どいちゃん

アートライター:アート鑑賞が楽しくなる情報をまとめてます。あなたの鑑賞体験がより豊かに…

どいちゃん

アートライター:アート鑑賞が楽しくなる情報をまとめてます。あなたの鑑賞体験がより豊かになるお手伝いができたら幸いです。【最近はエヴァ考察を”父性と母性:そこからの自立”というテーマで進めてます!】 お仕事の連絡はこちら:doi.yosuke.work@gmail.com

マガジン

  • アートのお話

    アートに含まれるモチーフ、寓意を解説し、アート鑑賞をより楽しくする手立てになれば幸いです!

  • 【シン・エヴァンゲリオン考察】父性と母性:そこからの自立

    マガジンタイトルにあるように、新劇場版のエヴァンゲリオンは父性と母性がどのように人の成長に影響を与えるか描いている。碇ゲンドウは母性を知らずに育った。そんな父は子に対して自ら獲得するべき父性を放棄し同じ仕打ちをした。そして育った子、シンジは母性を知らず、そして父と対峙できず未成熟な少年として描かれる。

  • 《短編小説集》いまと生きるあなたへ

    過去や未来ではなく 今と共生し 幸せを掴む為にあがき続けている あなたへ贈るファンファーレ

記事一覧

固定された記事

【いまさら聞けない】美術館でのNG行為とマナー

 美術館へ足を運ぶ機会が少ない方にとって、美術館はハードルが高いとか、堅苦しい、難しそうといったイメージがあるのではないでしょうか。そんな中、話題の展示や興味深…

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あなたはどのアートを目指すのか?

 アーティストと言っても、その領域は多岐にわたる。世界で認識され高値で取引されるハイアートを目指す人。街のカフェに併設したギャラリーで売る人。はたまた、他人に見…

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絵画において、ファムファタルな女性は存在するのか?

 こちらの記事で本来のファムファタル像(=性的魅力を用いて男を破滅に追いやる女)に該当しない主題が多くあるのではないかと提示した。サロメは性的魅力でヨハネを誘惑…

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今日は作業しすぎて頭が痛い。さすがにやばい。記事は書けません。。。

印象派絵画のフェミニズム的解釈

 こちらの記事で、ファムファタル(運命の女)が世間に及ぼした影響を考察しているが、この考えに同調し制作していた集団として印象派が上げられると思う。19世紀中頃の…

ファムファタルのイメージが現代の私たちにもたらした事

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不便利主義のススメ:これからのアートはInconvensionismだ

 コンビニエンスストアは全国のあらゆる土地にあり、その言葉通り、人々に便利さを提供している。ふと小腹が減った深夜1時、衝動的に頂くカップラーメンはその欲求を満た…

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駄文日記:絵画と額縁の関係性について考える

 徒然なるままに、、、日曜美術館のクールベの特集を見ながら家族で意見が分かれた。額縁がその絵画を引き立たせている、いや、額縁はより簡素化された形であるべきでむし…

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虚構と現実の絵画:2つの世界が織りなす”真の現実”

 実際にはあり得ない虚構の世界を描写したシュルレアリスムの画家の絵を見たとき、あなたはどのような感情になりますか? ジョルジョ・デ・キリコ『赤い塔』1913年 「こ…

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セザンヌの親友でマネを評価した小説家:エミール・ゾラ

 こちらの記事で、マネのスキャンダラスな絵画『ナナ』を紹介しました。マネは『草上の昼食』で賛否を巻き起こした後にも、破廉恥な内容の絵画を作り続けたのです。 マネ…

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正義と悪の定義を問い続ける作品が面白い

マネの衝撃的絵画は『草上の昼食』だけではない!?:寓意だらけの『ナナ』

 エドゥアール・マネ『草上の昼食』1863年  19世紀後半、印象派に先駆け、当時の画壇に新しい風を巻き起こしたマネ。1863年に発表された『草上の昼食』は、その…

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世紀末美術をどう世界とつなげて解釈するか

『あやしい絵展』見逃した方はYouTubeで楽しもう!:怪しい妖しい奇しい世界を2チャンネルが解説

 緊急事態宣言下で、大規模商業施設から美術館まで多くのエンタメ空間が休業しております。国立近代美術館で開催中の『あやしい絵展』も例に漏れず、臨時休館中ですね。 …

旅を彩るアート:”海の京都を走るレストラン”京都丹後鉄道

 旅を彩るのは、観光地での絶景や土地の美味ばかりではありません。そこへ行くまでの移動時間も素敵な体験ですよね。見たことのない土地を乗り慣れない列車で過ごす時間も…

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知っているようで知らなかった!?:富嶽三十六景トリビア3選!

