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こども時代の話

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あのころのおもいで話☺️
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小芋の揚げたん【#夜更けのおつまみ】

小芋の揚げたん【#夜更けのおつまみ】

関西の料理は名前が可愛い。なんでも最後に「たん」が付いて、語感が良いしゆるキャラっぽい。焼いたん、炊いたん、和えたん、揚げたん。調理方がそのまま名前に活かされるので、素材そのまんまの料理も立派な一品としてメニューに載る。

とりわけ私の心を掴んで離さないのは「小芋の揚げたん」。と言ってももう何年も食べていない。最後に食べたのは中学生の頃だっただろうか?

子どもの頃はよく外食に連れて行ってもらった

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『蛙の恩返し』

『蛙の恩返し』

朝食を食べてくつろいでいると、家族がやって来て嬉しそうに「お庭に蛙ちゃんが来てるよ!」と教えてくれた。慌てて一階の和室に向かい、窓から覗くと、いた。淡いグリーンの大きな蛙が。

想像していたよりずっと立派だった。ぽっちりと指先に乗る大きさかと思ったら、なんのなんの、片手にどっしりのしかかりそうな重量級が木の枝に停泊している。

「すごいねぇ、かわいいねぇ」
「綺麗な色してはるねぇ」
「ほんまやねぇ

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変わる変わるよ音楽性は変わる 〜ショパンを弾いていた少女が大塚愛経由でDesperadoに辿り着くまで〜

変わる変わるよ音楽性は変わる 〜ショパンを弾いていた少女が大塚愛経由でDesperadoに辿り着くまで〜

音楽が好きな人ならきっと、聴いた途端センチメンタルスイッチが入る曲ってあると思うんだけど、私にとってのそれはイーグルスの”Desperado”だ。

1973年の発売当時に相当売れた曲みたいなので、私にとっての、というよりは全世界共通のセンチメンタルスイッチと言えるかもしれない。まあ、みんながみんなセンチメンタルな気持ちで聴いているのかどうかはわからないけど、少なくとも私はめちゃくちゃ胸が熱くなる

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はじめてのパスポート、はじめての原宿 〜中学生と証明写真〜

はじめてのパスポート、はじめての原宿 〜中学生と証明写真〜

はじめてパスポートを申請したのは中学生の時だった。申請には顔写真が必要ということで、スーパーの証明写真機で撮影をすべく自転車を漕いで出掛けていった。近くのスーパーに行く時ほど自転車のペダルの漕ぎ心地が軽快なことってないと思うのだがなぜだろう。単純に近いからかな。走行時間10分足らず、なんとなくソワソワドギマギしながら風を切って走った。ドギマギしちゃうお年頃です。

確か証明写真機自体その時が初めて

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『ザリ子の旅』のこと 〜夏休みのおもいで〜

『ザリ子の旅』のこと 〜夏休みのおもいで〜

夏休みの出来事で最も思い出深いのは『ザリ子の旅』のことだ。小1の夏休み、クラスで飼っていたザリガニのザリ子を預かったことから全ては始まった。

当時の私は大変に気の良い子供だったらしい。誰もやりたがらない空気の中、なぜか率先して夏休みのザリガニの世話を引き受けることにした。1学期の最終日にザリ子入りの水槽を自宅まで持ち帰り、庭のど真ん中に置くと、快適な住まいづくりのために水槽に砂利を入れてみたり水

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才能のピークは小学校三年生

才能のピークは小学校三年生

私の文才のピークは小学校三年生だった。それからの才能指数折れ線グラフは下降の一途を辿っており、三十歳になった今も、「へ」の字山のふもとから、振り返って頂上を見上げている構図だ。山頂から小石でも転がそうものなら、ゴロゴロと音を立ててこの二〇十九年まで転がってくるだろう。

小学校三年生のある日、家族で団らんしていると「一人一つずつ小説を書こう!」というノリになった。今思うとなかなか小洒落たノリである

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食べ道楽 | 初恋と子ども時代とチョコレート

食べ道楽 | 初恋と子ども時代とチョコレート

バレンタインデーって、恋する女の子のための一日らしい。そうやって人ごとみたいに思うくらいにはすっかり俗世と離れてしまった。もはや尼の域である。もしくは修道女である。私は特に“ゴッド"に自分の人生を捧げるつもりもないのに、気づけば修行の道を邁進していた。もしくは悟りを拓かんとしているのか?

しかしながら、こんな恋とはご無沙汰の私にも、甘酸っぱい思い出の一つや二つあるのだよ、ワトソン君。

小学校二

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音楽と私|きらきら星

音楽と私|きらきら星

小学生だか中学生のとき、音楽高校でピアノのレッスンが受けられる企画があって、私はなんとなく興味があって参加した。当時の私は個人のピアノ教室で一番上手くて、大人も抜かしていつも発表会ではトリだった。もちろん毎日必死に練習して、厳しいレッスンにも堪え、相応の努力はしていたけど、それでもチヤホヤしてもらえるのは嬉しかったし、 言うなれば天狗になっていた。

音楽高校でのレッスン当日、小さなピアノ室には私

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