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舞台『BARON』 Actors Tribe Zipang
女優としてだけでなく、昨今は演出家としても活躍している鳳恵弥が主宰するActors Tribe Zipangの新作公演は、実際に起きたペットの医療過誤・詐欺事件を元にした物語。これまでも鳳は主演を務める『こと〜築地鮨物語〜』や『シーボルト父子伝』で家族の絆や愛情を描き続けてきたが、本作も飼い犬を失った家族と、それを囲む仲間達の絆を描き出す作品だった。
鳳が演じたのは主人公ならぬ主人犬のバロン。こ
舞台『シャボン玉の欠片を眺めて』TOKYOハンバーグ合同企画Vol.5+グランツ@下北沢・駅前劇場
このところなるべく足を運ぶようにしているTOKYOハンバーグ。主宰であり座付作家の大西弘記は、現代社会のすき間に潜り込んでしまいそうな。それでいて決して無視できない事柄をゆっくり掘り起こして物語へと紡ぎ上げる。孤独死、不妊治療、里親・養子縁組、孤独死等々、エキセントリックに採り上げることもできる話題を、あくまでもゆっくり触り、見つめ直す。ここしばらく数作品を拝見した結果、そんな印象にまとまりつつあ
もっとみるミュージカル『バンズ・ヴィジット 迷子の警察音楽隊』@日生劇場
元々はイスラエル・フランス・アメリカ合作のコメディ映画。それが舞台化されてブロードウェイに進出して2018年のトニー賞を10部門独占した話題作。実はとあるレコーディングの同行取材で2018年4月にNYを訪れた際、評判が高く在NYのエンジニアにも推薦されたので、ブロードウェイ版を観ていたのだった。その時はまさかホリプロが資本参加しているなどとは知らなかったので、日本での上演が発表されたのには結構驚か
もっとみる『ライカムで待っとく』@KAAT神奈川芸術劇場
衛星放送の沖縄音楽チャンネル向け選曲の仕事をきっかけに、沖縄を気にするようになってからずいぶんになる。「音楽の背後には社会や時代が横たわっている」と思っているので、いつしか沖縄戦や基地問題などについて興味が深まり、機会がある度に関連本を読んだり、ニュースに目を通すなどしてきた。
沖縄市生まれの劇作家・兼島拓也が、長塚圭史が芸術監督を務めるKAAT神奈川芸術劇場に書き下ろした『ライカムで待っと
ミュージカル『東京ラブストーリー』@東京建物Brillia HALL (東京・池袋)
『東京ラブストーリー』といえば、柴門ふみによる原作漫画も、織田裕二と鈴木保奈美のテレビドラマもリアルタイムに体験してきた世代だけに、今回のミュージカル版に対してはあの長い恋愛物語をどのようにして2時間少しの舞台作品に、さらにミュージカル仕立てにするのか、期待と不安が半々というのが正直な気持ちだった。結果としてほぼ原作通りに物語を綴って見せたものの、全体を通して駆け足な印象は拭えず、漫画で言うならバ
もっとみる舞台『DOWN TOWN STORY』@赤坂RED/THEATER
テレビドラマや映画で多くの脚本を手がけている羽原大介が、NHK連続テレビ小説「ちむどんどん」という大仕事を終えて、ライフワークだという演劇の現場に戻ってきた。それ以前の昭和芸能舎は劇団の形だったのが、今回旗揚げ公演を行った羽原組は公演の度にキャストを集めるプロデュースユニットの形で、今回のキャストもしるさ、浦島三太朗、田久保宗稔などの旧劇団員や稲村梓のように劇団作品の常連がいる一方、オーディション
もっとみる舞台『ガマ』@東京芸術劇場シアターイースト
劇団チョコレートケーキ、2022年夏の新作は、太平洋戦争末期に起こった沖縄戦を取り上げた『ガマ』。ガマというのは沖縄本島南部に数多く点在する洞窟で、その数は2000ともいわれている。戦時中は日本軍の陣地や傷病兵を収容する病院壕として、さらに民間人の避難に使われたが、物語は海軍司令部壕があった首里から少し北に行ったところにあるガマを舞台に進められる。
脚本の古川は修学旅行で訪れたガマでの平和学習で
舞台『シーボルト父子伝 〜蒼い目のサムライ〜』@築地本願寺ブディストホール
幕末から明治初期にかけて、日本に諸外国の知識をもたらした外国人の1人、フィリップ・フランツ・フォン・シーボルト(通称 大シーボルト)。世に言う“シーボルト事件”で知られるがその後に国外追放を解かれ、長男アレキサンデルを連れて再来日。さらに次男のハインリッヒも来日して、近代日本の礎になる仕事をいくつも遺した。
そんなシーボルト父子の活躍を舞台化したこの作品。早いものでもう3度目の再演となるが、今回
舞台『うっすら浮かぶ白い月の下で』 TOKYOハンバーグProduce Vol.33 @サンモールスタジオ
濃厚な人間ドラマを得意とするTOKYOハンバーグを主宰する大西弘記が、団体を旗揚げした16年前に書いたのが本作。つまり劇作家としての処女作だという。登場する6人の男女は全員が自殺願望を抱き、富士の樹海で練炭自殺を図るために車に乗り込んでくる。自殺の道行きを企画者で元は医者だったという“せんせい”が参加者たちが乗り込む度に“死”への覚悟を問い質すと、全員が当然覚悟の上だと語気を強める。しかし話が進む
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