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旅のこと(ベトナム以外)

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今あるのは、トルコ、ウガンダ、マダガスカル、カメルーン、ドイツ、フィンランド、イギリス、京都あたり。
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旅先で服を買うということ━━刺繍のブラウス in 2010年ブダペスト/2023年ハノイ

旅先で服を買うということ━━刺繍のブラウス in 2010年ブダペスト/2023年ハノイ

気づけば13年間、一軍として着ていた服がある。ハンガリーの首都ブダペストの市場の2階で買った、刺繍のブラウスだ。

それは女友達と2人で行った大学の卒業旅行で、私たちははじめて見る東欧のデザインに、はしゃいでいた。少しずつ形と色の異なるブラウスに、一つひとつ違う花や葉の刺繍。

さんざん迷って、紫色の布地に紫色の花と黄緑の葉のものと、水色の布地に白い花と青い葉の刺繍のものの2枚を選んだ。

ブラウ

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トルコ、スウェーデンから海士町まで、人生に残る10の海辺ーーいつか海の見える街で

トルコ、スウェーデンから海士町まで、人生に残る10の海辺ーーいつか海の見える街で

師走の慌しさの狭間に、同僚たちと集まった半日の休み。

曇り空、立ち寄った葉山美術館の先に、海が見えた。

少し久しぶりの海だからだろうか。最近ばたばたしていたからだろうか。わぁと心が開いて、駆け出したくなるような気持ちになった。

一番若いマイペースな同僚を先頭に、美術館より先に海を見に行った。とりとめのない話をしながら。

いい海で、いい時間だった。

海を前にすると、心が動きやすくなる気がす

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おしゃべりな引越し屋さん──フィリピンのアナコンダ、本気の缶切りとインドの野良犬

おしゃべりな引越し屋さん──フィリピンのアナコンダ、本気の缶切りとインドの野良犬

「お宅の近くにいるはずなんですけど、建物が見つからなくて……」

そう電話を受けて、家の前の道にでると、スーツ姿の白髪の男性が、家の反対方向に向かって歩いていた。

「あ、後ろです」

「あぁ、そっちでしたか、いやいや、すみません」

「いえ、このあたり、わかりにくいですよね」

引越しの下見。てっきり引越し屋さんスタイルの若い人が来るのかと思っていた。

海外引越しの下見はベテランの仕事なのだろ

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アフリカ、ヨーロッパから茅ヶ崎まで、人生に残る10の窓辺

アフリカ、ヨーロッパから茅ヶ崎まで、人生に残る10の窓辺



1 マダガスカル・アンタナナリボ

絹織物業を営む穏やかな夫婦の家。人生で一番空と緑が鮮やかだった窓辺。

2 東京・岡本太郎美術館

「自分の中に毒を持て」。不思議な像と植物がまざる庭を見渡す窓辺。

3 オランダ・ユトレヒト

大好きな装丁家であり、ミッフィーの生みの親のデイック・ブルーナ。彼が暮らした街のデザイン性の高い窓辺。

4 イギリス・マンチェスター

さすがUKロックの聖地、窓

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大人の確信と、ミコノス島──2人の小説家志望の人に会って、村上春樹のエッセイを読み返した話

大人の確信と、ミコノス島──2人の小説家志望の人に会って、村上春樹のエッセイを読み返した話

どういうわけか、今週は本気で小説家をめざしている人に、2人も会った。

週末のコーヒー屋と、平日朝のコワーキングスペース。別々の場所の関係のない2人だ。これまでもそういう人に会ったことがないわけではないけれど、今週の2人はレベルが違う。かなり本気だ。

今の時代、小説家になるには、SNSで先にバズるか、賞をとるからしい。自分の書きたいものを書きたいからと、2人とも作品を書き上げ、賞に応募しているの

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居心地のよい、居心地わるさ──京都の銭湯⇄トルコのハマムにて

