- 運営しているクリエイター
記事一覧
42.小樽で「伊勢鮨」そしてなにを思うのか
新千歳から小樽行きの電車、快速エアポートに乗る。高い山がない。水をこぼしたような空と大地。針葉樹の野原が続く。地平線があるわけではなく、初夏というのに積雪のある峰々に囲まれていた。
小樽に近づくにつれて、左側の車窓からは平原と、こんもりした山がみえ、右側の車窓には海が広がる。波が高い、うねる。はてしない海原だ。島は見えない。日本海や太平洋とは全く違った寒々とした海。荒涼といっても良い。この向こう
37.京都御所から円山公園の一重白彼岸枝垂桜、祇園白川へ
桜が咲く頃は気もそぞろである。はやく仕事よ終われ、終われと心のどこかで思いながら、近所の桜の開花が気になって仕方がない。夜、布団の中で、風がゴーゴーと音をたてて吹き始めるや、月灯り、もわっと淡色の花がいま咲かんとするところを、想像してしまうのである。奈良の信貴山へ行った翌日、いそいそと京都へ出掛けていった。
河原町についたのは、昼過ぎていた。この日は、気温が3度。小雨が落ちて、湿度が高い。雨
36. さくら詣で。毘沙門天王の総本山 奈良の信貴山朝護孫子寺
私の高校時代の友に、パワースポット好きな子がいます。神社仏閣が好きなので、同行するうちにはや5年くらいーー。
なんといっても、社寺の荘厳な雰囲気は、日頃の穢れを払い、気持ちをあらたかにする。美しい草木を愛で、庭にぽつんと座っていると、ここがいつのどの時代なのか、錯覚してしまいそうなほどに、ぼんやりしてきます。そういうひとときがたまらなく好きなので、この日も御朱印を鞄の中へ入れて、いざ出発しました
35. 雲に近い山の畑。ワイナリー「奥出雲葡萄園」を訪問しました
好きな酒はなにか、と問われたら。ワイン、日本酒、ビールの順。うまいと思えば、しばらくはこれ1本やりというのがわたしの特徴なのかもしれない。
年齢を経てくると、料理とともに味わう酒が、やはり格別と思うようになった。
そういうことから、昨年末「ふるさと納税」で、ワインをお願いした。島根県雲南市の奥出雲葡萄園ワイン&チーズセット、というのがそれ。
杜のワイン赤。杜のワイン白。奥出雲葡萄園のぶどうジ
10. 物語の外と内を旅する贅沢なしあわせ
確かに、ぼんやりとしたところがあると思う。
「あなたは浮世離れしているところのある人だから」家人は、わたしのことを、こう比喩する。そういえば、付き合いはじめた頃から、隣のシートに座ってドライブしながら、別の時間と空間のなかに身を置いているようなことが、なかったとはいえない(笑)。
ただ。ここで書こうとしているのは、わたしの浮世離れの話しではない。
いつか読んだ物語と、いまを、行ったり来たりする
1. 七人だけが聴いた昭和初期のクラシック演奏会
ANAの機内アナウンスで本から目を離し、窓外をみると深青の海が横たわっていた。日差しが、波立つ絹の上に注がれて静寂を映している。
2020年。混沌とした焦燥感とともに、何をさしおいても手放したくないものを自覚した半年をいま振り返っていた。旅の活力が、わたしのこれからの方向性と、核心を教えてくれるような気もして、どうしても由布岳の里を訪れてみたかった。
同伴者は、日本の東西に別れて暮らし4