 昨年12月に3か月の講座を受講し終えたところで、今なら継続受講を申し込めば割引があると案内があっ…
昨日までのぼんやりとした暖かさを、風がさらって持っていってしまった。肌の凍る冷たさだけを残して。 黒くてくねくねとした首の長い鳥が、川の表面に顔だけ出してきょろ…
雨があまりにも小ぢんまりと降っているものだから、手に持っていてずっと邪魔だと思っていたはずの傘の、さすのをすっかり忘れていた。もしかすると、本当はさすのが嫌だっ…
ヘーゼルブラウンのよく磨かれた艶やかな革靴をはいた男が、私の横をすり抜けて、二段飛ばしで階段を駆け上がっていった。 地下鉄の入り口には、切り取られた青空。 薔薇…
薄暗い風が、やや強く斜めに吹いていた。 川の流れに逆らって、カラスの声が反響する。金属が擦れ合うような、耳を劈く声。 寂しく冷たい風景。目を凝らさないと、細部ま…
花びらは透けて、太陽を集める。何も隠さない潔さに敬意を払おう。 反射したピンク色が肌の表面に落ちてきた。 冷たいけれど柔らかい風が心地よくて、まっすぐに立つ。遠…
雀が木の枝で激しく鳴いていた。誰かを呼んでいるような必死の鳴き声だった。 その声に呼応するように大きな鳥が川から、ふえーと鳴いた。姿は見えなかったので、それが本…
私が近づくと、鳩がふいに鳴きはじめた。喉の奥で押さえつけたような、くぐもった声。怯えているのか怒っているのか、そんな風に見える。 わざと足音を派手にたてる。鳩は…
雨は春の川の表面を細かく打ち続けていた。 それはとても思わせぶりで、なにかを伝えようとしているように見える。じっと見つめていたらそのうち何かが現れてくるかもしれ…
川に、波紋が生まれた。 波紋は、内側から次々と生まれては広がる。そのどれも消えることなく広がって大きくなって、そして、河岸にぶつかって形を変えた。 新しく生まれ…
階段を登ることのできない小さな犬を、男が抱きかかえた。小さな犬は安心したように舌をぺろりと出して、自分の鼻を舐める。 ハクモクレンの木は、いつの間にか満開だった…
ピカピカ光るよく磨かれた金属板をすり合わせた音のような、鋭く透明な空。 私たちなんて到底届かない場所だと思い込んでいた。あまりにも当たり前で疑いもしなかったのに…
もう一度空を見上げると、さっきまで確かにはっきりと一直線を描いていた、ひこうき雲がぼんやり広がって背景に溶けようとしているところだった。 そう、今まさに。 私は…
知らず知らずのうちに、大気は汚されていて、私たちに降り注いでいる。払っても払っても汚れは落ちず、マスクをしてすっかり安心しきっている人々の小さな皮膚の穴から滑り…
工事の音が響く。 大気はいつになく透明で、古い歴史的建築物が、すこしずつ近づいてくるように見える。 足元の煉瓦のタイルの色の違いをぼんやり眺めていると、気持ちが…
香月
2024年3月23日 13:46
大阪のソウルフードと言えば「たこ焼き」。まあるくて小さくて頬張ると思わず笑顔になっちゃう、ふわっとろあっつあつの、そう、アレです。大阪にはたこ焼き屋はどこにでも存在していて、そしてどこの店でも美味しく味わうことができます。今回は恐るべき無数のたこ焼き屋の中から、私の推しで最強のたこ焼き屋、『宝や。』をご紹介させていただきます。手前味噌で申し訳ないのですが、実は私の夫が経営するたこ焼き屋
2024年2月21日 07:44
2月から「なつみと式Webライター講座」を継続受講することにしました。昨年12月に3か月の講座を受講し終えたところで、今なら継続受講を申し込めば割引があると案内があったからです。そのお誘いは、大いに私を安心させました。3か月の講座を受講し終えて、しっかりノウハウを学びライターの世界への扉を開けたはずなのに、なぜ?自分の心の中の葛藤や不安について向き合わなければ、答えを解決することができない
2022年4月2日 00:38
昨日までのぼんやりとした暖かさを、風がさらって持っていってしまった。肌の凍る冷たさだけを残して。黒くてくねくねとした首の長い鳥が、川の表面に顔だけ出してきょろきょろと辺りをうかがっている。ぽちゃんと音がしたかと思ったら、その鳥はおもむろに水の中に姿を消した。鳥が姿を消したポイントを中心にして、静かな波が円を描く。鳥のいなくなった川は穏やかに流れ、街の風景をそのまま映し出す。それは噓くさい
2022年3月31日 22:54
雨があまりにも小ぢんまりと降っているものだから、手に持っていてずっと邪魔だと思っていたはずの傘の、さすのをすっかり忘れていた。もしかすると、本当はさすのが嫌だったので、言い訳の余地を残しておいたのかも知れないとも思う。そもそも傘をさすのはあまり好きじゃない。傘をさすくらいなら、ずぶ濡れになったほうが、本当は好き。でも大人だから。大人になってしまったから。大人というのは常識と体裁が全てで。
2022年3月30日 23:30
ヘーゼルブラウンのよく磨かれた艶やかな革靴をはいた男が、私の横をすり抜けて、二段飛ばしで階段を駆け上がっていった。地下鉄の入り口には、切り取られた青空。薔薇の生まれたての葉は、めいっぱいに広がって柔らかな表面を朝陽に反射させていた。一枚一枚、丁寧に。信号機の「カッコー」が遠くで鳴いていて、いつまでも終わらない。どんなに手入れを丹念にしていても、雑草は次から次へとにょきにょき伸びる。
2022年3月30日 00:24