居心地のよい、居心地わるさ──京都の銭湯⇄トルコのハマムにて

銭湯にはよく行くけれど、番台が残っているところは、はじめてだった。

男女別々の入口をはいると、すぐ脱衣所。縦長の空間で、おばあさんが、服をゆっくりと着ている。

男女の脱衣所の境にある、番台の真ん中にぺろりと垂れた布越しに、男湯からおじさんの手がでてきて、ぎょっとする。

「450円です」

なんだか心許ないけれど、番台とはおそらくこういうものなのだ。

バスタオルはレンタルしようと思っていたけ

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誰かと月を見ること──高円寺の天窓とケニアの海辺から

誰かと月を見ること──高円寺の天窓とケニアの海辺から

「あ、月がきれいですよ」

午後10時。コワーキングスペースから帰ろうとすると、そう声をかけられた。

「え、どこですか?」

「そこです。あれ、そっちからは見えないのかな」

指をさす先には、真っ暗な空しか見えない。扉の前から引き返して、彼女のうしろにまわる。私より少し背の低い彼女の目線を追うと、天窓の先に、真ん丸の月が光っていた。

「あ、見えた! いい月!」

「え、どこどこ」

少し離れた

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ピクニックするように、ものを売って生きていきたい

ピクニックするように、ものを売って生きていきたい

今週末は、高円寺フェスという高円寺の街をあげたお祭りです。
みうらじゅんさんや大槻ケンジさんといった高円寺ゆかりの人とトークショーと、駅前広場での「ゆるキャラプロレス」が目玉のこのお祭り。

Salmons(大学時代からゆるくやっている3人組ユニット)も、アフリカの国々の布を売るべく、街の一角で開催されるマルシェに出店しました。

布や現地の写真も並べて、朝11時には準備万端。

「日本のインド」

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ウガンダ名物「ロレックス」をつくってみた

ウガンダ名物「ロレックス」をつくってみた

在宅になって、「料理して、食べる」ことが、一大アトラクションになっています。

以前書いた世界のごはんづくりも、よりアトラクション度が上がるので、つづけています。

今日はウガンダで食べた「ロレックス」をつくりました。オムレツをチャパティで巻いたもので、「egg roll」をもじって「ロレックス」と呼ばれているファーストフードです。

レシピは渋谷にある熱帯酒場Los Barbadosさんから。

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ナイル川沿いの線路を歩く

ナイル川沿いの線路を歩く

アフリカを旅すると、旅の期間中に、だいたいいつもなぜか「のんびりよく歩く日」というのが1日あって、その日がとても好きだったりします。
(それがアフリカだからなのか、私がいつも地方の都市や村に住んでいる人にお世話になる旅をアフリカでしがちだからかは、なぞですが)

タンザニアの村でキャベツを買って、帰ってきただけの日。
カメルーンの村で、友人の職場まで歩いて行って、帰ってきた日。
ケニアで年越し

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台湾、南仏、ウガンダも…お家で世界妄想食めぐり

台湾、南仏、ウガンダも…お家で世界妄想食めぐり

まだしばらくつづきそうなコロナの影響。
次に海外に旅できるのって、いつなんだろう…?

そんなことをぼんやり思いながら、家でおとなしく過ごしています。

旅に行けないかわりに、最近はいろんな国のごはんをつくっています。

台湾 餃子三昧の旅台湾には朝からやっている水餃子の店があるらしい。
そう聞いて、餃子好きとして、今年は台湾三食全部餃子の旅をしたいと思っていました。

ということで、行けない

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世界の書店から(1)【カメルーン:ジャーナリストと頼朝に遭遇】

世界の書店から(1)【カメルーン:ジャーナリストと頼朝に遭遇】

出版社に勤めはじめてから約5年、海外に行くとその国の本屋さんに行ってみるようになりました。撮っていた写真がたまってきたので、noteに少しずつ載せていこうかなと思います。

第1回目は、カメルーン。アフリカの西側、中央くらいにある国です。

多様な地形と気候帯がある国で、自然も人々の暮らしぶりや文化もさまざま。アフリカの多様な魅力がぎゅっと詰まっているということで、「ミニチュアオブアフリカ」の異名

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"結束"ってなんだろう。カンパラのモスクで考えたこと。

"結束"ってなんだろう。カンパラのモスクで考えたこと。

ウガンダの首都カンパラの丘の上には、ガダフィ・モスクというモスクがあります。

あのニュースでよく聞くリビアのガダフィ大佐の寄付のもと、建てられたモスクなのです。

まだ新しく、建てられて10年程。サハラ砂漠以南で最大のモスクなのだとか。
たしかに立派で、なかの装飾も美しいモスクでした。

木枠はコンゴ民主共和国
ステンドグラスはローマ
絨毯はリビア
天井の模様とシャンデリアはモロッコ
(他の

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"憧れ"という入口から、国を知ることについて

"憧れ"という入口から、国を知ることについて

ミュンヘンで泊まったAirbnbは、その町に住むおばあさんの家を間借りするものでした。

お上品にカーディガンを羽織ったおばあさんに案内されたのは、赤で統一された屋根裏のかわいい部屋。

小さめのベッド、トールペイントがほどこさらたクローゼット、物語のおばあちゃんが座っていそうな揺り椅子。

子どものころに見た、アニメの『ハイジ』や絵本の『3匹の子熊』の世界のようです。

そう、そして、こ

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