うつは「一生、治らない」のか？（その３）―うつに「名医」はいるのか

2020年3月20日 12:44

① 「必殺」治療法はあるのか

前回では「貴方の内心にあった根本的な矛盾と葛藤を解決しない限り、うつからは復帰できない」と書いた。

では、どうやったら「内心の矛盾と葛藤を解決する」なんてことができるのだろうか。

うつに対しては、投薬療法、認知行動療法、精神療法、リワークプログラムなど、様々な治療法が提唱され実行されている。あなたはどれを選べばいいのだろうか。

こんなつらい病気とは、さっさとおさらばしたい。出来れば一番早く治り、一番有効で確実な治療法はどれなのか。それを知りたいと思うのは当然だ。

だが実はその答えは決まっていない。

本編サイトでも書いたが、うつの原因は人によってさまざまだ。万人に共通して等しく有効な「必殺」治療法などは存在しない。言い換えれば、その人やその原因のそれぞれに応じて、それぞれ適切な治療法があると言うべきだろう。

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これは考えてみたら当然のことだ。あなたは医学者でも研究者でもない。万人に共通して等しく有効な「必殺」治療法などを突き止める必要はない。あなたのうつさえ治れば、あなたはそれで十分なのだ。うつの治療は、謂わば「一人一殺」でよいのだ。

ではあなたにとって適切な治療法とは、どうやって探したらいいのだろうか。

それはあなた自身が自分で探すことになる。あなた自身が納得できると思える治療法。それがあなたにとって適切な治療法なのだ。

ここで重要なのは、Aさんにとって有効だった治療法が、必ずしもBさんにも奏功するとは限らないということだ。

だから「他の人は、この治療法で治っているのに、自分はどうして治らないのか」などと落ち込む必要はない。それはあなたにとって適切な治療法ではなかった、というだけのことだ。

むしろそれが分かっただけでも前進なのだ。別な治療法を探せば良いと言うことが分かったのだから。

つまりうつの場合、「名医」は人それぞれなのだ。本編サイトにも書いたとおり、いくらネットに載っていようとも、他人から勧められようとも、Aさんにとっての「名医」が、必ずしもBさんにとっても「名医」だとは限らない。

ではその「名医」が、あなたにとっても「名医」であるのかどうか。その判断基準は、ただ一つ。あなた自身の納得感、それしか判断基準はない。

これは治療法だけではなく、うつの「原因」にも、治るまでの「期間」についても言えることだ。

うつ発症の原因について「他の人は、こんなことではうつになんかなっていないのに、自分はどうしてこんなことでうつになったのか」などと落ち込む必要はない。

また、思ったように治らず先の見通しが見えないからと言って「他の人は、もっと早く治っているのに、自分はどうして未だ治らないのか」などと焦らなくてもよい。

要は、あなたには、あなたの「治り方」があるということなのだ。

うつは個人の気力を直接破壊する病気だ。だから「自分にとって適切な治療法探し」などは、ある程度の気力が回復してきてからのことになるだろう。

だが「自分にとって適切な治療法」を探しているうちに、落ち込んで気力を喪失してしまっては、本末転倒だ。だから焦ることはない。

これはと思える納得感。暫くは試行錯誤が続くかもしれないが、その納得感を自分で見つけることこそが、その後の鍵となるのだ。

下記は本編サイトに載せたマンガである。キャラは少し修正してあるが、皆様のご参考までにお目にかける。

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マンガに描いたこの問答の後、投薬療法に加えて、精神療法とリワークプログラムと、二つの治療法を自力で追加した。いずれも候補を各々三つ選定し、合計六ヶ所の候補を全部訪問して医療相談してから決めた。

従って一時期は、投薬療法・精神療法・リワークの三つの治療法を併用した。なおリワークはプログラム修了によって卒業し、投薬療法もその後まもなく止めた。結果、その後の治療法は精神療法一つに絞った。

詳しくは本編サイトに書いたので、合わせてご参照願いたい。

⑥ この記事に関連する本編サイトのページ

●2)うつの「名医」は人それぞれ（うつは千差万別、ひとそれぞれ）
このページの「うつの始まり」の項目と、末尾の「『名医』」はひとそれぞれ」の項目をご覧下さい。

●3)うつの「治療法選び」（すごろく図⑧～⑫）
このページ末尾の「【補足】治療法選び（著者の場合）」の項目をご覧下さい。

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