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【現代お笑い論】#001 誰もがM-1について語る時代に、より深くお笑いを楽しむには? 鈴木亘

【現代お笑い論】#001 誰もがM-1について語る時代に、より深くお笑いを楽しむには? 鈴木亘

※こちらのnoteは鈴木亘さんの不定期連載「現代お笑い論」の第一回です。現代ビジネスに掲載された原稿(https://gendai.media/articles/-/105145)に一部加筆したものです。

誰もがM-1について語る時代に、より深くお笑いを楽しむには?気鋭の研究者による鮮やかな論点の整理

数あるお笑い賞レースの中でも、M-1グランプリほどに議論を巻き起こすコンテストはない。そして

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「価値」と「価値共創」について

「価値」と「価値共創」について

 Naresh K. Malhotra による、S.L.VargoとR.F.Luschによる「サービス・ドミナント・ロジック」の視点からの「価値」と「価値共創」に関する短い、しかし基本的で重要な解説。

 以下は、

の冒頭に寄せられた、Malhotraによるintroductionより。

*の箇所は訳だけでは読み取れない部分として高広の解説として付け足してあります。

 マーケティングの観点か

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アートが中世工房へ回帰? —— クラフトとアートの行方

アートが中世工房へ回帰? —— クラフトとアートの行方

19世紀のイタリア王紀・マルゲリータがナポリで食べた「イタリア国旗にちなんだ、赤いトマト、白いモツァレラチーズ、そして緑のバジル」のピッツァを大変気に入ったために、そのタイプを「ピッツァ・マルゲリータ」と呼ぶようになったとのエピソードがあります。

しかし、これが真実かはかなり疑わしい、と指摘する諸説を上の記事は紹介しています。

歴史はもとより、さまざまな現象の記述、あるいはものごとの分類におい

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人間中心の意味を見つめ直した一年あまり

人間中心の意味を見つめ直した一年あまり

※本文章は、2021年10月末日にHCD-Net会員向けニュースレターに寄稿したHCDコラムの転載です。

前回、コラム執筆の機会をいただいてからあっという間に1年あまりが経っていました。その間、海外のデザインカンファレンスやコミュニティイベントにいくつか参加した中で感じたことは、以前にも増して「人間性への回帰」や「従前の価値観からの転換」、そして「多様な文化理解と倫理観」といったテーマが色濃く扱

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まず、まるごとaestheticに受けとめる。意味のイノベーション再訪。

まず、まるごとaestheticに受けとめる。意味のイノベーション再訪。

安西さん、こんにちは。ちょっとご心配をおかけしましたが、幸い明らかに以前よりも当該箇所はすっきりしています。ギリギリだったのかもしれませんが、ほんとにいいタイミングだったように思います。

さて、このnote、すごく興味深く拝読しました。

このnoteから1か月たってしまいましたが、ここでの論点はもちろん私も共有しています。ちょっと雑駁で、しかも冗長ですが、昨日(2021年9月8日にいったん脱稿

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紺野登の構想力日記#15

紺野登の構想力日記#15

デザイン〈の〉思考【3】デザインは100年かけてデザイン思考になった、というお話

◇ インダストリアルデザインの登場

いま経営とアート、デザインは次の三つの領域で考えねばならないと、このシリーズの冒頭(#13)で述べた。

 ① 芸術の領域
 ② 技術の領域
 ③ リベラル・アーツの領域

前回(#14)は、➀の「芸術の領域」での歴史を見てきた。今回は、②の「技術の領域」での経営とデザイン、ア

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「注文をまちがえる料理店」に思うこと

いま私が勝手に注目しているのが「注文をまちがえる料理店」です。

すでに知っている方も多いと思いますが、認知症の人が接客をする料理店です。認知症の方なので「注文をまちがえる」かもしれない、テヘペロ。ということなんですね。

「注文をまちがえるなんて、変なレストランだな」
きっとあなたはそう思うでしょう。

私たちのホールで働く従業員は、
みんな認知症の方々です。
ときどき注文をまちがえるかもしれな

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何のためのデザイン?[仮面ライダー][スーパー戦隊]変身スーツのちがい

