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シン映画日記『銀河鉄道の父』

ユナイテッド・シネマ浦和にて役所広司主演、成島出監督作品『銀河鉄道の父』を見てきた。

第158回直木賞を受賞した門井慶喜の小説を映画化したヒューマンドラマ映画。宮沢賢治とその父・政次郎との家族、親子の絆を描いている。

ストーリーは宮沢賢治が生まれてから亡くなるまでのエピソードを父親である政次郎の視点を中心に展開。賢治の幼少期の赤痢での入院や本との出会い、高校進学など、基本的には賢治の出来事に政次郎や妹のトシが絡む。

中盤からも、法華信仰やトシの死去、詩人としての活動や実家に戻っての質屋の手伝いの様子など、宮沢賢治自伝をやりながら、役所広司が演じる政次郎と菅田将暉が演じる賢治の親子のエピソードを見せる。
役所広司が演じる政次郎は基本的には明治生まれの頑固な父親ながら、自分が父親にされてきた一方的な親子のやり取りではなく、自分は新しい、賢治の最大の理解者という立ち位置にいる。
それは時として度を超えてしまい、
まさしく親バカと言えよう。
けど、そこに可愛げがあり、妙にほっこりする。

そんな父親に対して菅田将暉が演じる息子の賢治は菅田将暉らしく飄々とした感じながら、
突如の法華信仰や文学への傾倒など明治生まれの父親からしたら掴みどころがない息子。
そこはひょっとしたらそのまんま役所広司と菅田将暉の関係のようにも見えなくないが、
絶妙に親子愛を見せる。

明治、大正、戦前昭和の日本を暗めに時に美しい映像で描くあたりは成島出監督ならでは。

それと本作は、
宮沢賢治の、死後に爆発的に有名になりながらも生前はそうとも言えなかった様子に歯がゆさがある。
特に終盤に有名な「雨ニモマケズ」が出てくる当たりは多くの日本人ならウルッとくる作りになっている。

宮沢賢治の父・政次郎を描きながらの宮沢賢治物語。見て損はない。

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