薄暗い風が、やや強く斜めに吹いていた。川の流れに逆らって、カラスの声が反響する。金属が擦れ合うような、耳を劈く声。寂しく冷たい風景。目を凝らさないと、細部まで見ることはできない。見えない光の糸に繋がれた関係は、誰しもが願う関係性。私たちはだって寂しいから。赤いトラックが橋の下のトンネルをゆっくりと越えて、こちらの世界へと足を踏み入れてきた。側面に描かれたお馴染みのぐねぐねした白いロ
2022年3月28日 21:20
花びらは透けて、太陽を集める。何も隠さない潔さに敬意を払おう。反射したピンク色が肌の表面に落ちてきた。冷たいけれど柔らかい風が心地よくて、まっすぐに立つ。遠くで聴こえる様々な音は混ざり合い、私をゆっくりと包み込んでいく。そのひとつひとつはもう決して分裂することはないのだろうと思った。ここには桜の樹は一本もないはずなのに、なぜか探してしまう。自転車はタイミングよく私の目の前で交差し
2022年3月25日 07:35
雀が木の枝で激しく鳴いていた。誰かを呼んでいるような必死の鳴き声だった。その声に呼応するように大きな鳥が川から、ふえーと鳴いた。姿は見えなかったので、それが本当に鳥で本当に大きかったのかどうかは想像するしかない。鉄板を規則正しく叩く音がする。ひどく荒々しい。大きな決心をしたような裏切りのないしっかりした音だった。その音は決してこの日常に馴染んではいないけれど、誰も気がつかない。私のように気
2022年3月24日 08:11
私が近づくと、鳩がふいに鳴きはじめた。喉の奥で押さえつけたような、くぐもった声。怯えているのか怒っているのか、そんな風に見える。わざと足音を派手にたてる。鳩は鳴くのをやめてくるりと回り、太陽の方に向かって飛んでいった。悪いことをしたような気分になった。紅い薔薇の芽は、開いて緑色に変容し、いつか見たいじらしい姿はもうどこにもない。冷たい風が何度も何度も吹きつけて私の身体から体温を奪ってい
2022年3月23日 08:24
雨は春の川の表面を細かく打ち続けていた。それはとても思わせぶりで、なにかを伝えようとしているように見える。じっと見つめていたらそのうち何かが現れてくるかもしれないと、しばらく見ていたが、身体が冷え切ってしまっても、遂に何の変化も現れることはなかった。よくよく考えてみたらそれが当たり前なのに、なぜかここに立っているといつも、想像の波間に流されている自分がいる。雨に濡れた街は、しっとりと濃
2022年3月19日 07:31
川に、波紋が生まれた。波紋は、内側から次々と生まれては広がる。そのどれも消えることなく広がって大きくなって、そして、河岸にぶつかって形を変えた。新しく生まれた波紋は諦めない。波紋はまあるく、きれいな円を描いて光を集める。規則正しく。ぶつかった波は、はずんで音をたてる。はじき出された泡は、きらきらと放物線を描きながら、また川へと戻っていった。私はその終わりと始まりを見ていた。
2022年3月16日 20:50
階段を登ることのできない小さな犬を、男が抱きかかえた。小さな犬は安心したように舌をぺろりと出して、自分の鼻を舐める。ハクモクレンの木は、いつの間にか満開だった。白い大きな花びらは、朝陽に照らされ、しっとりとした肌触りの向こうに物語を隠す。背伸びをして中を覗いてみたけれど、何も見つけることはできなかった。ハクモクレンを被写体にして、必死になって写真を撮っている女がいたので、邪魔をしないように
2022年3月15日 23:14
ピカピカ光るよく磨かれた金属板をすり合わせた音のような、鋭く透明な空。私たちなんて到底届かない場所だと思い込んでいた。あまりにも当たり前で疑いもしなかったのに。異分子が誕生した。作為的な、なにかによって。オメラスから来たことを忘れていただけだということを。いつしか思い出すのだ。眠りから覚めた私たちは、そして、何をすべきかを考える。今、一番必要なこと。それがなにかを考えるために
2022年3月15日 22:58
もう一度空を見上げると、さっきまで確かにはっきりと一直線を描いていた、ひこうき雲がぼんやり広がって背景に溶けようとしているところだった。そう、今まさに。私はリラックスして、あーあ、と声に出して大きなあくびをした。前を歩いていた男が驚いたように慌てて振り向いたが、じきに無関心な顔をして、早足で去っていった。追いかけてみようかと考えたが、その行為は別段、面白くともなんともないことに気付いたので
2022年3月10日 07:21
知らず知らずのうちに、大気は汚されていて、私たちに降り注いでいる。払っても払っても汚れは落ちず、マスクをしてすっかり安心しきっている人々の小さな皮膚の穴から滑り込んでは、次第に内側から穢してゆく。そして蓄積していく。灰が積もるように、静かに、静かに。そんなことを考えていたら、堪らなく気持ち悪くなってきた。安全で平和な世の中にいて、なぜわざわざこんなに怯える必要があるのだろう。バラ園のバラ
2022年3月9日 07:54
工事の音が響く。大気はいつになく透明で、古い歴史的建築物が、すこしずつ近づいてくるように見える。足元の煉瓦のタイルの色の違いをぼんやり眺めていると、気持ちが落ち着いてきた。ここでよく見かける犬が、興味なさそうに一瞥。大きな鳥が変な鳴き声を発しながらゆったりと低く飛んでいった。霞んでいて見えないけれど、鳥が目指しているのはきっと、ずっと向こうにあるはずの、あの笑っている山だろうと思った。可