クララ

掌編(140字のファンタジー/朗読会用自由詩/エッセイetc)約500作を移植中 その…

クララ

掌編(140字のファンタジー/朗読会用自由詩/エッセイetc)約500作を移植中 そのうち長編も ガーデニング/お菓子作り/ドールハウス作り/ハーダンガー刺繍/グレン・グールド とにかく空想大好き 趣味のあれこれを物語に詰め込みたい主義 青は永遠のテーマ 米国在住

マガジン

  • 詩とか色々

    140字でも朗読会用でもないくくりの自由な詩。主に企画が中心になると思いますが、イベントならではの熱を感じていただければ!掌編も時には。

  • 短編

    ファンタジー要素の強いものをメインに書いています。ジャンルは色々。色の綺麗なもの、絵画的なもの。

  • Clara's memo

    日記やそれにちょっとした詩や短歌を組み合わせたもの、お知らせやメモなど

  • 青の朗読会

    いつか朗読会を開こうと、少しずつ書きためてきたもの。初期は心の話が多いのですが、最近はTwitterでの企画から恋愛詩なども増えています。100字未満のものから2000字強まで、句読点もあったりなかったり。自由気ままに、音楽のように流れていく言葉の美しさを追いかけていけたら。

  • 140字の空想世界

    色々な140字の世界があると思いますが、自分らしくファンタジーの世界を詰め込みました。おやすみ前にのぞいたら素敵な夢がみれるような、そんなお話を中心に。時々、切なさや寂しさもあふれますが、それもこれもみんな優しさになっていくといいなあと願っています。

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私は元々物作りが仕事です。けれど、作品の背景についての説明を書いたり、クライアントの話を聞いてそこに感じたものをわかりやすく例えたり(そこから作品へと変換させる)することも多く、言葉は常に近くて重要なものでした。

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【自由詩】矢車菊色に染まりたい〜企画:色のある風景〜

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矢車菊色の海
その単語を見たとき
思わずわあっと声がこぼれた

そんな海だったら行ってみたい
そんな海だったら人魚になってもいい

矢車菊という単語をそっと指でなぞる
正直言うと人魚姫は好きじゃない
だって女の子としては悲しすぎるもん

最後は風の精霊なんていう
人を超越した何かになった彼女は
本当の意味での幸せを掴んだのかもしれない

でも夢見る年頃の私たちには
やっぱり今が大事なわけで
だから

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【短編】この世界に唯ひとつのもの(下)

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 姉は柔らかくかぶりを振った。金色の後れ毛が木漏れ日に反射する。お人形などではない、もっともっと美しい。こんなにも豊かな表情で……。けれど姉はそっと目を伏せた。

「いいえ、メグ。そう簡単なことではないの。生きることはジョージには辛いことばかり。だから彼には、永遠のお茶会の中だけでも幸せでいてもらいたいの。そこでは何一つ欠けてはいけないのよ」
「……ジョージさんは今も?」
「でしょうね」
「……

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 青い瞳を潤ませ、甘い吐息をこぼすかのように姉は言葉を紡いだ。

「テーブルも椅子も、クロスも食器も、もちろんケーキやクッキーのレシピに茶葉の種類まで、すべてがとんでもなく素晴らしかったわ。たくさんの人たちが招かれたの。入れ替わり立ち替わり。ジョージはね、天使みたいに綺麗な人なのよ。彼のお茶会に行きたいって、みんな憧れるの」

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「ねえ、お姉さま、歪んだ愛って何? それはダメなものなの?」
「まあ、どうしたのメグ。どこでそんなことを……。でも、そうね。愛なんていうものはね、みんな歪んでいる。だからこの世界にあるものは、みんなそう呼ばれていいはずよ」
「みんな……」
「驚いた? でも本当なの。だけどおかしいのよね。……大概の歪みは許されてしまう。歪みではなくなるの」
「どうして?」
「みんなが求めるからよ。大多数が同じように

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【写真日記とお知らせ】菫の週末と「歪み愛」の短編について

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ぐんぐん葉っぱが成長し、花が見えなくなりそうな今日この頃の菫。どうにかマカロンも納得のいくものが焼けたので、急いで念願の〘菫のお茶会〙セッティング開始です。

まずは摘んできた菫を水に放ち、1.2枚撮ったところで突如、巨大な毛玉が眼前に! 片手で押し返したら花の後ろに、慌てて呼び戻したら花の横に。……これはもう、お昼寝まで待機ですね……。

さて、マカロンですが、形はそこそこ思うものに仕上がったも

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【詩】潮騒の部屋から君へ

【詩】潮騒の部屋から君へ

夏の家のベッドで
潮騒に満たされる朝、
僕は一人膝を抱えて考えた。

海の向こうにあるものを。
海の奥底にあるものを。
その場所にいる君のことを。

夢のようだねとパパは言ったよ。
幻みたいねとママは言ったよ。

だけどそうじゃない。
何が真実なのか、誰が知るというの。

僕は生きていて
君の鼓動を聞きながら
潮騒はいつも以上にざわめいて
夏の日の秘密は焼けつく日射しの向こう、
濃く深い陰の中に溶

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【140字/空想】ミッション コンプリート

【140字/空想】ミッション コンプリート

友人宅で綺麗な人形が僕を見ていた。

あら坊や、いつぶりかしら。
四百年程でしょうか、マダム。
口のきき方もよくなったわね。
お陰様で。

彼女は正真正銘のアンティーク。
僕は時の仲介人。

若気の至り黒歴史、失敗続きの初任務。
今度こそ交渉成立だ。
積年の思いを果たすべく
僕はとびきりの笑顔を披露した。

【詩】Would you like a cup of tea?