何のためのデザイン?[仮面ライダー][スーパー戦隊]変身スーツのちがい

今回は変身スーツのデザインについてです。
仮面ライダーは改造人間という肉体改造から始まり、強化スーツを装着する形など変化を遂げていますが、デザインとしては一貫して肉体強化の造形となっています。フォームチェンジ(お色直し的な)は無数にあり、終盤に向けてデザイン変化と共に強さを増して行きます。

スーパー戦隊はフィギュアスケートの様な競技対してスーパー戦隊は1年を通してほぼ同じスーツを着用しています。

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リモート環境下でのデザインワークショップ実施のコツ:『レフトページ』の重要性

リモート環境下でのデザインワークショップ実施のコツ:『レフトページ』の重要性

リモート環境下での創発行為をどのように行うべきか?新型コロナウィルスの感染拡大を抑制するため4月16日に発令された緊急事態宣言が、多くの都道府県で今日解除されました。
そのことについては色々と思うことがありますがひとまずそれはまたの機会にして、約1ヶ月続いた緊急事態宣言の下で企業活動とみならず日々の生活活動にもわたって、それ以前と比べて大きな変化が起きています。
そのひとつが、様々な活動のオンライ

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イノベーションを生み出すための面倒だけど数少ない確実なやりかた(サービスデザインとジョブ理論との交差点)

※2017年11月29日に自社サイトのコラムに掲載した記事の再掲です。ここしばらく取り組んでいる「意味のデザイン」について自分自身の思考の経緯を振り返る中で、自分が過去に書いたものに改めて向き直しています。

イノベーションってなんなんだ?日本ではイノベーションが生まれづらい、といわれて久しいですが、そもそもイノベーションって何なんでしょう?

イノベーティブな製品やサービスを生み出したひとや企業

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企業にとって「デザイン」はどのように扱われるべきか?ーデザインを研究開発対象として捉えるコンセプト“デザイン R&D”ー

このところ、『企業においてデザインはどう扱われるべきか?』について考えています。

デザインは、従来(特に日本企業においては)製品やサービス、そして事業自体を構成する企業にとって、一連の活動のほんの一部を指していました。マイケル・ポーターが著書『競争優位の戦略』で提唱し、広く使われるようになった言葉を用いるなら、それは『バリュー・チェーン』におけるプロセスですらなく、「付加価値」のひとつのようにし

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ServDes. 2018 レポート3〜 「関係性」はデザインできるのか? 〜

ServDes. 2018 レポート3〜 「関係性」はデザインできるのか? 〜

みなさん、こんにちは。

今日は6月に参加してきた ServDes. 2018 in Milano(6月18日〜20日)レポートの第3弾です。第1弾ではカンファレンスの概要を、第2弾では(私が感じた)サービスデザイン周辺の最近の傾向や潮流をお伝えしました。

今回でレポートは最後になりますので、カンファレンス中に参加したワークショップの話を中心に少し踏み込んだ内容の記事を書いてみたいと思います。や

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Interaction20個人的雑感

Interaction20個人的雑感

世界最大規模のインタラクションデザインのコミュニティ2/5-7の3日間、イタリアのミラノで開催されたインタラクションデザインの世界最大規模の国際カンファレンスであるInteraction20に出席した。

実際には上記3日間のみならず、2/2から学生向けの教育プログラムやリーダーシップ向けワークショップが先行して開催され、1週間にわたりInteraction Weekとしてミラノの街に世界中からデ

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ジョイのボーイズクラブ|MITメディアラボ所長の辞任騒動をめぐる覚書 【若林恵】

ジョイのボーイズクラブ|MITメディアラボ所長の辞任騒動をめぐる覚書 【若林恵】

TEXT BY KEI WAKABAYASHI

【まえがき】

下記に掲載したテキストの骨子は、伊藤穰一さんがMITメディアラボ所長を退任した直後に書いたもので、どこかに出そうかどうしようか迷っているうちに思わぬ時間が経ってしまった。

騒動の顛末については、特に終盤になってからかなり熱心に追いかけていたので、新しい情報が出てくるたびにSNSで大騒ぎになるのをリアルタイムで、こういうと大変失礼だ

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