 日本のみならず、世界でその名を馳せたのが葛飾北斎。現在の日本国のメインビジュアルに採用されていたり、印象派に強く影響を与えたことで有名ですね。  今回はそんな…

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【いまさら聞けない】美術館でのNG行為とマナー

【いまさら聞けない】美術館でのNG行為とマナー

 美術館へ足を運ぶ機会が少ない方にとって、美術館はハードルが高いとか、堅苦しい、難しそうといったイメージがあるのではないでしょうか。そんな中、話題の展示や興味深い作品があったら、年に数回は訪れるかと思います。その際に抑えておきたい美術館でのNG行為やマナーを紹介したいと思います。美術玄人の方も以外知らなかった、なんて事があるかと思いますのでチェックしてみてください。

【なぜNG行為、マナーがある

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あなたはどのアートを目指すのか?

 アーティストと言っても、その領域は多岐にわたる。世界で認識され高値で取引されるハイアートを目指す人。街のカフェに併設したギャラリーで売る人。はたまた、他人に見られるのを目的にしていない人。これらは全く別物だ。これはアーティストに限った事ではなく、アートに関わる人、あるいは他の業種の人々にも共通するのではないだろうか。自分はどの層、どの領域でアート(仕事)を捉え、関わっていきたいか自己認識とすり合

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絵画において、ファムファタルな女性は存在するのか?

絵画において、ファムファタルな女性は存在するのか?

 こちらの記事で本来のファムファタル像(=性的魅力を用いて男を破滅に追いやる女)に該当しない主題が多くあるのではないかと提示した。サロメは性的魅力でヨハネを誘惑した記述はないし、ユディトは街を守る英雄的行動にその称賛の声が集まる。しかし、時代を経るにつれ彼女らのイメージは変容し、女性性のある行動、すなわに性的魅力で男を殺害へと追いやったように印象付けられ、今日まで続いている。では、絵画における真の

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今日は作業しすぎて頭が痛い。さすがにやばい。記事は書けません。。。

印象派絵画のフェミニズム的解釈

 こちらの記事で、ファムファタル(運命の女)が世間に及ぼした影響を考察しているが、この考えに同調し制作していた集団として印象派が上げられると思う。19世紀中頃の彼らの絵画に見られる、女性を鑑賞する対象として捉えた作品群は、僕にとって違和感を覚える。そんな作品を列挙し、書き留めておく。

ファムファタルのイメージが現代の私たちにもたらした事

ファムファタルのイメージが現代の私たちにもたらした事

 ”ファムファタル”は”運命の女”と訳され、そこから転じて「男をその性的魅力を用いて、破滅させる女」として認識されている。このイメージに大変違和感を感じたのは、私がモローの『出現』を見たときである。

ギュスターヴ・モロー『出現』1876年

 本作は少女サロメが聖ヨハネの幻影に対峙しているシーンである。サロメが、ファムファタルの代名詞として、多くの人がこのイメージを取り上げる。しかし、本作を観察

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不便利主義のススメ:これからのアートはInconvensionismだ

不便利主義のススメ:これからのアートはInconvensionismだ

 コンビニエンスストアは全国のあらゆる土地にあり、その言葉通り、人々に便利さを提供している。ふと小腹が減った深夜1時、衝動的に頂くカップラーメンはその欲求を満たしてくれる。いまとなってはお役所業務もコンビニで済ませられる事が増えてきており、その機能の拡充はこれからも進んでいくだろう。

【便利さを追求しスーパーフラット化した人間と街並み】 便利さとは、アクセスのし易さとそれぞれの欲求を満たすのに掛

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駄文日記:絵画と額縁の関係性について考える

 徒然なるままに、、、日曜美術館のクールベの特集を見ながら家族で意見が分かれた。額縁がその絵画を引き立たせている、いや、額縁はより簡素化された形であるべきでむしろ不必要だと。

 この議論は大変興味深いと思い、録画していたテレビを停止し、家族間でお互いの論を出し合った。額縁の造形により、作品が引き立てられる例が多分にあるので、そこは凝った造形にするべきだ。いや、絵画の本質的な見立てを引き立てる為に

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虚構と現実の絵画:2つの世界が織りなす”真の現実”

虚構と現実の絵画:2つの世界が織りなす”真の現実”

 実際にはあり得ない虚構の世界を描写したシュルレアリスムの画家の絵を見たとき、あなたはどのような感情になりますか?