【詩】Would you like a cup of tea?

あなたの美しい白薔薇を
一枝私に分けてくれませんか?

私は彼女に願った。

ええ、もちろんです。
いいえ、もっともっとだわ。
一枝をあなたに、
一枝を私に、
一枝を世界に、
喜びをテーブルいっぱいに飾って
一緒にお茶を飲みましょう。

私は声を潜めて言った。

欲張りはどうかと。
はしたないと笑われてしまいます。

けれど彼女は弾けるように笑った。

いいのですよ。
生きているのですから、
そん

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【写真日記】NYの春とマカロンな今週

【写真日記】NYの春とマカロンな今週

いよいよ5月ですね。初夏!
昨日はいきなり27度なんて夏日で、
芽吹きの遅いのんびり屋の樫の木さえ
一気に緑に包まれたような感じです。

庭ではレンギョウやアシビが終わり、
リンゴが満開で、ハナミズキが咲き始め、
薔薇にもいっぱい蕾が並んでいます。

ボストン疲れがようやく抜けた土曜日、
散る前に急げ!と八重桜を見に大学へ行きました。
今年はなんだか少し白っぽいような気がします。
日照時間の関係で

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【エッセイ】小さなオルゴール〜青ブラ文学部〜

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1/24スケールのドールハウスキットにパーツとして入っているオルゴール。時には曲目も選ばせてくれたりで、どちらを買うか迷った時、その曲目が決め手になったりする。

しかしドールハウスには組み込まない。収まるべき場所は空間のまま、きちんと加工して仕上げ、オルゴールはデスク上へ。

英語では Music box 、でも私は日本語のオルゴールの方が好きだ。独自性が感じられるし、響きがいい。オルガンのイメ

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【140字/空想】今叶えられる僕の夢

【140字/空想】今叶えられる僕の夢

夜明けの気配が世界を包むとき、
僕らはそっと一歩を踏み出した。
揺らめく青の王国は
どこまでも透き通っている。
夢が叶うよ。
この青の中ではすべての夢が叶うんだ。
きみの言葉に僕は大きく息を吐き出した。
青の王国に永遠に閉じ込められて?
いいや、
幻のような扉の先にあるものを
僕らはもう知っている。

【散文】「刺さる」についてのあれこれ

【散文】「刺さる」についてのあれこれ

好きか嫌いか、刺さるか刺さらないか。
これはもう、賭けのようなものかもしれない。
あなたと私は違うから。当たり前だ。
当たり前、だからこそ難しい。
万人に刺さるものはきっとない。
だけど不特定多数に刺さるものはある。
極めて少数に刺さって、
その深さに感動悶絶するときだってあるだろう。

例えば、SNSのTLに流れてきた動画。
これを見れば猛烈にパンケーキが食べたくなる!
その見出しにふさわしいパ

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エッセイ|第32話 薔薇と月光、創作の原点を追う旅

エッセイ|第32話 薔薇と月光、創作の原点を追う旅

私は1/12スケールのドールハウス作りが趣味で、シャビーシック/シャンペトル・シャビーをテーマに色々と詰め込んでいる。

絵画もその一つ。大きさにはあまりこだわらない。気に入った額がある場合はそれに合わせて、ない場合は自分が見たいサイズで。

そんな風にあれこれ用意していたらかなりの数になった。部屋は6つだから全部は飾れない。しかし、名作を取っ替え引っ替えとか、美術館も真っ青の贅沢だ。

さらに最

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【詩】春の夢〜シロクマ文芸部〜

【詩】春の夢〜シロクマ文芸部〜

春の夢はまったりとした午後に

そのなだらかで艶かしい曲線を
そっと指先でなぞれば
甘く芳しい吐息に翻弄される

永遠の春は瞬きの合間なんだよ
本当の意味を知って初めて
僕らは常春を手に入れる

指折り数えた夜が遠くなって
集めた星屑がみんな溶けてしまったら
柔らかな光の中で
春はこの扉を開けるから

夢に夢を重ねて
指先に熱を灯して
色づく吐息に震えて

醒めない夢を心の奥に
めぐる季節の中で僕

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【物語:自由詩シリーズ】第15話 薔薇色の傘と雨だれ

【物語:自由詩シリーズ】第15話 薔薇色の傘と雨だれ

夏へ向かう雨は力を感じさせる。
全てを洗い流してしまってくれるかのような力。

薔薇色の傘を買ってあげようか。

思いがけない言葉に顔を上げれば
兄は窓の外をじっと見つめていた。

振り返る時間の中には
手放してしまいたいものだってたくさんある。
綺麗な横顔が痛みを堪えるかのように見えて
たまらず私は憎まれ口を叩いた。

傘なんてきっとささないわ。

振り返った兄が静かな眼差しを投げかける。

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