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前向きな遺言のように
わたしは、3日後に予定帝王切開での出産を控えている。お腹の中では、ふたりの新しい小さな命がもぞもぞと窮屈そうにうごめいて、わたしの肋骨や膀胱を遠慮なく圧迫する。
ふたり?
そう、双子なのだ。
今わたしがこれを書いているのは、病院のベッドの上。
本来一人用である子宮という席に、二人が居座るわけだから、身体としては想定外の負担なのだろう。妊娠32週で切迫早産のため管理入院となった。多胎妊娠である以
特製のなにかをきみに
20180516
遊び疲れて眠るこどもを後ろに乗せて、家に向かって車を運転していると、空き地や田畑にかこまれてズドンと建つ大きなカフェレストラン、その駐車場に建つこれまた大きな看板が見えてきた。ここは昔はとてもおいしくて安い和食のお店で、大学生のときはよく友達とランチに来たものだ。そこがつぶれて、安っぽくてそのとおりに安いチェーンのカフェになってしまい、それからは行っていない。
看板には880円
まつげの橋にかかるまつげ
久しぶりのぽかぽかとした冬の日差しがうれしくて、掃除機や夕ご飯の支度(豚汁)をしてから、ようしと外へ出る。いつもより一段階薄いコートを自分も娘もまとって。娘は庭の砂や草を触るのがうれしそうで一時間も庭にいた。
途中でメール便が届き、なにも注文した覚えはないなあと思って見てみると、使っている浄水器のアンケートハガキに希望した抽選プレゼントが当たっていた。コウケンテツさんのこどもをテーマにした本だ。嬉
長女、一歳三ヶ月の冬
断乳が大変とか二歳になってもまだおっぱいがやめられないとか、母乳のおわりについては苦労話ばかりよく見聞きするので、きっと大変なんだろう…と勝手に思っていた。
が、その予想は大外れだった。うちの娘は、美しい歌のおしまいの、自然なフェードアウトのごとく、すうっと静かに離れていった。母乳を飲むという行為から。
生まれてからずっと、欲しいと言われるだけいつでもどれだけでも与え続けたから、もう十二分に満足し
長女、一歳二ヶ月のもちもち
親であるわたしと夫が、今になってようやく、七ヶ月前後の娘がいかにふっくらと、はちきれんばかりの身体つきだったか、しみじみわかるようになった。当時は出会う人や病院で、ほとんどの人は娘を見て『どうしたの?』『どうしたらこんなにぷくぷくになるの?』と笑いながら言われたものだ。まだほとんど母乳だけで栄養をとっていたし、月齢的にも歩いたりはできないので、飲んだ母乳がそのまま肉体を成長させていた頃だ。だからこ
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