ジョルジョ・デ・キリコ『赤い塔』1913年

「こんな世界はないし、空想を描いても面白くない。」

「毎日の夢で見るような光景で共感できる。」

 このように人それぞれ感じ方は異なるかと思います。僕は、彼らの作品を観て大変共感できるし、その夢のような虚構の世界もまた、一つの現実であ

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セザンヌの親友でマネを評価した小説家:エミール・ゾラ

セザンヌの親友でマネを評価した小説家:エミール・ゾラ

 こちらの記事で、マネのスキャンダラスな絵画『ナナ』を紹介しました。マネは『草上の昼食』で賛否を巻き起こした後にも、破廉恥な内容の絵画を作り続けたのです。

マネ『ナナ』1877年

 当時の人々には受け入れがたい画題を描いたマネは、多くの非難を浴びせられます。一方で、彼を擁護した人物もいるのです。その代表格が、エミール・ゾラでマネの作品の批評を書き、それらを評価します。

【ゾラとマネは仲良し?

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正義と悪の定義を問い続ける作品が面白い

マネの衝撃的絵画は『草上の昼食』だけではない!?:寓意だらけの『ナナ』

マネの衝撃的絵画は『草上の昼食』だけではない!?:寓意だらけの『ナナ』



 エドゥアール・マネ『草上の昼食』1863年

 19世紀後半、印象派に先駆け、当時の画壇に新しい風を巻き起こしたマネ。1863年に発表された『草上の昼食』は、その主題が破廉恥な内容として捉えられ、笑いとスキャンダルを生みました。当時の絵画は、神話や歴史を主題にした作品を王道として扱っていた為、それにそぐわない物は絵画として認められなかったのです。『草上の朝食』は男性2人の間にいる裸の女性が問

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世紀末美術をどう世界とつなげて解釈するか

『あやしい絵展』見逃した方はYouTubeで楽しもう!:怪しい妖しい奇しい世界を2チャンネルが解説

『あやしい絵展』見逃した方はYouTubeで楽しもう!:怪しい妖しい奇しい世界を2チャンネルが解説

 緊急事態宣言下で、大規模商業施設から美術館まで多くのエンタメ空間が休業しております。国立近代美術館で開催中の『あやしい絵展』も例に漏れず、臨時休館中ですね。
 江戸末期から昭和初期に作成された、怪しい、妖しい、奇しい作品を集めた本展はとても好評で、土日の当日券には列ができるほどでした。期間中、より多くの方々に見ていただける機会を失ってしまった展示をYouTubeで紹介しているチャンネルがございま

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旅を彩るアート:”海の京都を走るレストラン”京都丹後鉄道

旅を彩るアート:”海の京都を走るレストラン”京都丹後鉄道

 旅を彩るのは、観光地での絶景や土地の美味ばかりではありません。そこへ行くまでの移動時間も素敵な体験ですよね。見たことのない土地を乗り慣れない列車で過ごす時間もまた一興。コロナ禍でお出かけしづらい世相のため、いつかの旅の思い出を残して置こうと思います。

【レストラン列車:黒・青・赤松】 天橋立に旅行で寄った際、このようなとてもかっこいい列車に出会いました。

 これは京都丹後鉄道の福知山から天橋

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知っているようで知らなかった!?:富嶽三十六景トリビア3選!

知っているようで知らなかった!?:富嶽三十六景トリビア3選!

 日本のみならず、世界でその名を馳せたのが葛飾北斎。現在の日本国のメインビジュアルに採用されていたり、印象派に強く影響を与えたことで有名ですね。

 今回はそんな彼の代表的なシリーズである”富嶽三十六景”にまつわるトリビアを紹介します。作品をよく見ていなければ気づけない事やちょっとした豆知識などを取り上げます。

【三十六景なのに作品数は〇〇枚!?】 そのタイトルのように富士山を描いた作品が36図

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