記事一覧
札幌高裁・同性婚判決(2024.3.14)
札幌高裁判決(札幌高判令和6年3月14日)についてのメモ。 判決文はこちらから:[PDF] https://www.call4.jp/file/pdf/202403/04097ed5db19a01e5f19d1c99857d8be.pdf …
2010年以降の一般法理学/法概念論の重要著作
あれがないじゃないか!と思った人は自分で勝手に読もうな。
単独の著作Shapiro, S. (2011). Legality. HUP.
→ 法の計画理論。
Marmor, A. (2011). Philosophy of Law. Princeton UP.
→ 森村進監訳『現代法哲学入門』(勁草書房、2023年)
Gardner, J. (2012). Law as a Leap of
札幌高裁・同性婚判決(2024.3.14)
札幌高裁判決(札幌高判令和6年3月14日)についてのメモ。
判決文はこちらから:[PDF] https://www.call4.jp/file/pdf/202403/04097ed5db19a01e5f19d1c99857d8be.pdf
① 判決の特徴
本判決によると、憲法24条1項は「人と人との間の婚姻の自由を定めたものであって、同性間の婚姻についても、同程度に保障する趣旨(19頁、強
総特集=監視をめぐる法と倫理
Ball, K., Haggerty, K., & Lyon, D. (Eds.). (2012). Routledge Handbook of Surveillance Studies. Routledge. は、やや古くなったが、このあたりの問題群を一望するのに便利だと思う。
ほか、いろいろ。こういう分野はあまり古いのは使いにくいので、基本的にはだいたいここ数年ぐらいのもの。タイトルと目次を
科学的助言と認識的不正義
科学技術の哲学と歴史の国際連合 (IUHPST) が2年に1回出している、科学技術の哲学と歴史・論文賞を、ケンブリッジの院生の Ahmad Elabbar 氏の 「アセスメントのキュレーター的見方と科学的助言の倫理:意思決定の自律から分配的認識的正義へ(The curatorial view of assessment and the ethics of scientific advice: Be
もっとみるゴッホとトマトスープ
これ関係はもう報道すんな!と不愉快に思ってらっしゃる方も多そうですが、例の、名画にスープをかけたりする抗議活動について、しっかりした分析がそこそこ出てきた。
「ゴッホを汚すのが気候によいのか?」L’Obs, 10/29, 2022.
なんらかの社会的な抗議活動の目的で美術品を攻撃するのは昔からあるやり方で、いや芸術作品を傷つけてどうするんだ、悪い企業とかを直接批判したらどうなのか、という反発が
現代イタリア法哲学と恐怖新聞
1. イタリア法哲学の存在感
Torben Spaak & Patricia Mindus, eds., 𝙏𝙝𝙚 𝘾𝙖𝙢𝙗𝙧𝙞𝙙𝙜𝙚 𝘾𝙤𝙢𝙥𝙖𝙣𝙞𝙤𝙣 𝙩𝙤 𝙇𝙚𝙜𝙖𝙡 𝙋𝙤𝙨𝙞𝙩𝙞𝙫𝙞𝙨𝙢, CUP, 2021 という、法実証主義の辞書みたいな論文集はいろんな国の法実証主義の議論状況をまとめていて有益なんですが、その
Cultural Typhoon 2022
[English follows Japanese.]
先週末はカルチュラル・スタディーズの学会であるカルチュラル・タイフーンに出ていました。
カルチュラル・タイフーンは興味は持っていたんですが、なんとなく日程が合わなかったりして今回が初めてでした。フェミニズム特集ということでテーマ的にもちょうどよかったです。どれも興味深い発表でしたが、カルチュラル・スタディーズならではの、理論だけではなく具
砂漠の赤信号
Noam Gur (2012) "Actions, Attitudes, and the Obligation to Obey the Law," 𝘛𝘩𝘦 𝘑𝘰𝘶𝘳𝘯𝘢𝘭 𝘰𝘧 𝘗𝘰𝘭𝘪𝘵𝘪𝘤𝘢𝘭 𝘗𝘩𝘪𝘭𝘰𝘴𝘰𝘱𝘩𝘺 21(3)
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/jopp.
2022.8.2「企業法務とテクノロジー」シンポジウム
というシンポジウムを聞いてきました。内容が面白かったのと、なんだか高そうなノートをもらったこともあり、感想を書いておこうかと思います。全体のテーマはいわゆるリーガルテックで、AIを使って契約書作成のアシストをするような技術が知られていますね。今回主催のリーガルフォース株式会社はそれの第一人者であるようです。そういうところになぜ出ているんだといわれてもあれですが、まあ、しばらくやっているナッジとか
もっとみるシャンタル・アケルマン映画祭@名古屋シネマテーク(2022年7月)
名古屋シネマテークでのシャンタル・アケルマン映画祭での5本、完走しました。アケルマンはベルギー出身の孤高の映画監督ですが、誰?という方はまず、卒業制作の短編「街をぶっとばせ」を観てください。12分でセリフなしです。なかなかに不穏な雰囲気です。
細部の微細な動きを長回しでとことん撮り切るあたり、ロブ=グリエなどとはまた違ったヌーヴォー・ロマン映画という感じ。海に行くにはまだ遠い、ベルギーのクレプス
ジュリア・デュクルノー監督「チタン」(仏、2021年)
デュクルノー監督「チタン」は昨年のカンヌ映画祭パルム・ドール受賞作だが、とびっきりの傑作でもないものの、パルム・ドールの水準としてはまあまあという感じ。最近のカンヌは妙に社会派ぶったものが続いていたので、今回のようにまるっきりのめちゃくちゃな映画が選ばれるのもよいだろう。レオス・カラックス監督「アネット」はよせばいいのにミュージカルの真似事みたいなことをしたが、そんなのははっきり吹っ飛ばした。一点
もっとみる